蟻の街の子供たち　北原怜子（きたはらさとこ）−５５

聖母文庫　聖母の騎士社刊

　僕は蟻の会へ来てまだ一ヵ月にしかなりません。後から後から多くの家の無い人がやって来るのに気がつきました。蟻の会へ来る人は、きっと暗い心で来ると思います。教会が出来ることは、其の人にどれだけの希望と光明とを与えるでしょうか。
　パパ様が、蟻の会へ来て下さる事は、此の会全体の喜びです。それでどれだけの人が救われるでしょうか。教会が一日も早く出来、僕たちが毎日お祈りできる様になりたいと思っております。パパ様のおいでを信じて、その日の一日も早からん事を祈りながら　　　　さようなら
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　祥光

　パパさま、きたはらのおねえさんがきて、「マリアさま」のくびかざりをもらいました。まい日イエズスさまにおいのりしています。まい日はやくイエズスさまのおうちができることをいのっています。パパさまいつきてくださいますか、うたも、おいのりもじょうずにできますから、みにきてください。
　はやくおいのりするところがほしいです。　おたのみします。　さようなら
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あきら

　私は蟻の会に来て一週間になります。
　前には吉祥寺教会へ行っておりましたが、家がなくなって、上野に参りましたので、教会へも行かれず、淋しく暮らしておりました。蟻の会へ来てからは、北原先生がこられたので本当に喜んでいます。その上今度、蟻の会にも教会が出来て、イエズス様をおまつりすることになったので、二重にも三重にも喜んで居ります。立派な教会にしたいのでぜひ々々パパ様に来て頂きたいと思いま　頂けたらと、私たちだけでなく、お父さんも、お母さんも楽しみにして居ります。
　教会が出来ましたら、いつもいつもお祈りが出来るので本当に嬉しく思います。今までは、吉祥寺教会が遠くて、ナーベルフェルト神父様の優しいお話も聞けず、淋しがって居りました。
　パパ様、必ず必ず来て色々とお話を聞かせて下さると信じて、その日を楽しみにして、ここで筆を止めます。
　パパ様、ぜひ々々一度私たちの街を見に来て下さい。お願いします。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　恵子

　ぼくは、みんなのようにかけませんが、だれよりも、もっともっと、一ばんパパさまのくるのをまっています。かならず、うそつかずにきてください。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さようなら　みつじ

土井大司教様に、霊的花束（ロザリオ・十六環）をお捧致します。