映画レビューです。
昔、カトリーヌ・ドヌーブ主演の同名映画がありますが、こちらは
最近の作品で、しかもイランの映画です。
なんで…イラン? そんなの観るの?と聞かれれば、
BBCの選ぶ観るべき映画100選の第9位。
それと、最近トランプと何かとゴタゴタしている国…ということで。
タイトルからするとロマンチックな恋愛映画かと想像しますが、そう
いう感じとは全く違って、とても現実的でシビアな作品です。
冒頭、離婚調停の様子から始まり、この夫婦らしき二人は別れ話が
進んでいることがわかります。
その後、この亭主には痴呆症の老父がおり、その介護に苦しんでい
ること、娘が一人いるが、その親権について争っていることなどが
わかってきます。
そこに介護のために雇い入れた女性の家庭の複雑さも入り組み、
イランという国の宗教をベースとした夫婦の在り方などが複雑に
入り組み、とてもよく練れた脚本になっています。
普通だと、途中でウンザリしてしまいそうな題材なのですが、秀逸
なストーリー展開により最後まで一気観てしまいました。
何より実感したのは、こういう家庭の問題ってのはどこの国でも切実
な問題なんだなぁ…ということがわかったという点。
ベルリン国際映画祭 金熊賞、アカデミー外国語映画賞を受賞して
います。
会話劇でこれほど高いレベルの作品を観たのは滅多にないかも。
傑作でした。
2011年イラン
☆☆☆
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