優十(ゆうと)を幼稚園に送り出し、心は託児所に預けて広井祖母は出掛けることにした。
伊禮(いれい)夫妻は大阪・梅田にあるシティホテルに泊まっている。
広井祖母は伊禮夫妻とホテルのロビーで話をすることにした。
ホテルのロビー
伊禮夫妻は並んでソファーに座り、向かいのソファーに広井祖母が座っていた。
広井祖母は全て話した。
伊禮『わかりました。僕も理栄子(りえこ)も優十くんを引き取りたいと言ってます』
理栄子『勝矢(かつや)さんに同感です』
伊禮『ただ、心ちゃんも引き取りたいのですが占い師に占ってもらったら心ちゃんに黒い影が見えると言われたのです』
伊禮夫妻は占いにハマっていて沖縄でよく当たるという評判の占い師・リリアン先生に鑑定してもらうことがある。
元々、 理栄子の両親のお気に入りの占い師で娘夫婦である伊禮夫妻に紹介した。
理栄子『私の親が心ちゃんを連れて来ないで欲しいと言ってるのです。決して心ちゃんを嫌ってるわけじゃなく、占い師のリリアン先生に従うつもりなんです』
広井祖母『大丈夫。心ひとりなら私が育てて見せるから
しかし、驚いたで。心が生まれたときも百合美(ゆりみ)さんが入院先の産婦人科で占い師さんに見てもらったけど同じこと言われた』
勝矢『そうなんですか
』
伊禮夫妻は驚いた
理栄子『すみません。私たちが今すんでるマンションは私の両親が買ってくれたもので、名義人は私とはいえお金を出してくれた両親が反対する人を引き取って暮らすというわけにはいかないので
』
親とはいえお世話になった人の意見は無視できないですね
広井祖母『むしろ、私は安心したで
正直嬉しいことや』
伊禮夫妻『えっ
』
不思議そうに広井祖母を見つめる。
広井祖母『確かに優十と心、兄妹一緒に暮らして育てるのが理想やけど。
私は勝矢くんと理栄子さんみたいな親がいた方が優十の幸せやと思った』
伊禮『それはつまり』
広井祖母『理栄子さんは自分を世話してくれた人を敬い、人を裏切ることもなく信頼関係が築ける。
道理がちゃんとわかってる。もし、マンション買ってくれた親御さんに逆らって心を引き取るなんて言ったら、私は心も優十も渡したくなかった。
親御さんに逆らって心を引き取るのは恩恵だけ受けて世話をしてくれた人をないがしろにしたり、邪険にしたことになるから』
広井祖母は道理の大切さについて話した。
広井祖母『つまり、そんなお世話になった人を敬えない人間に優十と心を育ててほしくないから』
世話してくれた人の気持ちを無視してはいけないということです
伊禮『世話してくれた人に感謝できない、邪険にしていたらそのうち人が離れていくし恩恵も無くなるでしょう。
もし、僕や理栄子がマンション買ってくれた親をないがしろにするのは税金の世話になってるのに社会貢献しない
母子手当てや生活保護や保険などを不正受給してることと同じですから』
広井祖母『そうや
だから、二人に優十をまかせられる。勝矢くんと理栄子さんならきっと優十をいい子に育ててくれる』
伊禮『なるほど』
優十はきっといい子に育ちます。
話はまだまだ続きます
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