38.わたしの本の空白は 近藤史恵 ☆☆☆☆☆
気づいたら病院のベッドに横たわっていたわたし・三笠南。
目は覚めたけれど、自分の名前も年齢も、家族のこともわからない。
現実の生活環境にも、夫だという人にも違和感が拭えないまま、毎日が過ぎていく。
何のために嘘をつかれているの?過去に絶望がないことだけを祈るなか、胸が痛くなるほどに好きだと思える人と出会う。
何も思い出せないのに、自分の心だけは真実だった。
39.信長の原理 垣根涼介 ☆☆☆☆
吉法師は母の愛情に恵まれず、いつも独り外で遊んでいた。長じて信長となった彼は、破竹の勢いで織田家の勢力を広げてゆく。
だが、信長には幼少期から不思議に思い、苛立っていることがあった―どんなに兵団を鍛え上げても、能力を落とす者が必ず出てくる。
そんな中、蟻の行列を見かけた信長は、ある試みを行い、恐れていたことが実証された。
神仏などいるはずもないが、この世を支配する何事かの原理は存在する。
家臣で働きが鈍る者、織田家を裏切る者までが続出し始める。
いま最も良い働きを見せる羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益。あの法則によれば、最後にはこの五人からも一人、おれを裏切る者が出るはずだ―。
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