今年届いた年賀状の中に、高校の同級生からのひとことが寄せられていた。
元気ですか?また会いたいですね。
嬉しかった!結婚後一度だけ会ったきりで、本当に長い間会っていなかったから。けれど年賀状には携帯の番号もアドレスも家電話番号さえ記されていない。
その気持ちだけで嬉しいよ。
そう思い、彼女の年賀状を一番上にしてゴムで留めた。
彼女は県庁、私は県庁から徒歩1分の場所にある会社に勤めていたから、よくお昼のランチに出かけたし、実は彼女は私と唯一洋楽好きで話しが合った。
一緒に3回ほど都内のライブに出かけたこともある。
だけれど、趣味は合うのに生活スタイルはまるで違った。
あの頃、新幹線はなく特急で3時間かけて上野に着いた。
私は長野駅のホームで缶の飲み物をたいてい2本は買って長い乗車時間を過ごした。
だけれど、彼女は飲み物を全く買わない人だった。
喉渇かないかな?
最初は凄くびっくりしたけれど次第に慣れた。
また都内で急に激しい雨に見舞われたとき。
近くのデパートに逃げ込んだらちょうど安い傘(しかも可愛い)が目に留まり、明日もあるし、これ買っちゃわない?と言ったら、彼女は頑としてもったいないの一点張りだった。
堅実なんだーー。
関心するもだいぶ窮屈だった。
春の風が心地好い日曜日の朝、私たちは何故か両国のビジネスホテルに別々の部屋に泊まり、まだ7時前、目が覚めたけれどベッドの中で休んでいたらチャイムの音、彼女だった。
慌ててTシャツとスカートに着替え、しっかり身支度を整えている彼女を地下鉄の駅まで送った。
彼女だけ用事があり、すぐ帰ることになっていたから。
いやいや朝からちゃんとしてるー。
その日は吉祥寺の映画館でsex pistolsのドキュメンタリ映画を一人で観る予定だった。
実際、日差しが優しい日曜日の昼下がりを一人でぶらぶらするのは楽しかった。
その2年後、私は結婚した。
彼女は結婚式、披露宴にも来てくれた。
お祝いの品はとてもシックな木の漆塗りのお盆、今でも重宝している。
その1年後、彼女から結婚式の招待状が届いた。
どんな人と結婚するのだろう。
何故だか私たちは恋愛的な会話を余りしていなかったのだ。
会場に着いた私はびっくりした。
彼女の隣には2歳年下のイケメンの男性が。聞けば県職員だそう。
ああ、しっかりした彼女は同じ職場で出会った男性と堅実に愛を育んでいたのだ。
自分の価値観だけで彼女をうっとおしく思っていたことを反省した。
やっぱりまた会いたいね。
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