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2019年02月10日14:43

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「原子力 後始末の見通し」恩恵なき負担 憂う


池内 了氏のウィキ
https://bit.ly/2Dsw5dF

池内 了氏の著書
https://www.amazon.co.jp/l/B001I7IIC6?_encoding=UTF8&redirectedFromKindleDbs=true&rfkd=1&shoppingPortalEnabled=true



■東京新聞2019年2月9日夕刊 池内 了


《公表値は最少値》

2017年4月に改正された原子炉等規制法によって、原子炉施設の事業者に対し18年末までに施設の廃止費用を算出することが義務付けられ、その大まかな見積額が出そろった。共同通信のまとめによると、茨城県東海村再処理工場や核燃料加工施設、もんじゅやふげんや常陽などの高速炉等、国の事業を担ってきた日本原子力研究開発機構が管轄する79施設の廃止費用が1.9兆円。民間事業者19社の商業用原子力関連の「廃止措置実施方針」の見積額として、69施設分の4.8兆円で、これに事故を起した福島第一原発1〜4号機4施設の政府試算8兆円を加えると12.8兆円になる。これらには老朽化対策費や廃止までの管理費は含まれておらず、ましてや実際に施設の廃止・廃炉の作業に手を付けなければ計算できない部分も多く、これらの見積額が願望値であることは確かである。公表された費用は最少値と見なさなければならない。

私がここで言いたいことは、果たして本当に最後まで事業者が責任をもって後始末をするであろうか、ということである。原子力研究開発機構の施設は国からの出資金で建設・運営されてきたのだから、国が計画的に予算を組んで廃止を進めるはずで、まあ何とかなると考えられる。とされているが、その期間で終了できるかどうかは確かでない。40年(ないし60年)使い続けて放射能に汚染された原子炉が、そのまま簡単に解体できるとはとても思われないし、そもそも非常に大量に搬出される放射性廃棄物の処分場が見つかるだろうか。
さらに、その費用をどのように賄うのか、である。むろん、電力関連会社が負担すべきなのは明らかで、基金として積み立てているはずなのだが十分ではなく、結局消費者からの電気料金をあてにしている。つまり、消費者は電力供給を受けなくなったにもかかわらず、そのままずっと廃炉コストを引き受けなければならないことになる。国策として原発が推進されたのだから、国も負担するのは当然としても、これも国民の税金だから、結局原発の始末は国民は背負わされるのである。

《新電力や子孫に》

考えねばならないことは、このまま電力の自由化と発送電の分離が進むと、原発に頼らず、もっぱら再生可能エネルギーを売る新電力が出現して、多くの顧客を集めるようになることだ。そうなれば、原発にしがみついてきた電力会社は見捨てられ、倒産の憂き目を見ることになりかねない。何しろ廃炉費用が大きな負担になるので、電力料金は安くはならないからだ。電力会社を救うため経済産業省は再生可能エネルギーを販売する新電力にも廃炉費用を負担させる、という無茶をまたしても押し通すのだろうか。
そもそも、どんな大企業であれ、数十年先まで会社が存続することは誰も保証できない。電力会社だって例外ではない。いつまでも現在の状況が続くとして皮算用することは危険なのである。
日本の原発が本格的に始まったのは1970年代で、2030年代には確実に終わるだろう。つまり、原発の恩恵を受けた私たちの世代だけである。にもかかわらず、子孫は廃炉と廃棄物処理に多大な負担を強いられる。原子力施設の廃止費用の見積もりを見て、私たちの世代の罪深さを思わざるを得ない。
(いけうち・さとる=総合研究大学院大名誉教授)



日米原子力協定の行方 について(池内了)
https://ameblo.jp/tousekitetsu/entry-12409814006.html



以上







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