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2018年05月11日22:14

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゚Д゚) < カトマンズの約束 (My Love ~Promise for Kathmandu~)

■国内旅行に行く感覚で、サクッと海外旅行に行ける「LCC活用法」
(Business Journal - 05月11日 20:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=175&from=diary&id=5107115

 「ちょっとマーライオン見てくる」みたいな感覚で「ちょっとタージマハル見てくる」になる日はいつですかー! アジアといっても、まだまだ南〜中央〜西アジアは遠いぞー。
 その前に、インド飯がちゃんと消化できる体づくりしておかんといけないけども…、あ、あとインド入国に際して世界一めんどくさいとか言われる申請作業もあるからのぅ…。近所のネパール人たちがやってるインド・ネパール料理屋で色々話聞いてると、ネパールの様子も見に行ってみたくなるしねえ。まあ、まず何よりも先立つお金と時間をどうやって手に入れるのかってところが一番の問題なのよ、シクシク。

 そんな話になると貧乏暇なしの身では肩がズドーンと落ちてしまうので、映画でも見て現実から逃避してやるのじゃームキー。




カトマンズの約束 (My Love ~Promise for Kathmandu~) 2017年 127分
主演 ガネス・マン・ラマ(製作/脚本も兼任) & シタル・スレスタ
監督/脚本 伊藤敏朗
"2015年ネパール大地震ーその時、愛も揺れた"

https://www.youtube.com/watch?v=SM9lsM3mdBg

 建築家ラメス・ラマは、KVPT(カトマンズバレー保存トラスト)の部長として、伝統建築の保存とその耐震化が急務であると訴え続けるのだが、外部の人々にはなかなかその声は届かない。
 仕事も家庭もうまくいかない彼は、そこから逃げるようにニサと言う若い看護師と愛し合うようになるが「一緒にネパールを離れて日本で暮らそう」と言う彼の提案をニサは、意味ありげに笑って流すだけだった。

 時に2015年4月。恩師である東京情報大学の菊池教授の誘いで日本に招待されたラメスは、日本移住に希望を見いだしつつ、在日ネパール人の不甲斐なさに当たり散らすほど祖国に嫌気がさしてきていた。
 自分1人ででも日本移住してニサを呼び寄せようと決意する彼が、大学関係者と千葉県佐原の伝統建築群を視察していた4月25日、同行していた国際救助隊員に衝撃的なニュースが飛び込んでくる。「ネパールで大きな地震が起きて、国際救助隊の招集がかかった。詳しいことは分からないが、現地は危機的な状況らしい」…!!


挿入歌 Mero 17 Barse

https://www.youtube.com/watch?v=5iigL0DIDPM


わーい(嬉しい顔) ネパール映画界初の日本人監督作となった「カタプタリ ~風の村の伝説~(Kathputali)」の続編的位置にある、2015年に起きたネパール大地震をめぐる混乱と悲劇、その復興とそこに援助の手を差し伸べる日本とネパールの絆を描くネパール映画。

 日本では、2018年に大地震3周年追悼上映会を皮切りに各所で一般公開(ネパールでは、日本語台詞部分は全部ネパール語吹替だったそうだけど、日本公開版は日本語台詞にデーヴァナーガリー字幕がつくバージョンでの公開となった)。また、その撮影現場を撮影したドキュメンタリー「ネパール・アイ 2072」も同時上映された。
 企画当初は、ネパール大地震より前に脚本が書き始められたマサーラー・ロマンス映画の予定だったそうだけども、大地震とその様々な影響を、関係者の実体験も含めて映画内に取り組んだ作品へと昇華させたものという。
 ネパールを嫌う主人公が、日本滞在でその先進性とネパールとの共通性を感じていく中、突如起きたネパール大地震によってその価値観を変えられて、ネパール人としての自分を見つめ直しながら復興に向けて日本とともに歩み出す姿を描く映画で、ネパール映画界で初となるネパール大地震そのものをテーマにした映画だそう。

 「カタプタリ」で、子供にしか見えない妖精(本作ヒロインと同じ名前の”ニサ”!!)からの天啓を受けて建築家となった主人公が、ネパールの現状に呆れ果て、家族ともディスコミュニケーションとなって逃げるように不倫に走り、在日ネパール人に当たり散らす様は、清々しいほどにおっさん的ダメダメさがリアルに表現されて「ええええ〜?」って感じだったけども、そうした市井の普通人が祖国の危機を目の当たりにして精神的に成長・変化していく様をきっちりドラマとして作って行くあたり、そのほかのロマンス劇・サスペンス劇・娯楽性投入のバランス感覚、どんでん返しへの伏線などなどの情報の積み上げ方の律儀さが全編に理論的に張り巡らされているように見えてくる。
 大地震の悲惨な惨状、そこから復興していこうとするネパール人の姿、日本と在日ネパール人たちの努力の有様、ニサや家族との関係性の変化、日本人隊員との交流具合、日ネの文化的共通性と相違性、ネパールが持つ多様な生活文化の有り様などなど、色々に読み解き可能な内容の濃さはさすがであります。その辺の組み立て方の律儀さは、ネパール人感覚なのか、日本的感覚なのか、その相乗効果ですかねえ。

 とはいえ、それぞれのモチーフに対する映画的展開は、妙に過剰で説明的、と言うか理論的過ぎる感じ?
 ネパール人たちの怠惰さを攻撃するラメスと言い、日本の外国人労働環境のひどさと言い、日本の国際緊急援助隊の活躍具合、いわくありげなニサの秘密…などなどを全部台詞で説明しちゃうから絵としては同じようなバストショットの連続が続いたりしちゃうし、音響がはっきりしすぎてるせいか日本語台詞が全員過剰に力が入って抑揚がつきすぎてる感じに聞こえてしまうのがなあ…。あとで「映画的芝居というより、舞台的芝居だったね」と言われて、ああそれだ! と手を打った次第。外国語だとあんま気にならないんだけどねえ、その辺(邦画「デスノート」見た時も、気になった点ですわ)。特に、女性キャラの台詞回しがなんともステレオタイプな感じに聞こえてしまうのが、ムゥ…。

 前作にはなかったマサーラー的ミュージカルシーンはかなり効果的に映画の娯楽性を底上げしていて「やっぱ、映画に歌と踊りは欠かせない要素かもねえ」と思えてくる不思議。
 もっとも、実験的に挿入された日本の歌をバックに主人公が日本人たちと踊るミュージカルには「そう言う攻め方がるのか!」と驚きつつ、やっぱ日本と南アジアとの音楽文化の方向性の違いをまざまざと見せつけられる感じで、日本側がミュージカル映画に拒否反応を見せるわけがわかった気もしないではない。前に、日本のポップスに合わせてベリーダンス踊るパフォーマンス見た時も、身体の所作から動かし方のリズム、身体を使った感情表現ってものが日本のそれだと全然伝わってこないもんなんだなあ…とか悲しくなったこともあったなあ。
 とはいえ、それは慣れとか手法の多様化で解決できるものでもあるので、これを端緒に日本音楽界も南アジアを見据えて色々やれば商売になると思うし、日本の歌文化・ダンス文化も活性化すると思うので、どんどんやっちゃえー!!! 音楽業界の皆様どうですかー!!!!!

 劇中で日ネの共通性を示すモチーフとして注目されていたのが、震災復興の人々の様子と、それぞれの寺院建築・祭文化。
 特に諏訪の御柱祭とカトマンズのインドラジャトラ祭とラトマチェンドラナート祭は、色々と学術研究の対象ともなっているそうで興味深い。本来は季節の違うネパールの2つの祭と、諏訪の祭を撮影期間内にロケできたのも様々な偶然が重なったことからって言う裏話も、なんか色々と示唆的でありまする。
 まあ、画面的にはインドラジャトラは御柱祭というより日本各地の山車を用いた曳山祭に近い印象に見えていたワタスではありますが。とりあえず、劇中では御柱祭での木落としのシーンを連続で見せていたけど、あれで柱に人が乗るようになったのはわりと最近って話だから、ネパールの人は真似しちゃダメだよぅー!!

 日本側へのネパールアピールには他にも、タマン語やネワール語と言ったネパール語とは違う言語についてさりげなく言及されたり、被災された人々の暮らしぶりを映す街角のショットの力強さとやるせなさ、援助隊に協力する現地や日本在住のネパール人たちの結束さ、なによりネパールの山々の雄大さと日本のそれとの共通性と言ったものが雄弁に表現されていて、ネパールという国の伝統的な重み・生活文化の多様さを大いに魅せてくれまする。
 映画を通して築かれていったネパールと日本のつながりがより強固に、そして大震災という悲劇を乗り越える力となって今後も続いていきますよう、願わずにいられません。


挿入歌 Sanu Maya

https://www.youtube.com/watch?v=qiv-FxgUJ1I

挿入歌 Japanese Song

https://www.youtube.com/watch?v=zu8EN5sTdm0

挿入歌 Dhalyo Dhalyo

https://www.youtube.com/watch?v=eJlBxP_vfOE
*実際に、震災被害にあった現場で、周辺住民の了承のもと撮影された映像とか。

ネパール版「My Love」予告編

https://www.youtube.com/watch?v=BgU36qrL3LQ



・本作の前日譚となる中編映画にして、史上初の日本人監督によるネパール映画「カタプタリ〜風の村の伝説〜 (Kathputali)」はこちら
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1952497634&owner_id=3570727

・同じく伊藤監督による、ネパールを代表する難解な同名小説を映画化した「カトマンズに散る花 (Shirish ko Phool)」はこちら
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1953484395&owner_id=3570727



・My Love を一言で斬る!
「インドラジャトラの柱が山車で運ばれて角を曲がる時、ピサの斜塔かってぐらい斜めってる様子が、映画冒頭のダラハラ塔倒壊映像とダブって見えてしまうよう」
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