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2018年04月20日02:36

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【映画日記】『クソ野郎と美しき世界』〜上映後に巻き起こった拍手というエール〜

 4月19日、木曜日。

 この日は通院日。諸事情につき、急遽、1週間繰り上げ。

 が、明け方まで寝付けず。通院同行のヘルパーさんがいらっしゃった際には、しばし身体が動かずに往生した。20分ほど待っていただいて、筋肉をほぐしてから家を出た。フラフラするは、ボーっとするは、身体は怠いはで、けっこうキツかった。

 もう、6年ほど診ていただいている病院だけれど、今回ばかりは色々あったので匙を投げられるか、厳しく叱られるかと不安であったけれど、アイツが一旦は全部正直に電話で説明だけはしていたようで、主治医の先生は「無茶苦茶されたんやな。辛かったんやな。何も言わなくていいですよ。貴方、辛かった。逃げたかったんやな。でも頑張ろう。一緒に頑張ったらイイ。一人にはさせないから。私、居るから。今度から逃げたくなったら、逃げ方を相談しに来てくれると嬉しいなあ。取り敢えず、別の病院の処方、全部、元に戻すよ。再スタート。いいですね? 一緒に、ね。いいね?」と。僕は俯いたままで顔を上げられないまま「はい」と答えた。目と目が合うと泣きそうだったから。

 受付もしている事務長さんは何も仰らなかった。ただ、「また映画、観られますね。無事で良かったです」と。事務長さんは、僕よりも映画にお詳しい方である。そうと知ったのは最近のことで、少し前に『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』のパンフレット(厳密には書籍)を示されて、「このコラム、MASAさんがお書きになったのですか?」と尋ねられたのだ。バレた(苦笑)

 以来、帰り際に1・2分ほど、ごくごく短い情報交換をするようになった。映画の話になると事務長さんが途端に笑顔になる。なんだか、僕はその瞬間がとても嬉しい。「今度、シネ・ヌーヴォで寺山修司の特集があるでしょう? 長編は観ていますけど、短編・中編は観ていないものが多いんです。どんなもんですか?」と尋ねたら、「ああ、『トマトケチャップ皇帝』とか、ですね。昔に観ましたよ。『消しゴム』とか。一度、ご覧になられたら良いと思いますよ。わけわからないですけどね(笑)」とのことで、「はい」と答えた。

 薬局に行き、そこから徒歩で帰宅してから、夕方までウダウダと過ごした。15時〜16時台に1本、映画を観に行こうかとも思ったが、ウダウダしているあいだに時間が過ぎていった。

 『ちはやふる-結び-』を観たいのだけれど、TOHOシネマズ梅田は小さいハコでしか上映しておらず、同なんばは時間が合わなかったのだ。

 18時前に家を出て、近所の古書店に立ち寄った。

 『ディスタービア』の中古DVDが安価であったので購入。これは未見である。あと文庫本で『火車』、『ソロモンの偽証 6巻』(共に新潮文庫:刊、宮部みゆき:著)と『星間商事株式会社社史編集室』(ちくま文庫:刊、三浦しをん)を、これまた安価で購入。『ソロモン〜』は歯抜け状態だ。あと2冊で全6巻が揃う。

 バスで梅田に向かう。テアトル梅田さん、シネ・リーブル梅田さんで新作映画チラシを収集し、同時に新世界国際劇場のラインナップチラシを補充展開していただいた。来週には5月分を持って、また展開をお願いする。現在は、展開をお願いしている各劇場様で、それぞれ、どのくらいの枚数が適当であるのか試行錯誤している段階だから小出しで追加としている。残部が少なかったり、もうなくなっていると嬉しく思うし、だぶついていると「あらら……」と感じるが、おおよその見当はついてきた。昼間、シネ・ヌーヴォさんに連絡をしたところ、【大映男優祭】のチラシが出来ているので新世界の劇場で展開をお願いしたいとのこと。「はい!」と答えたのはもちろんのことだ。こういったことが、目指している再自立に繋がると良いなあ。うーん。そんなに世間は甘くないとわかってはいるけれど、もう一度だけトライしてみる。ほとんど全てが瓦解してから、積み直すのは容易ではないが、自身の失態ではなく、身内や他人に故意に人生をいじくり倒され、騙された状態では潰れたくはない。要は、この状態から自分に克てば良いのだろう? なら、ジタバタできるだけジタバタしてみよう。また匿名掲示板でチラチラと何やら書かれているようだけれども、詳しい事情も知らないくせに、なあ。ま、それらも原動力にしてしまおう。取り込めるものは取り込んで、プラスに転化してやる。と、そういう心積もりでいる。現時点は。

 さて、20:40からは、マイミクのイチローさんと『クソ野郎と素晴らしき世界』を御一緒する約束をしているが、チラシを持って回った後、1時間弱、時間が空いた。そういえば、今日は何も食べていない。そこで「なにか食べよう」と思い、安価な天丼店に入った。かれこれ20年以上はある店舗(チェーン店)だが、久方振りに足を運ぶと揚げ手が知らない方ばかり。セルフサービスだった大根と昆布と鷹の爪の漬物も、小皿で供されるつぼ漬けに変わっていた。天丼(並)と味噌汁をオーダー。以前は赤だしだったはずだけれど。あまり良い変化だとは思えなかったが、その悪い予感は的中した。幾ら安価だとはいえ、不味に過ぎるとゲンナリする。傷みかけた海老の臭いに耐え切れず、半ばを残して席を立った。

 マイミクのイチローさんと合流し、TOHOシネマズ梅田スクリーン1にて『クソ野郎と美しき世界』を鑑賞。ヒットしているというのに、2週間限定公開の縛りは解かれず。今日で終了となる。旧・北野劇場であるから、大阪屈指の大規模なハコだ。それが、ほぼ満席という大盛況。これほどの人に溢れた映画館は久し振りだ。まあ、僕は極力、混んでいる時は避けるのだけれども。高校生〜20歳過ぎの頃は、よく初日オールナイトなどに駆けつけ、満員の大劇場で新作を早め早めに観たものだけれど、いつしか、激混み状態が苦手となっていた。しかし、たまにはこういうのもイイ。


 ●『クソ野郎と美しき世界』

 稲垣吾郎、香取慎吾、草なぎ剛の<元SMAP>のメンバー3人が主演を務めた作品。3本のエピソードで独立した物語が展開されるが、4本目のエピソードで短編で全てがまとまるという、一風変わった構成のオムニバス作品であった。4本のエピソードは全て監督が異なる。以下にタイトルを記す。()内は監督名。


1.『ピアニストを撃つな!』(園子温)
2.『慎吾ちゃんと歌喰いの巻』(山内ケンジ)
3.『光へ、航る』(爆笑問題・太田光)
4.『新しい詩(うた)』(児玉裕一)


 1は、そのタイトルから、フランソワ・トリュフォー監督の『ピアニストを撃て』を連想させられるが、全く関係は無い。主演は稲垣吾郎。当初、SMAPのメンバーでは、彼が最も映画俳優に向いていると思っていたが、これからという時に銀幕から遠ざかったのがもったいない。そういう存在になってしまった。これから盛り返せるだろうか? といったところで、このエピソードには全くノれなかった。園子温は好きな監督だが、心底から撮りたい作品と、そうではない作品の時の、出来の落差が激しすぎる。マンネリ、ルーティンを通り越して、これは最早、縮小再生産だ。園子温らしい画作りはみられるものの、これは白蟻に食われた木材のような代物であった。この空洞化・形骸化は辛い。どうも、僕は、映像詩人としての園子温が好きなのだ。エンポリオを量産している時の彼の作品は、どうにも肌に合わない。

 2。映画には多く主演している香取慎吾だが、これまではさほどに良い俳優だとは思わなかった。けれど、本作で最も光っていたのは彼だと思う。スカトロジーに徹底した嫌悪感しか抱けない身としては終盤の展開に辟易したものの、光る部分もあった。決して上等とは言えない出来だけれども。

 3。ヤクザくずれを演じる草なぎ剛は目新しくないが、安定した演技を披露しているとも言える。尾野真千子との、ヒリヒリとしていながら、時折にユーモアを混ぜ込んだ夫婦喧嘩の模様は、芸達者である2人の力量によって、きっちりとしたものに仕上がっている。とはいえ、スジの根幹が弱いのは大きな瑕である。それでも、ここまでの3篇の中では、最も映画していると感じた。カット割りも、省略話法も、カメラの動かし方も才気を感じさせる。太田光の長編監督作品を観てみたいものだ。彼が愛するカート・ヴォネガット風の作品を単独で撮って欲しいと願う。

 4。このエピソードを以て大団円となる。ミュージカル調の演出は悪くないが、舞台となるクラブの支配人が唄い踊る冒頭が、ややパンチに欠ける。このシークエンスは、バズ・ラーマン監督の『ムーラン・ルージュ』の影響を強く受けているに違いない。即ち、ジム・ブロードベントが『カン・カン』を披露するシークエンスのいただきだ。それにしては観る者を惹き付ける吸引力が欠けている。中盤、香取慎吾が唄い踊り出してからググンと楽しくなるけれど。とはいえ、これまでの3本のエピソードの着地点(しかも、それぞれに監督が異なる)という難しい役割を担うパートという点で、少し見方が甘くなってしまう。甘くなってしまうが、それでもラストは、もう少しピシっと爽快・痛快に締めて欲しかったものである。

 さて、本編の上映は終了した。エンド・クレジットが流れて映画はFINとなる。通常は、そうだ。しかし、この回(他の回は知らない)は、最後にもう一幕が有ったと言って良い。客席から拍手が湧き起こったのだ。映画作品としては、僕は本作を平均点以下の作品だと思う。しかし、この客席のそこかしこから湧き起こった拍手を心地良いものだと思った。

 稲垣、香取、草なぎの3人が新たなスタートを切ったのだ。この拍手は、そのことへのエールであろう。

 彼らには、再出発を祝ってくれる人たちが大勢いる。この拍手は、その証左である。

 場内の雰囲気が良かった。この雰囲気もまた映画館の魅力であると思う。その空間に身を置くことが出来たことは大袈裟ではなく僥倖であった。

 温かいファンが大勢居るのだなあ、と実感した。3人にはこれから頑張って欲しい。

 鑑賞後、イチロー兄さんに送っていただいて帰宅した。


 さて……


 以上である。

  
【追記】

 日記やコミュニティへのコメントを複数いただいていて嬉しい。が、レスポンスは一旦、眠った後とさせていただきます。いや、もう単純に眠くって(笑) 

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