20代の頃、柄にもなく純愛について考えていた時期があった。
真っ先に浮かんだのが、サザンオールスターズのいとしのエリーだった。
泣かせたこともある
つれなくしてもなお
寄り添う気持ちがあればいいのさ
ここのフレーズである。
当時、この曲はドラマ「ふぞろいの林檎たち」のオープニングに使われていて、聴く度に純愛を感じずにいられなかった。
少し経って、アレックス・コックス監督の「シド アンド ナンシー」に純愛を感じた。麻薬中毒になってもシドはナンシーを愛し続ける。二人の愛に永遠を感じた。
私にとっての純愛は、小学5年生のときの初恋だった。同じクラスのKくんは美形でスポーツマンだった。青いストライプの運動着を着た彼はいつもソフトボールのときピッチャーで、とびきり一人だけ目立っていた。地味な私になど気付くはずもなく、淡い初恋ははかなくも砕け散った。
結婚した。赤ちゃんがお腹にいるときに夫と渋谷まで映画を見に行った。どうしても見たかったレオス・カラツクス監督の「ポンヌフの恋人」は東京まで行かないと見れなかった。
老朽化したポンヌフ橋の上で踊りながら疾走する、ドニ・ラバンとジュリエット・ビノシュに純愛を再び感じることが出来た。
そして歳月は流れ……。
洋楽しか聴かなかった私が、最近日本のポッブスも聴くようになった、心境の変化である。
そして気づいたことがあった。日本の曲の純愛の原点が作詞家、松本隆にあるということが。例えば。
誰も知っちゃないさ 若さそれがこんなに傷付きやすいものだと
(原田真二 てぃーんずぶるーす)
つむじ風南風
振り向くよきみが
輪を描く 長い髪
まるでメリーゴウランド
(CCB 2Much I Love You)
意外にも身近なところに純愛の原点があったのだ。それに気づけて少し嬉しくなる。
いつまでも若さを忘れずに純愛を感じていきたいと思う。
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