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2018年02月07日16:39

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「ジュピターズ・ムーン」 「スリー・ビルボード」

ここ2週間で観た作品で是非お薦めしておきたいのを書いておきます。
この調子でゆるゆる書いていると終わっちゃうから!



「ジュピターズ・ムーン」’17 (ハンガリー・独) 監督:コーネル・ムンドルッツォ

「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲」のムンドルッツォの新作。
タイトルとチラシの絵面しか知らずにSFだと思って観たら
ハンガリーの現在が蝕む人間の闇部と
かの国が排除するシリア難民の少年が獲得した空中浮遊という能力が
その病める人々にもたらす恩寵を描く
驚愕の物語なのだった!!
人の貌に寄った息苦しいショットと不穏なノイズ―
逃亡するシリア難民を執拗に追うカメラに息を呑むロングショット―
浮遊が見晴らす世界と地上の人が見上げる少年という奇跡―
カーチェイス!―
この人が眺める世界はどこまでも不幸な面差しで、しかし
人の属性にあえかな希望を一滴したたらせて、
それが却って
我々の現在が抱える絶望的困難を浮上させるのだ。
傑作。
必見!



「スリー・ビルボード」’17 (米・英) 監督:マーティン・マクドナー

マーティン・マクドナーは「セブン・サイコパス」を ’13か ’14に観ただけ。
これはコメディでとてもアタマのいい脚本だった。
wiki によるとこの人はアイルランド気鋭の脚本家らしい。
その彼が描くアメリカのど田舎のお話は…
張藝謀「秋菊の物語」を思い出させる
ある告発が生む小さな町の人間ドラマで、
隅々に至るまで絶妙に作り込まれたキャラたちと
それを演じる役者たちの力量に
思わず膝を打つ爽快な映画なのだった。
キャスリーン・ビグロー「デトロイト」が
レイシストの不快をひたすら耐えねばならぬ映画だったのと比すと
(彼女はまたそういう緊迫感の演出が上手いのだ(笑)!)
この“爽快”は清涼である!
物語の結末が爽快だと言っているのではなくて
映画の在りようが爽快なのだ。
アカデミー賞で評価されるといいなー。
秀作。
必見。
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