mixiユーザー(id:5376428)

2016年01月20日23:26

265 view

「ブリッジ・オブ・スパイ」 「モーターズ」

「ブリッジ・オブ・スパイ」 ’15 (米)


監督:スティーヴン・スピルバーグ 脚本:ジョエル&イーサン・コーエン
撮影:ヤヌス・カミンスキー 美術:アダム・ストックハウゼン
衣装:カシア・ワリッカ・メイモン 編集:マイケル・カーン
音楽:トーマス・ニューマン
m:トム・ハンクス,マーク・ライランス,スコット・シェパード,
  アラン・アルダ,ミハイル・ゴアボイ,セバスチャン・コッホ
  オースティン・ストウェル,ウィル・ロジャース


コーエン兄弟の脚本をスピルバーグが監督しトム・ハンクスが主演―という
優良間違いなし!みたいな映画なのだが、
たぶん誰もが書くと思うけれど
めちゃめちゃ映画が上手い!映画なのだった。
スピルバーグにしろコーエン兄弟にしろ“映画が上手くなかった”ことなど
一切ないのだけれども、それにしても
今回の上手さは神がかっている…と感じてしまう。
1957年ソ連のスパイ ルドルフ・アベルが逮捕され
     ジェームズ・ドノバンはその弁護をすることになる―
1960年合衆国の偵察機 U−2 がソ連領内で撃墜され
     パイロット フランシス・ゲイリー・パワーズがソ連に捕えられる―
1961年ベルリンの壁建設の混乱の中 アメリカ人大学生フレデリック・プライヤーが
     東ドイツ政府に逮捕される―
1962年アベルとパワーズ,プライヤーの1対2のスパイ交換が
     ドノバンの交渉により東ベルリンで行われる―
以上、お話は時間軸通りに語られるのだが
スパイをめぐるサスペンス…ではもちろんなくて、
人間の誠実さと信念についての物語なのだった。
冒頭の自室で自画像を描くアベルのシーンから
これはとんでもなく優れた演出の映画じゃないか…!と引き込まれるのだけれど、
アベル確保の動的サスペンスの後始まるのは
国家を背負って立つ男たちがその信念と誠意により
国家の危うさや恥ずかしさを照らすことになる物語で、
アベルとドノバンの間に醸成される静かな関係性こそが
正しき“人間力”だと思わずにいられない。
自殺針を持たされながら逮捕された偵察機パイロット…
自己責任を問われるアメリカ人留学生…もまた
国家なるものの気持ちの悪さを浮上させるのだが、
ドノバンの“人間”は揺らぐことのない誠実さで
事件・事態・事案にではなく
“人間の正しさ”をもって“人間”に対処して行く。
そこに静謐な感動がある。
トム・ハンクスという特殊な役者演じるドノバンを
一人英雄に祀り上げないためのアベルの造形が素晴らしく、
演じたマーク・ライランスの存在感が秀逸。
優れた映画だと思う。





「モーターズ」 ’14


監督・編集・音楽:渡辺大知 脚本:渡辺大知,磯龍介
m:渋川清彦

’14 PFFアワード 審査員特別賞


東京造形芸術大学の卒業制作として撮られた
ミュージシャン,俳優でもある渡辺大知の初監督作品。
田舎でも都会でもない中途半端な街の自動車修理工で
もう若くはないが中年というほど老けてもいない男の日常が描かれる。
いいよ、これ。
自動車修理工場の従業員たちのぐだぐだとユルい関係性を
べたーっと撮って行く感じが
ああこの人の映画いいよなぁ…と思わせて、
「まれ」の超無口な幼馴染みタカシは
ホントに才能豊かな人だったんだなー(笑)。
一応 修理に訪れたカップルの女性ミキに主人公 田中が惚れる…
というのがお話を牽引する事態なのだけれど、
恋愛がどうの…はどうでもよくて
修理工場の面々にしろカップルにしろ
関係性に爽快感や清涼感が仕込まれていなくて
怠惰や倦怠や惰性でてれ〜っとした感じを掬っているのがいいのよ。
変化に乏しい何でもない日常の断片ってちょっと面白くない?
…そんなスタンスが気持ちいい。
渋川清彦は『お盆の弟』に続く主演かな?
『お盆の弟』もぐだぐだな男だったけど
思惟太はここでの田中の方が好きだなー ♡ (笑)
0 4

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する