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2016年01月22日23:23

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゚Д゚) < シャモルおじさん、灯りを消す (Shyamal Uncle Turns Off the Lights)

■映画の珍邦題3選を発表!マニアがナンバーワンに選んだのは
(しらべぇ - 01月22日 08:00)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=202&from=diary&id=3815396

 まあ、邦題のメンドくささと言えば、以下の邦題を読んで、内容を説明して下さいませ!
「哀愁」
「離愁」
「旅愁」
「旅情」
「慕情」
「追想」
「追憶」
 ……わかるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!げっそり

 まあ、インド映画好きとしては、変な邦題と言えばなんつっても「DDLJ」でございましょうわーい(嬉しい顔)
 これの原題は「Dilwale Dulhania Le Jayenge」。
 1998年の東京国際ファンタスティック映画祭での日本初上映時のタイトルが「花嫁は僕の胸に」(これも意訳だけどまだいい)。
 その後に一般公開された時のタイトルが「シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット大作戦〜花嫁は僕の胸に」。未だにインド映画ファンの間で語り継がれる悪名高き邦題でございましたよ。一時期流行った「踊る〜」って邦題も色々物議をかもしているけども。
 それで去年にイベント上映された時に、原題をそのまま訳した「DDLJ 勇者は花嫁を奪う」のタイトルに直されたわけですが、これが正式タイトルってことに…なるんですかねえ?

 この他にも、インド映画界隈だと上映・公開のたびに邦題が合ってるのかどうかで色々議論が巻き起こるけども、もう「きっと、うまくいく(原題 3 Idiots)」も「マダム・イン・ニューヨーク(原題 English Vinglish)」も「クリッシュ (Krrish 3)」も慣れたかなあ…。慣れるもんだよなあ…。

 この前見て来た映画は「まるで絵本のタイトルのような」題名のインド映画、と言われてましたけど、ワタスはわりと良訳タイトルだと思ってまっせ。



シャモルおじさん、灯りを消す (Shyamal Uncle Turns Off the Lights) 2012年 65分
主演 シャモル・ボッタチャルジョ
監督/脚本 シュモン・ゴーシュ
"なぜ…なぜだ? なぜ家の前の街灯は、日が昇っても点いている?"

予告編
https://vimeo.com/54219151

 西ベンガル州コルカタ北部、バイクバラに住むシャモルおじさんは80歳。
 毎朝、一族みんなに電話をかけるのが日課。財布のヒモは固く、自分の衣服代や妻の携帯電話料金、メイドの給料ですら出し渋る。

 その朝、妻に言われて買い物に出て行ったシャモルおじさんはふと気になった。「自宅前のラジャ・モニンドロ通りの街灯は、なぜ朝になっても消えないのか?」
 街灯を消すためにはどうすればいいのか? 早速おじさんは、妻やご近所や役所の市民相談窓口などに問いかけてみるも、皆は自分たちの悩みや社会批判に終始して一向に答えが出ない。税金の無駄遣いだと憤慨するおじさんを尻目に、世間は街灯のことなぞどこ吹く風…。

 
わーい(嬉しい顔) ベンガル語(西ベンガル州とトリプラ州の公用語)での原題をアルファベット表記すると「Shyamal Kaku, Karpporeshaner bati, eban...」("Kaku"とは父方のおじを指す単語で、母方家族尊重の気風があるベンガルでは、どちらかと言うと煙たがれるうるさい存在なのだそう)。
 米国はフロリダ・アトランティック大学で経済学準教授をしているシュモン・ゴーシュが、実話を元に製作したと言う、4本目の監督作。
 日本では、2015年の東京外国語大学の「TUFSシネマ インド映画特集」で上映。

 冒頭から、主人公シャモルおじさんの起き抜けの朝の身支度を逐一とらえる、静かなドキュメンタリー風描写が続く映画で、叙情的なラストシーンにかかるBGMの他はずっと環境音と人物の会話のみで話が進む。その、ためにためたラストシーンの牧歌的な美しさは、批評家たちから名シーンと絶賛されたそうな。
 脚本では、シャモルおじさんの行動や台詞は用意されてはいたと言うけど、各登場人物とのやりとりなどは即興で作りだされているそうで、中には映画撮影と気づいていない人々との交流も入っているとか。その意味では、劇映画とドキュメンタリーとの境があいまいな、両者が融合した映画を撮っている感じ。

 特に世間から注目もされない街灯の明かりについて、似たように周りからほとんど気にかけられない隠居老人がアプローチをかけて行く様は、微笑ましくもありつつ応援したい姿で、かすかな哀愁をともなう。
 「灯りを消す方法はあるのか」をあらゆる人々に問いただすおじさんに、返ってくるのは「行政が悪い」「誰も気にしてない」「そんな方法あるの?」。役所に出向いてみても、お定まりのたらい回しで「管轄外です」「書面に書いといて」「石投げれば消えるし、そうすりゃ補修課の俺たちの仕事になる」なんて言われるのは、どこも同じやなあ…と言う感じ。役人たちがテキトーにダベりながら仕事する客対応のなってなさがいかにもだけど、その広い仕事机の上の書類の山に埋もれる使用形跡のないパソコンのちんまりさも街灯との対比か? とか、変な所に目が行ってしまう。

 長らく共産政権が続いたと言うベンガル地方ならではなのか、多くの人が街灯問題の話し合いを我田引水して社会批判、政府批判に終始してしまうのもベンガル人気質が見えるよう。話の趣旨が変わってるのに満足げに頷いたりするシャモルおじさんも可愛い(実際に側にいたら、積極的に話を聞きたくはならないだろうけどw)。

 監督を務めたシュモン・ゴーシュは、1972年生まれ。
 コルカタやデリーの大学で経済学を修め、米国ニューヨークのコーネル大学で博士号を所得。コーネル大学在学中に映画製作訓練を受け、06年に初監督作「Podokkhep(足跡)」を発表。ショウミットロ・チャタルジーなど大御所を迎えてナショナル・フィルム・アワード銀蓮主演男優賞と注目ベンガル映画賞を獲得。続いて09年に「Dwando(葛藤)」、12年に「Nobel Chor(ノーベル賞泥棒)」を公開して注目される。13年に本作、15年に「Kadambari(カドンバリ夫人)」と「Peace Haven(平和な避難所)」も公開。

 ラスト、朝霞の中の公園(?)で自身の成果に満足するシャモルおじさんのユーモラスな踊りの爽快感と、それを冷静に定点カメラでとらえるレイアウト、画面隅でそんなおじさんを見ている犬(猫だったか?)の意図的な配置具合、劇中唯一かかるBGMと言う、色んな感情が交錯するシーンは見所。そこにかかる「これは実話を元にした映画である」の字幕で「えええええええ!!」となる、不思議な魅力を持つ映画である。


受賞歴
2013 カナダ ReelWorld Film Festival 注目外国映画賞

・SUTOLを一言で斬る!
「とりあえず、なんでベンガル人はあんなに他人に対してあたりが強いんだ」
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