嫁知らせ

　私はよく夢を見ます。幼少からそうでした。それも色付きです。昔風に言えば総天然色カラーです。昔読んだ高木淋光著「占い推理帖手相篇」に「カラーの夢を見るのは一万人に一人」と書いてありました。ですから私は珍しい存在なのです。さらに夢判断の本に寄れば、夢は自分の体験したことが基になっているとありますが、私の場合は見も知らぬ場所、会ったこともない人物が登場するのです。

　この話をカミさんにしましたら「そう言われてみれば、私の夢は白黒だわね。それに知っている場所で知っている人が相手だわね。それにしても、夢なんて人それぞれでいいんじゃないの？」と軽くあしらわれてしまいました。

　というわけで、これまでに“夢知らせ”などは一度も体験したことがありませんでした。ところがつい最近、千葉県の船橋市に住む娘が「子供を連れてそっちに行ってみたい」と電話をしてきた夢を見たのです。そしてその次の日に、カミさんが安納芋を送ったことを知らせる電話をしましたら、ありがとうと言った後に「年が明けて暇ができたら、娘と一緒に種子島に行こうと思うんだ」と言ったというのです。夢に娘が登場しただけでも珍しいのに、夢の中と同じことを言ったのですから驚きは倍加されます。

　色付きで未知の場所の夢ばかり見ていた私に、モドキとはいえ“夢知らせ”が加わったのです。来年は満80歳を迎えるのですが、それを機に何か新しい出来事が待ち構えているのではないか……そんな気がしてきました。