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2015年09月23日14:16

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美人につられて梨を買う

仕事先の駅で降りたとき、前を歩いていた女性の後ろ姿が、なかなか見応えがあった。
長身でスタイル抜群。Tシャツとショートパンツ姿だから太ももが見事。背にはデイパックの上等なものを背負っている。
不思議なのは、裏の汚れた運動靴を、そのヒモで結んでデイパックにくくりつけていることだ。普通こんなことしないよねえ。
バックパッカーかな。大荷物は安ホテルに置いてお散歩中とか?

ちょっと気になりどんな顔してるのかと思い、後をつけた。
(というわけではなく進行方向が同じだった(笑))

彼女は小さな果物屋に入った。私も入って顔の見える位置へ移動。
茶髪だったからもしかしてとは思っていたが、やはり白人系の外人さんであった。
いまどき東京では外人は珍しくもないが、たいていはブスっとしている。
しかし、この人は、なんかいい感じの自然なほほえみがあり、朝ドラのエリーさんふうであった。

すぐに彼女は店先のイチジクのパックを手に取った。というより、それがあったから店に入ったようだ。店のおばさんが「400円と消費税になります」と言った。日本語は話せるのだろうかと思い近寄ってみた。

「ハイ、ワカリマシタ」とたどたどしく日本語を使っていた。
お金は普通に1000円札を出した。イチジクのパックが入った袋とお釣りをうけとると、「ドモ、アリガトゴザイマス」と深々と、深々すぎるぐらいにお辞儀をした。なんかうれしそうな顔をしている。
イチジクが彼女の国の相場より安かったのかな。

ヨーロッパ系の人は、日本に来ると八百屋の果物を見て安いので喜ぶとか聞いたことがあるな。しかし、イチジクなんか食べるのかな、あ、いや、いや、聖書に出ていたじゃないか。人類初めてのパンツじゃないか。

などと考えていると彼女は店を出た。私もさらに追跡を続けたい気分もあったが、とくになにも買うつもりもなかった果物屋で、半分以上黒くなったバナナと一部傷んでいるナシが、処分品として皿にのせられているのを見つけた。200円だった。水木しげるじゃないけれど、私も黒くなったバナナは好物なのだ。

思わずそれを購入したが、店のおばちゃんとやりとりしたのちに店を出ると、彼女の姿は消えていた。というか、ここは四つ角だからどこへ行ったかも分からない。

別に本気で追いかけたかったわけではないから、まあ、どうでもいいのだが、軽い喪失感。
そして手元にはバナナとナシが残った。
バナナはいいけどナシはどうしよう。私は果物の皮むけないんだよね。


「美人につられてナシを買う」

おお、なんか格言っぽいものができた。意味ナシだが。





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