本人はドラフトで指名されたことを全く知らず、翌朝会社の先輩がスポーツ新聞を読んでいるのを見て「なんかおもろいこと載ってまっか?」と尋ねたところ、「おもろいことってお前、指名されとるがな」と言われ、そこで初めて自分が指名されたことを知ったという。
しかし、ドラフト指名後も阪急から連絡がないまま数日が過ぎたため、同僚も本人も何かの間違いではないかと疑う始末だった。その後ようやく獲得の挨拶に来た阪急の球団職員から肉料理をご馳走され、「プロなったらこんなにおいしい肉が食えるのか!」と思ったものの、様々な理由から態度を保留していたが、そうしているうちに何度も食事に誘ってもらったため断りにくくなってしまったという。結局、4回目の食事の時に入団を決意した。
入団時、福本の父親は他球団の系列の食堂で働いていたが、息子の入団に際して阪急への恩を感じたため、その職場を退職した。また福本夫人は野球に一切興味がなく、夫が野球選手であることも知らなかったが、福本も夫人に「松下から阪急に転職する」としか説明していなかったため、夫人は夫が阪急電鉄の駅員であると思っていた。
ある時夫人が夫を探しに各駅を回っているうちに、駅員から「もしや、あなたの探しているのは盗塁王の福本では?」と尋ねられ、そこで初めて自分の夫がプロ野球選手であるという事実に気が付いたという。
よしもとかっ!
-福本豊-
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