「はかなき夢におとるうつつは」
あなた
の顔が見たいのに
わたし
は窓の外をみながら
話している
コーヒーはカップ
の中に
うすらひみたい
に
しづむ
ああ
はかない夢
にも劣る現実を
踏み潰したい
助手席
にすわり
舞ふ
こな雪をみながら
あなたの
声
を聴いている
すべて
は流転する
と
王朝人も歌ふ
のに
なにも変わらぬ
まま
ああ
はかない夢
にも劣る現実を
殺してしまいたい
マリアは
木造の天主堂
に
たたずむ
けれど
名もしらぬ
花と
戒律
は
わたしたちを
緊縛
している
ああ
繊月は
かなわぬ恋に
舌を噛みきる
処女
血の穢れごと朱赤
に染まるのに
そして
わたしは少しだけ
あなたに
わらいかけて
そとの世界に向かふのである
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