mixiユーザー(id:18441979)

2015年01月04日19:21

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『チャタレー夫人の恋人』

 12月はじめからジムで読み続けていた『チャタレー夫人の恋人』を読み終わりました。この小説は伊藤整の訳でワイセツ裁判になったことで有名です。露骨な性描写で・・・ということらしいのですが,いま巷にあふれているポルノに比べたら赤児のようなレベルです。
 むしろ,性を真面目に捉え,その重要性を真摯に訴えているところは共感できます。金儲けに走る守銭奴どもの人生観に絶望しています。100年近く前のイギリス社会の批判ですが,現代社会の病根が予見されているようです。
 最後の場面でメラーズがコニーに送る愛の手紙の中ではっきり主張されています。

<以下引用>
P625
 ・・・・・・。ならば,いま自分はなぜ生きているのか。もちろん,いつか君と一緒に暮らすためです。本音を言えば,怖い。僕たちを捕まえようと,どこかに悪魔が潜んでいるはずだから。いや,悪魔というよりも,金の邪神(マモン)でしょうか。要するに,金を好んで人生を嫌う大衆の意志です。なんにせよ,どこかで大きな白い手がうごめき,人生を堪能しようとする人間,金には目もくれず本気で生きようとする人間の首を絞め,抹殺してやろうと待ちかまえている気がします。歌の文句をもじって言えば——いやな時代がやってくる,諸君,いやな時代がやってくる。こんな状況が続くようでは,金のために働く大衆を待つのは死と破滅しかありません。これでは僕の気力も挫けるというものです。
<以上引用>

 おもしろい小説でした。
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