mixiユーザー(id:3808888)

2014年11月24日16:10

170 view

日本フィル横浜定期演奏会@302 フランス音楽の夕べ

日本フィル 第302回横浜定期演奏会
於:みなとみらいホール

(前半)
 ドビュッシー
  牧神の午後への前奏曲

 ドビュッシー
  交響詩<海> 3つの交響的スケッチ


(後半)
 ラヴェル
  左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調

(ソリストアンコール)
 カッチーニ(吉松隆編曲)
  アヴェ・マリア

 ラヴェル
  バレエ音楽<ダフニスとクロエ> 第2組曲

指 揮  ピエタリ・インキネン
ピアノ 舘野泉
コンマス 木野雅之

今回のプログラムは、当初震災翌月に予定されていたものの再現版。当時原発懸念の国命により来日できなかったインキネンが同じフィンランド在住で脳出血の右半身不随から復活を遂げた舘野氏との共演です。

最近、目の前のご馳走というか、ロシアものの生々しい感じに偏り気味だったので久しぶりのフランス音楽はとても新鮮でした。

前半のドビュッシーの牧神、主席真鍋さんのフルートが響き始めるとあたかもホールは真空のように静まり返り(まあ、真空では音は伝わりませんが)自然に涙が溢れます。続く海もそうですが、ニュアンスを正確に表現して行くソロパートとオケのバランスにしばし心を奪われました。


後半の1曲目は、左手のピアノストとして有名な舘野さんのラヴェル。

この曲自体、第一次大戦で右手を失ったピアニストのために作曲されたものとのことで、右半身が動かぬ(実際、舞台袖との往復も右足が不自由で大変そう)舘野氏には幾度と無く演奏オファーがあるそうですが、生で聴いたのは初めて。

言葉で表現するのは難しいのですが、テクニックとか経験値とかを超えたせつなさや重み、温かみの伝わる演奏でした。アンコールのアヴェ・マリアも耳なじみが良い曲目とその演奏スタイル一致し素敵な音楽でした。

2曲目はダフニスとクロエ。第2組曲は冒頭の夜明けが有名で大好きです。青白く白んだ空がやがてオレンジに変わり一筋の光が差し込み、鳥たちがさえずる雰囲気そのまま表現される冒頭からダフニスとクロエの再開、最後は全員での踊り。全てが絶妙のバランスで表現されていて、目をつぶってバレエのシーンが蘇り、目の前の名手の技を見逃すのが勿体無く目を開けるの繰り返しでした。


この日はソリストに敬意を表してアンコールなし。

でも、充分満足な演奏会でした。今年も来月の第九で終わりです。




舘野さんの柔らかな音を聴いているとジストニアから復活を遂げた
レオン・フライシャーの温かな音を思い出します。他の誰のバッハ
より幸福感に満ちている気がします。



1 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する