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2014年09月04日20:31

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とりあえず1週間働いての感想

バケーション明けの7連勤終了。
ここからは、5勤2連休のサイクルが始まります。

さて、1週間働いた時点での、このお店の感想。

作業台が高すぎる。涙
前のお店もこっち規格の作業台だったから、腕やら肩やらコリまくったが
今のお店はさらに輪をかけて高い。
前のお店では、ポジションが隅っこだったので足場を置いて多少緩和でき
たんだが、今回は行ったりきたりするのでそれも無理。
仕方がないので、つま先立ちを多用して誤魔化しているんだが、おかげで
ふくらはぎがパンパンに張っていたりする。
それと、和食キッチンに水道シンクが一個しかないというのは致命的だ。

今の店は、スペイン食のレストランに併設された和食というお店。
トップシェフはスペイン食の人間だということもあり、和食に理解が不足
している気配を感じる。
なにが?と言われると、価格設定。
こっちで、パタタブラバスと呼ばれるフライドポテトにソースをかけただけの
お手軽タパスですら6ユーロだというのに、活きのオマールエビを使って
仕込んだ手作り餃子の鍋物が9ユーロって、、、、おかしいでしょ?

和食ポジションのシェフは、真面目でよく働く奴なんだが、メニュー作成の
経験が少ないっぽいレシピ主導型の真面目板さん。
今まで働いてきたお店のレシピがすべてファイルされたとおぼしき、レシピ
ノートを見ながらソース類を作っている。
まあ、それは良いんだ。
でも、仕込み材料の使い回しが一切なく、料理一品ごとにすべて別の仕込み
をするというのは、通常キッチン2名で営業しているお店ではありえない。
いかに共通の仕込みを使いまわしつつ、お客さんに使いまわしていないと
思わせるようなバリエーションをつけるかが作業性のカギになる。
まあね、今は和食コーナーに座って食べるお客さんは多くて10人ほどで
ぜんぜんまわせるんだけども、損益分岐点に到達するには昼晩それぞれに
30人程度は入ってもらわなくちゃダメ。
それだけ入るようになったら、間違いなく仕込も提供もパンクする。
真面目な料理だし、料理そのものは評価するんだが、いかんせん、キッチン
2人で提供されるような料理じゃないんだよね。

ちなみにスペイン食のほうも、実のところ、かなり暇そうではある。
ただし、このお店には83席のテラスがあって、観光客のたえない場所に
ある関係で、そこは常に満席。
でも、そこはツマミで軽く一杯とか、お茶だけでも良い。
そこに寿司も出しているから、カリフォルニアロールみたいな裏巻きは
それなりに出てるんだけれども、それだけ。
スペイン食のほうも、そこで提供されるものは極めて簡単なツマミの類だ。
これから冬に向かいテラスに人が入らなくなってくるとかなり厳しいことに
なりそうだなというのが、私の見解。

ここのオーナーは、どうもサンパウあたりに触発されたお金持ちの奥様
らしく、バルセロナ市所有の歴史建築内ということも含めて人脈と資金は
豊富にあるみたい。
でも、それはミシュラン星つきレストランをつくって名誉欲を満足したい
というような、そういう思惑が見て取れるとも言える。
ソムリエ、レセプション、パティシエまでフルのスタッフの人数、ワインの
品揃えの数、どれを見てもミシュランの星を目指してるレベルだ。
まあ、おかげで損益分岐点ははるか遠い。
1年半くらいは、黙って損をかぶるかもしれないが、どこまで続けられるのかは
結構疑問のあるところ。
なにしろスペインはグルメブームで、同じような思惑の同じような店が
次々と生まれているのだ。

日本と違って明白な格差社会であるスペインでは、お金持ちっていうのは
本気でお金持ちであって、景気の良し悪しはそれほど関係ない。
とはいえ、高級レストランを日々利用できるほどのお金持ちはやはり多くない。
その多くないパイを既存の超有名店と数多い新規の高級店で取り合うのだから
その生き残り競争はやさしくないのは当然だ。

で、今の店を見てると、スペイン人スタッフの非常に珍しいレベルのやる気と
真面目な仕事ぶりと非常に恵まれた立地、さらに元々が王宮関連の建物という
歴史の重みのある内装(かなりの部分は元の内装を流用)、そのへんを考えると
ミシュランの星も可能性はあるかもしれない。
とはいえ、ミシュランの星は早くて10年。
その前に、営業の軌道が乗らずに人員の整理をやってしまえば、クオリティーも
スタッフのモチベーションも下がってしまうわけで、どこまで頑張れるだけの
資金力があるのかが勝負の分かれ目だね。

と言うようなところが、1週間働いての私の感想。

でもって、私自身は有名になりたいとも思ってないし、名誉とかどうでも良いし
有名店で働いて箔をつけてどこかに自分を売り込もうとも思っていないし、
そもそも、私の目的は自分自身が死ぬまで働く自分の店を作りたいのであって
資金力に物を言わせての高級路線ではないのでよね。
そういう路線の違いは、心の中にとどめておいて、若い日本シェフのやる気を
サポートしてやりながら、自分自身は来年中に自分の店を出せるように、
少しずつでも準備を進めて行こうと思っているわけだ。

自分のお店をどんなものにするのか?
悩むんだよね。。
グルメブームにわくスペインという一面はあるものの、基本的にはスペインの
不景気は日本の失われた20年よりもはるかに深刻。
まったく不況の出口は見えていない。
まっとうに美味しいものを普通(貧乏じゃない)の人が安心して食べて、喜んで
帰ってもらえる良心的な店を作りたい。
日本では、チェーン店にほぼ絶滅されられてしまったタイプのお店だ。
そういうお店は日本ではもう出店する気にはなれないのだよ。
だからこそ、スペインで日本の良心というようなお店をやりたいと思う。

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