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2014年07月03日16:40

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絶景!! 残雪の薬師岳

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劔立山
その頂に立った時に初めてその姿を現した。
後立山、裏銀座、赤牛、水晶、鷲羽、槍穂、笠、黒部五郎
いつまでも眺めていたい光景がそこには広がっていた。
残雪の薬師岳が見せてくれた最高の贈り物。

梅雨の晴れ間が期待できそうな北陸地方。
5月の福井県の荒島岳、6月の石川県の別山、そして今回はさらに北上して富山県の薬師岳に行く。
薬師岳は6年前の8月1日に、立山から縦走して登った。
1ヶ月違ったら、見える山の表情は大きく違うだろう。残雪の北アルプスの山々を眺めたい。

7月1日

有峰林道は朝6時から通れる。入り口で小一時間ほど待つ。
ふと目に留まった地図を見て吹き出してしまった。「黒部五郎岳」がなんと「黒部四朗岳」になっているのだ!!!これに気付く人はどのくらいだろうか?

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ゲートが開いて林道に入る。
折立には3台の車が止まった。横浜ナンバーの年輩の夫婦と福島ナンバーの二人組の男性だ。
福島の方たちはあの原発が近い南相馬市から来たそうだ。

6時50分に出発する。
3組の中では私が先頭だ。
三角点で休んでいると、若いカップルが追いついてきた。甲府から夜勤明けで眠らないで来たと言う。「今日は薬師峠でテントを張って昼寝をしますよ。」

太郎兵衛平に着く。曇ってきたが、展望はまずまずだ。黒部五郎岳の頭だけは雲の中だった。
先ほどの若いカップルの男性が何かしている。GPSの充電らしい。「これがライフラインですよ。」
聞くと、翌日は黒部五郎岳に登って、三俣山荘に小屋泊まりして、翌日は雲ノ平に行って太郎兵衛平から折立に下山すると言う。「かなり時間がかかるんじゃないんですか?雲ノ平は雪が多そうだし、下りは急で滑りやすく大変ですよ。午後は天気も悪くなりやすいし。」と言った。
一緒の女性は登山経験が少ないそうでちょっと考えているようだった。

薬師峠でテントを張る。今年初めてのテント泊だ。
トイレ、水場に近い場所に張る。今日はそんなに多くのテントはないだろう。
しばらくして、先ほどの南相馬市の男性が来た。彼らのうちの一人はテント、一人は小屋に泊まるそうだ。テントの人はベテラン、小屋の人は初心者で、一度テントで泊まったが眠れなかったので小屋にするそうだ。

若いカップルの男性は、新穂高から入って雲ノ平から薬師峠に来たという男性に状況を聞いていた。その人は雲ノ平は雪が多くて木道は2割くらいしか出ていない、今季歩いたのは自分が初めてかも知れないと言った。GPSのおかげでここまで来れたと言った。
若い男性がGPSを持っていると言うと、それなら行けるでしょうと言った。そんなものだろうか。
夕方になって、若い男性は検討した結果、逆回りで行く、明日は雲ノ平から三俣山荘に行くことにしたと言った。
私はそれでも無理ではないかと思った。この時期に二泊三日で歩けるコースなのだろうか。だが、それ以上は言えなかった。

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だんだん雲が取れてきた。最後まで顔を出さなかった黒部五郎岳もやっと山頂が見えた。
明日の好天を期待してシュラフに入った。

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7月2日

携帯のアラームは3時にかけておいた。その時は圏外だった。
だが、2時半にメールの着信音で目覚めた。電波が通じたのだろう。
外を見ると、満天の星空だ。天の川も見えてテンションが上がる。
ゆっくりとコーヒーを飲んで、ラーメンを食べてから、サブザックで3時40分に出発する。

だんだん明るくなってくる。
雪渓が所々に残っているが、アイゼンはいらない。キックステップで登っていく。

「あっ!!!」
薬師平に出て、ちょっと先に行ってから思わず声を上げた。
雪田の向こうに槍ヶ岳が見えたのだ。
そして、槍ヶ岳、黒部五郎岳、北ノ俣岳に朝日が当たり始めた。素晴らしい瞬間だ。
2時半のメールに感謝だ。
いつもなら木道以外は歩けないのだろうが、雪で覆われた薬師平を歩く。

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そこから先も何度か雪渓を登りながらの道が続く。今まで見えなかった山が見えてきたと思うと、見えていた山が見えなくなる。そんな展望の変化を楽しみながらゆっくりと登る。
薬師岳山荘を過ぎてしばらく行くと、二人組が下りてきた。山荘に泊まった人たちだ。
「ご来光は見えましたか?」と聞くと、「僕たちはご来光には興味がないので、ゆっくり出ました。」と言う。せっかく山頂まで1時間の山荘に泊まったのにもったいないと思う。私は見られるものなら何でも見たい性質だ。

山頂近くの避難小屋あたりに来ると後立山の山々が見えてくる。だが、劔立山は見えない。

7時5分に薬師岳山頂に着く。
やっと、やっと、劔立山が姿を現した。ここまで登らないと見られないのだ。
ここから見る立山はかっこよかった。まるで剱岳と兄弟のようだ。

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その左には大日三山、右には唐松岳から続く後立山の山々。

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そこから続く裏銀座の山々。手前に水晶岳から赤牛岳への緩い稜線。

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鷲羽岳、槍穂。

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笠、黒部五郎

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北アルプスの山々がくっきりと見える。
残雪を身に着けた姿は夏の姿とは大きく違っていた。

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6年前に薬師岳から見えた山はまだ登ったことのない山も多かった。
いつか歩きたいと思った後立山は五竜と鹿島槍の間を残すだけになった。
後立山と裏銀座の間も蓮華から船窪の間が残っている。
水晶から赤牛、そして黒部湖に続く読売新道は去年歩いた。
裏銀座から槍へと続く道は10年前に息子と歩いていた。

そこから見える山の一つ一つにいろいろな想いがあった。
そして、今立っているこの薬師岳にも。

6年前の8月1日、その日は亡夫の十三回忌の日だった。立山から縦走して、その日に薬師岳山頂に立った。
万感の想いがあった。
その日もよく晴れていた。

ありがとう、薬師岳。
貴方はいつも私に大きな感動を与えてくれます。

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