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2014年04月10日20:50

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☆感想☆大魔導城のワナ リプレイ

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※この記録は大魔導城の構造上の秘密の核心に触れているため部外秘とする。大魔導城に関わったことのない者の閲覧は慎まれたい。


うわーなんだこれ、ラストの神展開に全部持ってかれたあああ!!
「感想」と書こうとして「感動」とリアルに打ち間違えるくらいの勢いで!
主人公が完全にマルドゥークに食われた。彼が主役と言っても過言ではあるまい。

ファイティングファンタジーの作品には、ラストに裏切り者が登場するものがけっこうある。ラスボス戦の後で、さらに裏切り者を探すというパターンだ。

この作品は、最後に戦友マルドゥークとの戦いが描かれるが、前述の裏切り者探しとは全く趣が異なる。
彼は、最初から最後まで、裏切ってなどいない。そこにあるのは、あくまで国のため殉ずるという姿勢、それだけだ。マルドゥークは私に敵意を持たない。恨みもない。私だってそうだ。そんな2人が殺しあわなければならない。真相を知ると、ただただマルドゥークの魂の気高さに圧倒されるばかりだ。

蛇足でもいい。みっともなくてもいい。
最後に、運だめしをさせてくれないか。
フィリアンの止めの一撃は、急所をわずかに外していたという運だめしを。
彼が生き残るを潔しとしないのはわかっているが、そう思わずにはいられない。


アタック01 ガル 石膏像にやられる
アタック02 ギル ドワーフの坑道で転落死。
アタック03 グル グリフォンに敗北
アタック04 フィリア ファルガスに逃げられる
アタック05 ゲル マルドゥークにやられる
アタック06 ゴル ファルガスに逃げられる
アタック07 ザル ファルガスに逃げられる
アタック08 フィリアン クリア! おめでとう!!


全体を眺め渡すと、きっちりと作りこまれているな、という印象を受けた。
まさに日本人的というか、かっちりとした構成を感じる。おかげでいくつかある重要ポイント以外の選択肢にはあまり悩むことなくすいすい進めたし、難度が高い印象も受けなかった。散りばめられた謎も、行き詰るというよりも、解けて先に進める爽快感を味わえるレベルに思われた。初期プレイのうちは死にまくり気味だった私のプレイでも、わりと早い段階でいいところまで到達できるようになった。その分繰り返しプレイは大変にもなったが(笑)

途中にある障害……グリフォンやサウロプシーダなど……を攻略する手段を獲得しなくても、力押しでも突破可能なのも良かった。全ての攻略方法を獲得しなくても、1つ2つ抜けがあっても何とかなるというのは自由度が広がる感じがして嬉しい。
攻略手段を入手しないと絶対にクリアできない一本道作品よりも、突破は可能だが難しい、攻略手段を獲得することで楽に抜けられるようになる、というのが好きだ。また、攻略方法が1つに限定されていないのもいい。例えば牢に囚われたマルドゥークを救い出す方法は複数用意されている。

必要なアイテム入手のための情報が後から手に入ることが多いのも特徴だ。
ドワーフの坑道をスルーした後で、ティーボグから王冠についての話を聞く。
マルドゥークから太陽剣の話を聞いた時には、入手のための酒飲みゲーム前半の部には参加できず、入手難度が上がっている。
これはすごく丁寧だと思う。次プレイ時に何に気をつければいいかの指針を与えてくれる。


それから、ラスボスのファルガス(マルドゥークは最後に戦う相手だが、あくまでラスボスはファルガスと思っている)が、普通にプレイしていれば当たり前に手に入っているアイテムで戦わずにあっさり無力化できる展開も素晴らしかった。あれは笑える。

そしてメイドのセレッサ。イラストつきであの乳は反則だ……じゃなくて、彼女なりに健気に必死にファルガスを守るという姿勢に感動した。守る価値もない、どうしようもない君主でも、彼女にしてみれ仕えるべき人物なのだから。

登場人物1人1人がきちんと作りこまれていて、背景をしっかり感じ取ることができる。自分の正義とは別のベクトルで生きているだけで悪いわけではない人物と敵対することになることに、一筋縄ではいかない複雑な感情が芽生える。

参謀のモルワーとか、本来は入れない領域のはずなのに料理人服はOKとか、いかにもあのキャラクターの特徴をとらえていて面白い遊び心と思いましたことよ。

そして一番巧妙かつ大胆なトラップに感動した! これが大魔道城最大のワナではないか。
いや、これは本当はトラップではないのかもしれない。私が攻略法を見落としているだけなのかもしれない。でも書く。間違っていたら大間抜けと笑ってくれていいが書く。

それは――ヴァイオリンと楽譜のエピソード。

クリア後に少しだけ読み解いてみた。
サウロプシーダを完全に無力化するためには、ヴァイオリンの演奏が必要だ。ヴァイオリンを手に入れるのも困難だが、楽譜はもっと難しい。楽譜は実はあの魔術師マハガナータが持っているのだが、彼から聞き出せる情報の中に、その項目はない。
ではどうやって聞き出すかというと、処刑人のメルドバ氏から、サウロプシーダの存在を聞き出しておくと、魔術師マハガナータのところで隠れたパラグラフジャンプが出現する仕組みだ。
だが、致死率の高いメルドバの部屋でそれを聞き出したうえで無事に生き抜けるには、死体置き場で欠けた金貨を手に入れておかなければならない……と、いかにも正規のルートの攻略法並みの行動を要求される。

しかし実はこのルートをたどると、美術室バジの部屋に入れないことになり、尖塔の隠し通路の謎に迫ることができないのだ。そうなると、マルドゥークを抜け道に配置できなくなり、ファルガスには逃げられてしまうこと確定、と。

これだけの攻略劇を繰り広げたうえでその結果である。ひでえwww(超褒め言葉)

最初にこの謎を解いて楽譜を手に入れちゃったりしたら、楽譜入手ルートに拘泥して正規ルートを見失ってしまう自信がある。発見できなくてよかったww バッドルートに気合いの入った謎を配置するというのはそれほどすごいことなのだ。
ヴァイオリンに楽譜は確かに作品世界の中では最も正しい攻略法なのだが、正しい方法が実践できる方法とは限らない、と言われているようで好きだ。

あれ、でも待てよ?
尖塔の隠し通路に行けないとなると、ヴァイオリンが手に入らないよな?
処刑人室に入ると音楽室にも入れなくなるから、ソウ氏から楽器をねだることもできないし。
じゃあ、楽譜ある時って、どうやってヴァイオリンを手に入れるんだ?? いかんこれではまだ研究が必要かもしれん。ひょっとしたら全部手に入る攻略ルートって、あるのか……? それとも、ヴァイオリンがあって楽譜もある、という選択肢そのものがフェイク!?

くう。ここにきてここまで考えさせられるとは。

ちなみにこのエンディングの後、主人公はコビットのメイドが下りて入れ違いに乗ってきた司祭と仲良くなり、物語は釘ぜめの迷宮に続く……わけないか!ww

【釘ぜめの迷宮】 リプレイはこちらからご覧ください!!
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1867332495&owner_id=7076225


さて、実はひとつだけ選択肢が、とても納得いってない。

それは序盤のドワーフの坑道に入るか否かの選択肢だ。

ドワーフの坑道奥には王冠があり、この王冠は必須アイテムとまではいかないが、かなりの重要アイテム。
ところがこのドワーフの坑道に入る動機が、主人公にはない。
いや、動機がないのに入るってのは別にいいんだ。
そういうのはゲームブック上よくあることだからして。

問題はその逆で、「入らない動機」は山のようにあるのだ。

スタート時の、決行の時は近いから急がねばならないという雰囲気。
しかもティーボグ救出は迅速さを要求されると思っている。
さらにダメ押しで、同行のマルドゥークまでが、「そんなとこ入っとる場合ちゃうで」と読者の心境を代弁してくるのだ。

ゲームブックは繰り返しのゲームだ。先で手に入れた情報をもとに読者知識を再アタックで生かすのは当たり前のことだ。このシーンでも、後にティーボグに会うことで、ああ、あの坑道の中の王冠を手に入れておくといいことがあるんだな、と気づける。

でも、坑道に入るか否かの選択肢の時点で、入らない理由しかない中でプレイヤーの未来知識だけを理由に坑道に入るのは、なんか違う気がして。全体がリアル指向を追求して作っているからこそ、この部分だけ、作中の主人公ではなく、読者がゲーム的に選択をした、という気分になってしまった。
「入らない理由も入る理由もない」が展開的に無理なら、入らない理由もあるが、入る理由もわずかに感じられる、くらいにせめてもっていって欲しかった。たとえばあの坑道がもう少し要塞に近づいてからの出来事なら、私は勝手にティーボグ潜伏の可能性も考えてたかもしれないと思うんだw 中に入れば足あともあったし。

ただこれはあくまで私の感じ方。人生には不条理なこともあるし、常識的な判断が必ずしも正しい結果をもたらすとは限らない。だから間違っているわけではないと思う。
実際、ゲーム終了直後は強く思っていたが、時間が経ったら、これもありじゃない?と思えるようになってきてたりしてw


そして逆にとても見事だと感じる選択肢もあった。
それはファルガスを倒した直後の選択肢だ。

ファルガスを倒した後に、マルドゥークと合流するか、一人で脱出するかを問われる。
どちらを選んでも結局はマルドゥークがやってきて、一緒に脱出することになる。
一見意味がないように見えるが、合流を選んだ場合、問答無用でマルドゥークにやられてしまう。
後者だと、マルドゥークと対峙する展開になる。

選んだ直後の展開は同じなのに、その先に生きてくるのだ。
ここで、マルドゥークにべったりなのか、一人で脱出する心づもりなのか、それが問われているということだ。
このわずかな心の置きどころの違いが命運を分ける。とても良い選択肢だったと思う。




ところでこの変装潜入ゲームブック。
実は潜入中の主人公は完璧な変装をしているようでいて、想像するととても間抜けな格好をしている。
だって考えてみて欲しい。
太陽剣とサーバルの蜂という2本の剣、さらにヴァイオリンを持ち歩く背負い袋を背負った執事は怪しい以外の何物でもないだろうwwww




以上、とっても楽しませていただきました。
ここまでネタバレしまくりで語らせていただきましたけど、ストーリーわかっててプレイしても面白いこと間違いなし!
未プレイでうっかりここまで読んでしまった方も、是非実際に手にとって遊んでみてください。


さて、ゲームブックリプレイはもう1つストックがあるので、近々そちらもアップしていくと思います。
が、その先は、お仕事関係や資格の勉強などが入ってきて合間を縫ってたまには大船渡に行こうなどと無謀なことを考えており、かなり立て込んできますので、少々お休みをいただくか、頻度が落ちることになろうかと思います。ご了承ください。



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