世界三大架空名探偵をリストアップするとしたら，第１位がシャーロック・ホームズであることに異議を唱える人はいないだろう。
第２位はエルキュール・ポワロ（異論はあるかも）。
第３位に誰を挙げるかについては，少々争いがあるようだ。
ブラウン神父，エラリー・クイーン，ミス・マープル，フィリップ・マーロウ。
この中では，フィリップ・マーロウだけがちょっと異色なような気がする。
「タフでなければ，生きていられない。優しくなければ，生きている資格がない」
（If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.）
というのはマーロウの有名な台詞で，これがどういう背景から出たものかを知りたくて，一時期，レイモンド・チャンドラーによるフィリップ・マーロウシリーズを片っ端から読みあさった。
しかし，さっぱりピンとこなかった。
第２次世界大戦前のロサンゼルスという舞台背景について上手くイメージできないからなのかな，と思った。
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話はがらっと変わるのだけど，私がよく読んでいた雑文系サイトで，以前に，ロバート・Ｂ・パーカーの「初秋」というハードボイルド小説について触れられていた。
高校を中退してちょっと行き詰まっているらしい従兄弟へのプレゼントとして，この本を薦めたのだという。
それで私も，あのサイトの筆者が
「ぜったいおもろいから、いっぺん読んどけ」
「家族との関係に困難を抱え、自分に自信をなくしている少年に、この本は今でも最良の選択だったと思っている」
というお話がどんなものなのか，興味を持って読んでみた。
しかし，さっぱりピンとこなかった。
http://www1.odn.ne.jp/mushimaru/diary/dry0501.htm（このページの「２００５年１月１０日(月）」の記載）
スペンサーものは，マーロウものよりはより現代に近いアメリカ合衆国が舞台だったから，私がピンとこなかったのは舞台背景をイメージできなかったからではないだろう。
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以前に，何の弾みで買ったのだかさっぱり覚えていないのだけれど（空港の書店で，機内の時間つぶしのために，ミーハーにも，「乱歩賞と直木賞のダブル受賞作」という宣伝文句に引かれて購入したような気がする(^^;），藤原伊織「テロリストのパラソル」を読んで，大いに気に入ったことがある。
それで，受賞後第１作の「ひまわりの祝祭」を読んでみたのだけど，こちらは「テロリストのパラソル」とは違ってさっぱりピンとこなかった。
結局，「テロリストのパラソル」は大好きな小説だけれど，そのほかの藤原伊織の小説は私の好みではなかった。
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チャンドラーのマーロウ・シリーズはもとより，パーカーのスペンサー・シリーズ，そして藤原伊織の小説も，要するにハードボイルド・ミステリーに分類される作品だ。
ハードボイルドの名作と言われるマーロウシリーズやスペンサーシリーズが私の趣味に合わなかったことから，自分の読書傾向は海外ハードボイルド・ミステリーには合わないのだろうと思っていた。
反面，「テロリストのパラソル」だけは大好きだったから，日本のハードボイルドだったら性に合うのかもしれない，とは思っていた。
実際，栗本薫のハードボイルド作品のひとつと言われる，カルメン・シリーズ「アンティック・ドールは歌わない」は，かなり好きな作品だし。
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だから，原�錙覆呂� りょう）の「そして夜は甦る」のことを知ったときも，それほど期待はしていなかった。
（たしか，私がマーロウ・シリーズを読みあさっていることを知った当時の同僚から，勧められたような気がする）
原�錣虜酩覆�チャンドラーの影響を色濃く受けていると評されていることから，私にはやっぱりピンとこないかもしれない。
しかし，日本のハードボイルドだから案外気に入るかもしれない。
そんなことを考えながら，「そして夜は甦る」を読み始めた。
しかし，これが結構気に入ったのだった。
当時出版されていた探偵・沢崎シリーズ３部作と短編集とをたちまち読破し，新・沢崎シリーズ３部作の第１作も発売とほぼ同時に購入して読破した。
（中でも私のお気に入りは，短編集「天使たちの探偵」所収の「選ばれる男」）
以来私は，探偵・沢崎シリーズの新刊を待ち望んでいる。
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ハードボイルド，すなわち固ゆで。
要するに，容易には妥協しない，強くて固い精神，ということなのだろう。
そんな精神性とは別に，世に言うハードボイルド作品には暴力表現を前面に押し出しているものがある。
それはそれで一定の面白さを有するのだけれど，どういうわけか私のツボにはあまりはまってこない(^^ゞ。
(アニメ・漫画だったら，「MADLAX」とか「GUNSLINGER GIRL」は結構好きだったなぁ。「攻殻機動隊」は趣味に合わなかった。)
誠実であるということに妥協しないでいられる，そんな強さ（タフさ）を身につけられたらいいのに。
それこそ「タフでなければ，（真の意味で）生きていられない」はずだから。
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ま，５０年近く生きてきて，身についた信条が「長いものには巻かれろ」だけだったという自分が情けないのだけれど。
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