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2012年07月24日13:44

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憧れの南ア南部 赤石岳〜荒川三山ー3

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7月21日

雨が降ったり止んだりしている。今日は一日そんな天気のようだ。晴れは望めない。
小屋に泊まった6人のうち、連泊していた男性と安藤さんはお天気が悪いから下山すると言った。甲斐駒から縦走してきた二人は聖平まで行くと言う。私はこんな天気で縦走しても・・・という気持ちとせっかくここまで来たのだから・・・という気持ちの中で揺れていた。飯塚さんにどうしますかと聞くと、千枚小屋まで行くと言う。私の気持ちも決まった。

5時半過ぎに出発する。しばらくすると、「お〜〜〜い、忘れ物!!!」という声がした。私たちも戻ると、おやじさんがビニール袋を持って追いかけてきた。中には着替えとドコモの充電器が入っていた。だが、それは私のでも飯塚さんのものでもなかった。早く出発した安藤さんの荷物だろうと言うことになった。まだ小屋に残っている連泊の人に椹島まで持って行ってもらうことにした。

小赤石岳に着くと、一人の女性がいた。椹島へのバスで隣だった女性だった。彼女は千枚小屋、荒川小屋と泊まって、その日は聖平まで行くと言った。再会を喜んで別れた。

小雨が降ったり止んだりする中を進む。ガスで景色は見えないが、花たちが慰めてくれた。
荒川小屋で一服する。ここは標高2620m、赤石岳から500m下ったことになる。
荒川前岳、中岳と登って一旦下り、また登り返して標高3141mの悪沢岳に着いた。東岳とも言う荒川三山の主峰だ。相変わらずガスで何も見えないが、達成感で一杯だ。

1時45分に千枚小屋に着く。出発してから8時間だ。雨の中良く歩いたなと自分でも思った。
新築の小屋は今日がオープンだった。雨の中でテントを張る気にはなれなかった。小屋の人に聞くと、素泊まりの人は別棟になるという。真新しい小屋に泊まってみたいが、食料は持っている。それに新館は人が多かった。自炊小屋ならすいていますよと言われて、そうすることにした。

百枚小屋と書かれた自炊小屋は冬季は無料開放される小屋だったが、きれいだった。
まだ誰もいなかったので、一番奥に陣取って着替えた。小屋で買ったワンカップを飲む。肌寒くてビールを飲む気にはなれなかった。
結局その小屋はテントの予定だった人が次々と来てけっこう一杯になった。

7月22日

起きると雨は上がっていた。少し明るい。雲のすき間から少しだけ青空が見えた。このまま下山しようか迷った。千枚岳に登ってみようかと思ったのだ。もしかしたらガスが晴れるかも知れない。
ポカリとカメラを持って千枚岳に登った。だが、やはりガスがかかっていた。それでもたぶん、聖岳と思われる山が見えた。

小屋に戻ると飯塚さんがいた。彼は新館に泊まったのだ。今日は4時間下って二軒小屋に泊まってのんびりするそうだ。
3日間行動を共にした。山頂ではお互いに写真を撮り合った。他には誰もいないことが多かったから、お互いがそれぞれのカメラマンになった。
「生憎のお天気でしたね。」
「でも、お天気が悪かったからあの赤石避難小屋に泊まれたんだから、雨で良かったかも知れないですね。」
握手を交わして右と左に別れる。

椹島への道は途中までは快適な道だが、途中から登り返すと歩きにくくなる。登山道が大きく崩れて巻き道になったのだ。途中で今回初めて若い山ガール山ボーイ風の二人連れに会った。女の子のほうが「こんな急な道がまだ続くんですか?」と聞いた。
「ここだけですよ。」と答えると、ほっとした顔をした。とは言え稜線に出たらさらにアップダウンが続くのだが・・・

12時20分に椹島に戻ってきた。10時頃から降ってきた雨は少し小降りになっていた。トイレで着替えて13時発のバスを待つ。
私の南アの山旅が終わろうとしていた。

南ア南部、若い頃からの憧れの山だった。学生時代に男の人たちが縦走した話を何度か聞いた。行ったことも地図を見たこともなかったが、山の名前や峠の名前は聞いて知っていた。
その一端を歩くことができた。
お天気は良くなかったが行ってよかった。私はいっぺんで南ア南部の虜になった。そこには静かな南ア南部を愛する人たちがいた。私もその一人になった。

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「あんな天気で、南ア南部を嫌いにならないでよかったよ。」そう相方が言った。
ここにも南ア南部を愛する人がいる。

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