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2011年09月06日18:07

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永遠の華宵展 麗し乙女のロマンティック・イラストレーション〜抒情画家・高畠華宵の世界〜

弥生美術館で開催中の『永遠の華宵展 麗し乙女のロマンティック・イラストレーション〜抒情画家・高畠華宵の世界〜』に行きました。

華宵〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
ひゃっほうっ!!

弥生美術館は、私が1番リピートしている美術館です。間違いなく。だって、華宵の常設展示があるんだもんっ!!今回は、常設ではなく、そのままズバリの華宵展。まぁ、2年に1回くらいは、弥生美術館で華宵展あるんだケドさ(^_^;)。
今回チケットは、新聞屋さんから貰いました。新聞屋さんグッジョブ!!指でOK私、チケット自分で購入して行こうと思ってました。併設の竹久夢二美術館の方は『センチメンタル・ビューティー 夢二式美人画展』をやっていたのですが、私の好みで、弥生〜の方中心にサックリご紹介〜。

華宵の絵は、耽美です。良く言われるコトだケド、華宵の描く絵は『女の子は少年が女装しているように見え、男の子は、少女が男装しているように見える』のです。この中性的な感じ。そして、そこはかと・・・時にはもう、思いっきり漂う、同性愛チックな淡い恋愛の情。こういうのが堪らんワケですよ。耽美バカの私にはね。

冒頭、当時活躍していた挿絵画家の絵も展示してあった。蕗谷さんとか、須藤しげるさんとか、中原淳一さんとか。夢二もあった。
私、夢二さんの絵って、そんなに好きじゃないのだケド、ここに展示してあった『夢よ浅かれ』と言う、着物姿の美少女が横座りしてる絵は、はんなり色っぽくって好きだったな。

あと、須藤しげるの『靖国神社』。着物と洋装姿の少女のツーショット。昭和8年の絵だからかな?桜咲く靖国神社が背景だ。

高畠華宵は、洋傘デザインをして、そこから小西六(今のコニカミノルタよね?)、そして、ツムラ(津村順天堂)の中将湯と言う婦人薬のイラストで大ブレイク!!中将姫ですな。当時暗いイメージのあった、婦人薬を、このイラストで変えたのです。
でも、1番有名なのは「バスクリン」の広告絵じゃないか・・と私は思うんだケドね。

で、ここから、各種雑誌の表紙絵を席巻していきます。『少女の國』に『少女画報』に『少女倶楽部』。
『少女の國』の表紙絵。おさげ髪の女の子と、ラジオ巻き(耳のところでオサゲをクルクルと巻いて耳を隠す髪形)の女の子の2ショットが可愛らしい。

『菊咲く日』。本を持って俯いてる少女。ちょっと憂い顔。手前には菊の花が咲いている。

『帰路』。洋装の2人の女性。後ろには西洋風の町並みが広がる。街を闊歩しているモガですな。

『なかよし』。帽子を被った2人の少女が頬を寄せている。こういう表現が所謂、そこはかとない淡く色っぽい同性愛表現。当時は「エス」って言ったんだケドね。
上級生の「お姉さま」と、下級生の女の子がカップルになる擬似恋愛なのだが、やったコトは「お手紙の交換」とか「お揃いの物を持つ」とか「お揃いの髪型にする」とか、そんな他愛もないコトでした。それでも、当時の少女はドッキドキものでやっていたんだと思うよ。
今みたいに、メールで男の子と待ち合わせの約束して、会って即やっちゃう・・みたいなコト出来ませんからね。

男装の少女と女の子のカップルの絵もあった。こう言うエスっぽさは、華宵はホントに上手いねぇ。

『椿』。椿の花を着物姿のお姉さまに飾ってあげる洋装姿の下級生の女の子。「お姉さま。似合ってらしてよ。」そんな台詞が聞こえてきそうです。

『春の海辺』。和服姿の女の子と洋装の女の子が海岸に座って海を見ている。
華宵の好み・・と言うより、当時の風潮なのかも知れないが、洋服の女の子と和服の女の子って言うペアが多いのね。西洋文化が庶民に取り入れられ、丁度「和洋折衷」の時代だったんだな・・てのが分かる。

私の大好きな絵と再会。『朝顔』。私、この絵、大大大大大好きハート達(複数ハート)。朝顔が咲くお庭・・なのでしょうね。朝顔をバックに、手紙を持った少女がちょっと憂いをおびた顔で斜めを向いている。何か考え事をしているんだろうな・・と。そして、それは手に持った手紙に関係があるのかな?と。大事な人・・彼氏かも知れないし、お姉さまからかも知れないケド、そんな相手からのお手紙なのかな?とか。
この女の子の顔。私、女優の緒川たまきさんに似てると思うんだ。ケラ夫人ね。

この頃。便箋は少女達の大事な大事なコレクションアイテムでした。綺麗な表紙絵が描かれ、コレは集めて、女の子は、部屋に大事に飾ったのです。「私もこんなレディーになるのだは」と夢があったのでしょうね。便箋の中身もアールデコっぽいデザインだったりして、超オシャレ。
華宵は、『華宵便箋』と言うのがあるのですが、コレが爆発的に大ヒット!発売日には、自動車や、馬車で乗り付けて皇族の姫君が買いに来たりしたらしい。ひえぇぇ〜。
皇族のお姫様って言っても、やっぱり女の子なんだね。

私のお気に入りは、『清きたより』。ピンクバックに、羽ペンを持った凛とした少女が描かれている。左手には手紙。誰に手紙を書くんだろう??

華宵は挿絵で当たり、便箋で当たり、鎌倉に「華宵御殿」と呼ばれる大きな家を建てます。傍らには美少年の弟子を傅かせ、料理は鎌倉の有名レストランから、冷めないようにと1品づつ運ばせた・・と言う超贅沢生活。天蓋付きのベットで寝てました。
で、原稿料で揉めたりして事件起こしたりするんだよね(^_^;)。

『清香』。全体的に藤色で蘭が散りばめられた横向きの少女。
『願ひ』は、エスニカルな衣装を纏った美女と月だ。

華宵は浴衣や、帯や着物のデザインもするのだが、当時の着物のオシャレ着方を再現してあった。レコード柄の着物に、原稿用紙とバラの図案の帯を合わせてたり。スゲエ、モダンだぁ〜。今よりよっぽどオシャレのような気がしちゃうよ。品あるし。レコード柄の着物って何??(当時は流行ってたモノを、着物の図案に良く使ってたみたいよ)

華宵は、薔薇の花を良く描きます。赤い薔薇は情熱。白い薔薇は純潔。黄色い薔薇は可憐・・と分けて描いていたようです。でも、華宵さんはお花は何でも好きだったそうな。
『愛しバラ』。灰水の背景に肩を出してバラを持った少女の姿。ちょっと大人っぽい雰囲気ですな。

他、華宵デザインの浴衣の広告とかも展示してあったのだが、『婦人世界』の蜘蛛の巣の浴衣が凄くモダーンなんだ。この絵自体も良い!!美女が紺色ベースの蜘蛛の巣の浴衣を着て、妖艶に微笑む絵。当時雑誌を見たご婦人方は「私もこんな色っぽい美女になれるかも!!」と、華宵デザインの浴衣を買いに行ったんだろうね。

華宵は女の子も上手いけど、華宵といったらやっぱり美少年でしょう!と言う、美少年好きの為のコーナーもありました。まぁ、当然だケド。
もう、コレは是非行って体感して欲しいのよ。この華宵の美少年を描く時の熱さと情熱と、あと、もう・・なんだ。ぶっちゃけ、少年愛くさい・・って言う(^_^;)。

昔、私は「華宵って、何で、あんなに男の子の生足を描きたがるんだろう?」って不思議に思った。今なら分かる。単純に「男の子のスラっと伸びた足が好きだった。」ってだけだろうね。だから、華宵の男の子の絵は、着物破けチラリズム率がハンパじゃねえ(^_^;)。エロイ。
あと、男の子のツーショットは軒並み「コレは・・・友情・・ですかね?」って言う部分がある。

華宵は雑誌『日本少年』の表紙絵を描き、後に『少年倶楽部』が引き抜くんだったかな(前述の原稿料で揉めた事件ね)。

『銀色の少年武者』。馬に乗る少年武者の絵なのだが、見た瞬間「山本タカト?!」って思った。山本タカト氏の絵に似ていたのだ。いや、逆なのは分かってるよ。山本タカト氏の絵が華宵に似てるんだろうケド・・・。でも、今までそんなに「似てるかな?」だったのだが、この絵は「似てる!」でした。(丸尾末広氏は、華宵を意図的にパクったので、そりゃ似てるは・・って言うね)

華宵は、池田扶養の『馬賊の唄』の挿絵をやったのですが、コレ何度見ても見事よね。ペン画なのだが、ホント細かい。そして恰好良い。「えいや!」と悪漢を倒す日出男少年。
『馬賊の唄』は、まんま、丸尾末広が漫画でパクってたよね。

『月光秘曲』。これも私には堪らんモティーフ。馬上で横笛を吹く美少年の若侍。そばには馬を引く従者の男。何かね・・・その・・もう、色っぽい。従者の男性、この若侍のコト、ちょっと好きなんじゃねえか?って思う(^_^;)。いや、華宵が描くと、絵に色気があるので、どうしても皆そうなっちゃうんだケドさ。

しばらく行くと、ほらあった!『南蛮小僧探偵奇譚』。錦屋事件のところ。深い意図はないのは分かる。分かるよ、分かるケドね。華宵が、美少年2人を並べて布団に寝かせる絵を描くと、もう、何だ、腐女子的に「有難うございま〜す!」って言いたくなります。この漂う、妙な色香は何なのサ??

『雨中の銃声』。銃を構えた男の子に寄りかかるようにして、怪我した少年がいる。美少年に血。それだけで美しいが、コレを2ショットでやられると「美しいケド、何か妖しい・・・」になります。
そして、相変わらず、着物の少年は着物破けて、綺麗なおみ足が見えているんだな。華宵さんは、単純に少年の足が好きな足フェチだったんだろうね。

華宵は北海道で展覧会を開いたそうな。ある駅で駅長さんに色紙を頼まれて、書いていたら列車が到着。華宵は焦るも、駅長さんは「ご心配なく。私が合図せぬうちは、発車いたしません。」と答えたらしい。華宵は「大陸的だな・・・」って思ったんだそうな。
北海道での展覧会は成功したらしい。

華宵の地元。宇和島・松山でも展覧会をやったらしい。実家は生糸の仲買人をやっていたそうなのだが、お兄さんがやり手で工場にして、地元の名士になっていたそうで、華宵はそれにコンプレックスがあったらしいのだが、この展覧会が成功し、故郷に錦が飾れたので、華宵は満足したみたい。

『若水』。若水を汲んでる男の子の絵なのだが、目線が「何処見てるの??」なんだよね(^_^;)。手元は見ていない。目がうつろなんだよなぁ。

『主税の奮戦』。少年剣士が刀を持ってお屋敷に乗り込んだところ。恰好良い〜。

当時の化粧品の宣伝イラストなども華宵は描いている。
『べに椿』。紅を塗る洋装の少女。赤色が華やか。
今も昔も、女の子は美には敏感で、一重がイヤで悩みすぎて自殺する娘さんもいたそうな。あと、「太っていてダイエットしてます。」みたいな悩みも当時からもうあるって言う(雑誌にそういうお悩み相談コーナーがあるのだ。今と一緒だね)。
「肌が黒いので、何とかしたいです。」とか。女の子は大変です!!

当時の流行。当時やっと、女性も外で働く「職業婦人」と言う言葉が出来る。それでも働いていた女性は一部だケドね。
人気職業は、タイピストや、百貨店の店員さん(デパートガール)、おしゃれカフェの女給さん。

セレブリティは女性は仕事しちゃダメ!!って言う風潮が強かったらしく、セレブっぽく、音楽界などへご出席。そんな絵もありました。
『舞踏会の宵』。大きな扇を持った洋装と和装姿の美女2人。これから社交界の舞踏会ですな。
『音楽界の宵』。こちらは洋装と和装の少女2人が舞台袖で出番を待っている。ドキドキ感が伝わります。洋装の女の子が着てるオレンジ色のチュニックが可愛いんだよな〜。

『落葉』。クロッシュ帽に緑色のワンピースの女性が本を読んでいます。秋景色で、ちょっと寂しげにも見える。

華宵は後年、挿絵から日本画にシフトチェンジするのですが、その日本画の展示もありました。
『江戸娘』って絵が好きだったな。白地の絣の着物・・なのかな?手に団扇を持って鈴虫を追っている。風雅な絵ですな。

そんな大ブームの華宵。ブームになる・・と言うコトはいつか終焉を迎える・・・と言うコトです。ブームはいつか終わるから。「ブーム」とは、そういうモノです。
当然、華宵ブームも終焉を向かえ、昭和に入ると、古い挿絵画家になり、人々からは忘れ去られて行くのです。
コレが、大衆文化の悲しさでもあり、そして、ブームを起こせるだけの力があるのも又、大衆文化だからなんだよ。

そんな感じの華宵展。美少年萌え。美少女萌えをしたい方、大正浪漫に浸りたい方も是非どうぞ!

いつもは3階で華宵の常設をやってるのだが、今回は高柳佐知子さんの挿絵展示をしてました。『フェアレディ』や『ジュニアスタイル』にメルヘン画っぽい絵を沢山描いてた人なのだケド。見れば皆分かると思います。手書き文字+アメリカ風のメルヘン画スタイル。

夢二の方は、夢二と夢二と関係を持った女性達の展示でした。
『微風の丘』は好きだったかなぁ。藤色の服の少女が寝転がっている絵。
あと、『APL・FOOL』は好きなんだ。カフェの女給さんの絵。仮面を持っててね。後ろにちょっと吃驚する紳士が描かれている。コレは絵葉書があったので買ってきた。
『夜の花里』も好きだったな。羽織と縦じまの着物の女性。本を持って流し目。夢二の絵の女性って流し目多いよね。

華宵の新作絵葉書が3枚あったので、それを購入。あと、持ってるケド、私が大好きな『サロメ』の絵葉書を買っちゃったハート。洗礼者ヨハネの首を持つ美麗なサロメちゃん。この絵葉書は誰かに出そうと思ってます。

展示は9月25日までやっています。
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