出だしはまた懐旧譚から。
中村さんにしろ大久保さんにしろ、最初はアイリッシュ方面で活躍されているという意識があまりないまま、それぞれ少し違ったジャンルで接して気になっていった流れでした。その自力で好きになった感じがかえって愛着につながっているかもしれません。
そんなわけで、ハンドリオンのライブ会場にShuzo Bandのアルバムを持参し、大久保さんに初めてそちら方面のお話をうかがったのは北海道への異動も決まった後の２月。pororocca with annie廣瀬さん大久保さん中村さん３人揃った状態で初めてアイリッシュ本流の演奏を拝見できたのは実に３月１４日ころ。荷造りもそこそこに訪れた大崎シャノンズでした。
それ以前の機会を含めても最後の半年くらい。心残りでしたから、その後もライブスケジュールをチェックしたりしていたのです。
東京在勤中は盆暮れくらいしか帰省せず、北海道との心理的な距離は遠かったのですが、札幌では出張の機会もあったり、年末年始等の繁忙期以外だと旅の手配もそんなに苦労ではなかったり。
そのような流れで、2009年9月に再び大崎でポロロッカのライブを鑑賞できたのでした。芸大ケルト部の後輩イリアンパイプの中原直生さんが参加されることはポロロッカのお二人がお書きになっているのを前もって読んでいましたが、当時はそれ以上の予備知識はありませんでした。
せっかく上京する機会ですから、行きたい催しが重なった日程を狙うことになります。S氏のいない単独行動でしたが、その土日も三本ずつぐらい予定を入れていて、大崎に1時間くらいいられるからちょうど1ステージ目までを観ていけるかなと。
僅かな時間でしたが、フィドル、アイリッシュハープ、イリアンパイプの組み合わせの贅沢さを味わいました。その時のイリアンパイプはおそらくまだプラクティスセットで、音量も今ほどではなかったと思います。完全形になるともっとパーツが増えるという趣旨の説明をしてくださったのは確か廣瀬さんだったのではなかったでしょうか。中原さんの肘と指の動きも何となく目に残っている気がします。
1ステージ終えられたところで、約半年ぶりの廣瀬さんと大久保さんに慌ただしく御挨拶し、初対面の中原さんには「初めまして」との会釈程度で失礼することになりました。気づかないうちに雨が降り出していて、ゲートシティへ駆け出した記憶が残っています。
今でもお若い中原さんは当時まだ10代だったのですね。いい意味であどけない感じが印象に残ったものの、その時は再び機会があるかどうか考えは及びませんでした。
ところが、それから約1年の間、私がスケジュールを気にするようなゆかりの方々との共演にお名前をよくお見かけするようになり、梅田さんとのユニット生梅など、どんどん活動を広げられ、パイプもハーフセットに進化を遂げられている御様子。こちらも札幌で中津井さんの演奏を聴く機会があって多少は知識が深まったり。
昨年11月の埼玉県某所出張の折に新宿ルミネエストの屋上に行けたのはいい機会となりました。拝見できたのはトータルで30分程度ではありましたが、今度は坂上さんのハープと大久保さんのフィドルというまたしても贅沢な顔合せ。前年9月のことを覚えていてくださったのも嬉しかったですし。
その直後にパイプは今度はクォーターセットになり、引き続きライブ活動なども各所で盛んな御様子。また拝見したいと思っていたところに、今度は2か月ほどで、折良い時間帯に千駄木の古書ほうろうでg-celtの皆さんが演奏される機会と遭遇したのでした。
生梅もいつか観てみたいものですが、東京のアイリッシュシーンの一方の源流となったg-celt現役の皆さんとも貴重な機会です。CDを作成して記念の行事をされたことや、同じメンバーで12月に根津珈琲店で演奏されたりしたことなども伝わってきました。
さて、やっと本題ですが、古書ほうろうは昨秋北海道に来られた加藤千晶さんもかつて演奏されたことがあったり、その名はかねて目にしていました。
tricolorのバスキングがわかる前は、開演までゆっくり古書探しなどしてみたいとも思っていたのですが、吉祥寺で名残を惜しんだため、急いでちょうどくらいの時間。西日暮里駅の改札で方向感覚を失って時間をロスしてしまい、たどりついた時には演奏が始まっていました。
かなりの御盛況ぶりで、椅子を出していただいたのは書架と書架の間。それでも位置が正面に近かったので、鑑賞にあまり不自由はせずにすみました。
ボタンアコーディオン、バウロン、フィドル、ホイッスル、ブズーキ、そしてイリアンパイプとみごとなケルティックアンサンブル。北海道だとまず大ベテランのHard to Findが思い浮かびますが、若い学生さんたちがこのような贅沢な編成を組んで地域で自然に演奏活動をされているのは羨ましくなるところです。
あゆさん、まりかさん、みなみさん、野崎さんら、お名前を目にしていた方々のお顔と担当楽器が今回一致した気がします。違ったら失礼。皆さん大学や院での御専攻は必ずしもアイリッシュ方面とは限らないようなのに、特異な楽器をこれだけ弾きこなすことにも感心させられます。
時間が経って記憶が少し怪しくなってきましたが、中原さんはホイッスルも手にしておられたように思いますし、早速拝見できたイリアンパイプの追加パーツについてはまだちょっとお試し中のようでもありましたが、レギュレーターを押さえて低音を響かせるのがわかった時がありました。パーツが外れて「製作者いないですよね」なんて発言も。
また、足元をかたしていたかと思うと突然すっくと立ち上がり、ステップを踏み始めた時は、そういうことがあると聞いてはいたのですが、度肝を抜かれました。回転をつけてスカートもふわり。
御本人によるとタップとのことで、アイリッシュダンスとは親戚だからよいでしょうと。私は全く疎いのですが、リバーダンスというのも近いのでしょうか。
ダンスミュージックから発達したアイリッシュとはいえ、こういうパフォーマンスは初めてで、貴重な飛び道具たりうると思いました。
終演後は噂のCDをほうろうのレジで購入。来店していた方々と交流されるメンバーの皆さんに我々も御挨拶しました。
恥じらって近寄ってこないというのは同行のS氏のことを言ったのですが、中原さんに言ったと誤解されたでしょうか。念のためここにも記しておきます。
11月に続いて機会があってよかったですが、回を重ねるとまた次を拝見したくなります。いつになるか、また機会が得られるとよいのですが。
その夜はハンドリオンを予定し、その後同じ西荻窪ということでのみ亭に流れてきてはとトシさんに言われていることをお話すると、中原さんはショーキーさんがおいでになっていることを把握されているようでしたし、まりかさんでしたか、トシさんによろしくとの言葉もいただきました。交流あるのですね。
帰りは往路と逆に谷中ぎんざやよみせ通りの景観を楽しみつつゆっくり日暮里駅へ。旅の大きな目的を果たすべく西荻窪のハンドリオンライブに向かいます（続く？）。
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