https://www.youtube.com/watch?v=lJ2AzGQ8CWI(ジョン コルトレーン Say It )部屋のオーディオからは、コルトレーンが聴こえていた。入れっぱなしにしていたCDを、私はそのままかけていた。相変わらずジャズを聴いてるのね。静かに笑みを浮かべながらH
私たちが、妙に気が合うなと思ったのは、そういった不思議な関係性の故なのかもしれなかった。知り合ってまだ間もない頃、Hとは、本当は随分前から知り合っていたのではないか、そんな感じがするね、という話をした事があった。前世では兄妹だったのかもしれ
妹として育った女性には、それ特有の資質、性格があるように私は思う。ただの甘ったれなのか、甘え上手なのか判別しかねる、といったもので、Hにもそんな処があった。また、天然で突拍子も無いことを言ったり行動をしたり、どこか危うい、目が離せない、そん
Hには五歳ほど離れた兄がいたが、Hが二十歳頃に他界していた。その兄は、小さい頃はよく面倒をみてくれていたと、Hは話していた。夏になると、近所の神社では小さなお祭りが催され、Hは兄と連れだって行った。自転車の荷台に乗せられ、絶対に手を離すなよ
先にシャワーを使うよう、Hに言った。ずぶ濡れのままでは、いくらなんでも中の中にまでは上げられないし、H自身そのままで良い筈もないだろうから。項垂れたままのHを風呂場に促した。そして黙って服を脱ぎ出したHを一瞥し、私は一旦部屋に戻った。程なく
それは女の声だった。Hと言われて、私はすぐには判らなかった。しかし僅かながらも感じていた身の危険は、その声で少し収まった。とはいえ、不審感は、まだあった。どうしたものかと思っていると、あ、あ...あの、以前に別れた...Hです。とドア越しに
「Hの為のレクイエム 第1章」玄関のチャイムが鳴った。それで目が覚めた。覚めたといっても、意識はまだ、深い眠りの淵にほとんど浸かったままだった。何かの聞き間違いだろうと、私はそのまま、また眠りについた。再びチャイムが鳴った。今度は間違いとは