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2013年08月25日21:00

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Requiem for H 6

私たちが、妙に気が合うなと思ったのは、そういった不思議な関係性の故なのかもしれなかった。
知り合ってまだ間もない頃、Hとは、本当は随分前から知り合っていたのではないか、そんな感じがするね、という話をした事があった。
前世では兄妹だったのかもしれないね、とそんな下らない話をした事もあった。



シャワーの音がいつ止んだのか、外の雨音が大きくて聞こえなかった。
私は部屋で、ボリュームを絞って音楽をかけていた。すっかり目も覚めてしまっていた。

ふっと部屋の戸が開いて、Hが顔だけを覗かせていた。入っていい? と訊くので、いいよ、と答えた。

いいよと答えるに決まっている。
突然の訪問ではあったにせよ、この状況で、誰がダメだと言うのだろう?Hには、そういった遠慮がちなところが多々あった。控え目で人任せで、ぼんやり後から付いて来るようなところがあった。

かといって、万事において従順で素直なわけでもなかった。
時々、頑固なのか強情なのか、私からすれば無意味に意地っ張りな、そんな面もあった。また、私がどう答えるか分かっていて訊いてみた様な、そんなちゃっかりした面もあった。迷子に泣きながら、しかし綿菓子を離さなかった、あの時の妹の様に。
色々なそういった性格が、それが妹タイプなのだろうかと感じたことなど、私は少しずつ、かつてのHを思い出していた。


とりあえず座りなよ。と言って、私はHに座布団を出した。
ビールは切らしているけど、ウイスキーならあるよ。と言うと、あなたが付き合ってくれるなら、とHは笑顔で答えた。

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