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開催終了ミッション1 【巨大戦艦破壊】

詳細

2009年05月23日 09:17 更新

『ジオン公国物語』〜雄飛の秋(とき)〜 第一次ミッションの戦場になります。

歴史を逸脱する外史、その軌跡がここに・・・・。

※参加する際はレギュレーションの確認をお願いします。
 レギュレーションはトピック【レギュレーション検討トピ】に記載しております。

コメント(76)

  • [37] mixiユーザー

    2009年07月20日 10:11

    「・・おん・・・ろっと・・・・こえる・・・・・こちら連・・・・・・」

    ミノフスキー粒子の影響で雑音がひどいが、ツキノは通信機の感度を調整し、ノイズを取り払った。

    「聞こえるか!!こちらは連邦軍中央アジア本面軍第4師団特務部隊副官のヘルト大尉だ」

    「聞こえます。こちらジオン公国独立遊撃部隊「アーク」所属、マサノリ・ツキノ伍長です。ヘルト大尉、通信の理由をお聞かせ下さい」
    「細かい話は後だ。故あってジオンに亡命する事にした。信じる信じないはお前らの勝手だが、今のままならお前ら全滅だぞ!!」
    「・・・!?」
    「今お前らが戦っているのは強化人間といって、人工的に作り出されたニュータイプだ!!だが不完全で戦闘できるのは5分間だけだ。5分を耐え抜くんだ!!これからお前らを援護する。研究中で効果不十分だが、動きを一時的に鈍く出来る。その隙に倒せ!!」

    そういうとフライマンタの機首から、10発のミサイルがジム・ストライカーめがけて発射された。
    ミサイル自体、かわす事など10機のジムストには造作もない事だが、このミサイルはただのミサイルではなかった。
    発射されて数秒後、突然ミサイルは数千発の小型ミサイルに分裂し、文字通り雨のようにジムストに降り注いだ。
    これには流石の強化人間でも避けきれなかった。次々に命中する小型ミサイル。
    ミサイルはジムストに命中した後、中から液体が放出され、MSの表面を覆う。
    不思議とジオンMSには当たらなかった。

    これは後日談だが、このミサイルは連邦の対MS用粘着ミサイルで、数千発のミサイル1発1発に誘導能力があることがウリである。
    この為、乱戦中に発射しても、味方機には当たらずに敵にだけ当たるのだ。
    そして避け切れなかった敵MSに命中した後、敵の動きを封じ、棒立ちになったところを味方が叩く。
    ただし、研究中の兵器らしく、粘着力が不十分で、MSの動きを封じる事は到底無理で、若干機動力が低下する程度でしかない。
    ヘルトはこのミサイルの誘導プログラムに細工をし、逆に連邦MSのみに命中する様にしたのだ。


    「・・・ミサイル全弾命中!!被弾後の敵MS、機動力約8%低下!!」
    ツキノの報告を聞いて、矢島が通信回線を開く。

    「こちら「アーク」司令官の矢島大佐だ。貴官の英断に感謝する。我々は未だ交戦中で護衛をつける余裕は無いが、アークの座標は転送しよう」
    「大佐・・・」
    「ツキノ、こいつは本物だよ。みろ、味方に撃たれてるじゃないか」

    ジムストに粘着弾が被弾した後、基地防衛用対空機銃座が一斉に火を噴き、フライマンタに襲い掛かる。巧みに回避するフライマンタ。

    「・・・分かりました。アレン!!機銃座を先に破壊して!!時間がないから1発で仕留めてくれよ。左翼リリィ軍曹とシーモア中佐は中央の敵を左から、右翼ユリアナ一等兵とカレン准尉は中央敵を右から、共に包囲して仕留めます!!」

    「自分はどうするでありますか?」
    「ガルル少佐とサイキライカ上等兵は、その間、敵両翼を押さえていてください。大変でしょうがお願いします!!」

    「りょ、了解!!こいつは骨が折れそうだ」
    「了解であります!!サイサリスの力、みせつけるであります!!」
    「アレン、機銃座の破壊が終わったら両翼に注意を払って!!味方がピンチになったらカットを頼む」
    「了解!!」
    「大佐!!このチャンスに一気に中央を叩きましょう。」
    「了解!!」その命令なら喜んで拝命しよう♪」


    アレンはツキノの期待通り、陸戦型ゲルググ用ビーム・ライフルの精密射撃で機銃座を黙らせた。
    アーク方面へ飛び去るフライマンタ。

    「貴官らの奮戦を期待する。アークで貴官らと対面出来ることを信じてるぞ!!」
    「ヘルト大尉!!教えて下さい!!グレイは、グレイは巨大戦艦を見つけましたか?」
    「・・・巨大戦艦は貴官らをおびき寄せるデマだ。潜入したMSがどうなったのかまでは私も知らん。が・・・」
    「強化人間3機と戦わせられているからな。私にもどうにもならなかった。諦めろ」


    驚愕の事実を知り、呆然となるツキノ。
    戦いはさらなる混迷の泥沼へと突き進む・・・・。
  • [38] mixiユーザー

    2009年07月23日 13:15


    37〜サイキライカ死亡フラグ(激マテ


    若干とはいえ機動力が削がれた二機のジム・ストライカーを無視し、サイキライカは迷わずザク2を反転、クラウン・イミテイトとイェラーヤーが抗戦する一機に接近するとクラッカーを固くなった砂に叩き付けた。

    夜の闇とクラッカーの煙幕が重なり視界が完全に無くなった事を危険と緊急離脱して、残る二機と合流を果たすのを確認しながらサイキライカはカレンに行くよう促す。

    「カレン!!聞いたな?」
    「で、でもライカ・・」
    「行け!!」

    鋭い怒気でカレンの抵抗を遮る。

    「間違うな。
    ここで奴らを仕留めるの俺の仕事だ。
    俺の女なら、務めを果たせ!!」

    それだけ言い残し、サイキライカは二人から離れ、身構える三機へと突撃を開始した。

    『お兄ちゃん!!』
    「駄目よ!!」

    追いかけようとするユリアナを、カレンはレバーを握り潰しそうな程強く握りながら抑える。

    『でも、』
    「ライカなら、彼なら生き残るわ。
    その為にも、私たちも行くわよ。」

    カレンの声が泣くのを堪えるような響きを含んでいるのに気付き、ユリアナは溢れる涙をそのままに【了解】とシンチャを打った。


    〜〜〜〜


    「ずいぶん見せ付けてくれるじゃないか。」

    ジム・ストライカーと貴我距離30メートルの地点で対峙したサイキライカに、ツキノさんの計らいか、ご丁寧に秘匿通信で剣一がそう通信を送って来た。

    「たまには言ってやらないと不安がりますから。
    そっちはどうです?」
    「まあまあきついな。
    理枝が頑張ってくれたおかけで、お前さんよりはマシだがな。」
    「それは重畳な事で。」

    ジム・ストライカー達がゆっくりと動きだす。

    「そろそろ忙しくなりそうなんで、最後に。」
    「・・・。」
    「機体が持ちそうに無いんで、帰りのタクシー用意しておいて下さい。」
    「おいおい、黄色いのは呼びたくないぜ。」
    「まさか。
    剣一さんの奢りで白タク頼みますよ。」
    「そっちならいいぜ。
    せっかくだ、全員分のリムジン呼んで、キシリア閣下に領収書送るとしよう。」
    「いいですね。それ。」
    「だろ。
    ・・・また後でな。」
    「ええ。
    ・・・では。」

    通信を終えると同時に、ジム・ストライカーが三機同時にブーストを併用して肉薄せんと迫る。

    「さあて、チャッチャと片付けさせてもらおうか。」

    軽い口調とは真逆の、獣のごとき殺気を放ちながらサイキライカは笑った。
  • [39] mixiユーザー

    2009年07月31日 09:28

    38〜サイキライカリタイアまで


    ほぼ同時に繰り出された三本のビームスピアに対し、サイキライカは一切迷わずザク2を真上へと跳躍させ、真正面からビームスピアを繰り出した『No.11』を狙いブースターを稼動、飛び蹴りを繰り出す。

    が、『No.11』はそれを見越していたように身体を前に倒しながらダッシュ、アンテナを破壊されながらも蹴りをかわした。

    すかさず左右の『No.12』と『No.13』が反転、着地するであろう地点にビームスピアを繰り出す。

    「読んだつもりか?温いんだよ!!」

    ザク2は蹴りを放った体勢をそのまま、着地せず機体を反転、ザクマシンガンを地面に突き立てブースターを併用して倒立の体勢を取り、致命となっていたであろう槍撃を空振りに終わらせる。

    ビームスピアがマシンガンの銃身を切り裂いた直後すかさずブーストを蒸しあげ離脱り、ヒートホークを右手に持ち替えさせながら着地、マシンガンの銃身がばっさり切り落とされながらもほぼ無傷でサイキライカは生き残った。

    だが、それはジムストライカー達とて同じ。

    三機の内『No.13』がマシンガンに持ち替えながら更なる追撃をかける。

    「くらぁえ!!」

    サイキライカは、既に電熱部分が殆ど溶けきったヒートホークを最大出力にして突貫、『No.12』をヒートホークの射程ぎりぎりに捉え横薙ぎに振り抜いた。

    振り抜かれたヒートホークをビームスピアで弾こうと穂先を跳ね上げる『No.12』。
    だが、跳ね上げたビームスピアはヒートホークを弾く事なく空振りし逆に真横から繰り出されたザク2の回し蹴りが直撃、『No.12』強かに砂へと叩き付けられた。

    『No.12』が弾こうとしたヒートホークは振り抜きの際にザク2の手を離れ、弧を描いた後マシンガンを構えていた『No.13』のコクピットハッチにぶつかり、装甲に軽傷を与えていた。

    「残弾57発、全弾くれてやる!!」

    銃身の無くなったマシンガンを倒れた『No.12』に乱射し、残弾が無くなると同時にマシンガンを放棄して緊急離脱するザク2。

    マシンガンの零れ弾によって巻き上がった土砂の中から起き上がった『No.12』は、至近距離で喰らった弾丸に装甲が負け弾痕と砂に塗れた。

    仕留め切れなかったものの、全身を撃たれた『No.12』は明らかに動きが悪くなっている。

    だが、この時点でザク2に射撃武器は無く、ビームスピアを防ぐ唯一のヒートホークも失った。

    一方、ジムストライカー達は一機中破しただけで三機とも健在。

    サイキライカの劣勢に変わりは無い。

    だが、サイキライカは今までの攻防で確信した。

    「勝ちは見えた。
    どうせ無謀な賭だ、全賭けでいかさせて貰う!!」

    ザク2が左腕を弓を引くかのように大きく振りかぶりパイルバンカーをリロード、いつでも発射出来るように構える。

    それを警戒したジムストライカー達は中破した『No.12』を後方に下がらせ、『No.11』と『No.13』がマシンガンを雨のように降らせる。

    サイキライカはその弾幕を回避せず、防御を選んだ。
    被弾の衝撃にコクピットが激しく揺れる。

    「ぐぅぅう!?
    頼む、耐えてくれ!!」

    下手に動けばせっかく生まれた勝機が消えると、動かずに右シールドを前に突き出し弾丸を防ぐものの、ガリガリと弾丸がシールドとシールドで防ぎ切れない箇所を何度も叩き削りえぐる。

    外部装甲が弾け、クラッカーポッドが引き剥がされ、予備の杭がホルダーを破壊され地に沈み、モノブロック装甲部までも無惨な弾痕を刻まれていく。

    二機がマガジンを撃ち尽くし、跳弾が跳ね上げる土砂が静まった後、土砂の中でザク2は原型を辛うじて留めていた。

    否、満身創痍に見えるがそれは外側のみで、駆動機構他内部へのダメージはたいしたことは無く、サイキライカが張った無謀な賭けは、ここからが本番だった。

    「おおおおおお!!!!」

    溜めに溜めた噴射剤をブースターから大量に吐き出し、ザク2は機体限界ぎりぎりの高速機動に入る。

    その早さに、『No.13』は咄嗟に回避行動に移ったが、『No.11』は迎撃しようとビームスピアを構えた。

    それが生死を分かつ選択となった。

  • [40] mixiユーザー

    2009年07月31日 09:30

    ビームスピアのミノフスキー粒子集束より早く、ザク2は『No.11』に肉薄し、構えていた左腕をジムストライカーごと地面に叩き付けるように振り下ろした。

    「貫け!!」

    叫びと同時にパイルバンカーの射出機構が起動、装甲が砕ける音を引き連れて杭が『No.11』のコクピットごと胸から腰を斜めに貫通した。

    同時にコクピット内にアラートが鳴り響く。

    味方の救出を諦めた二機が、仲間ごとザク2を葬ろうと、それぞれ『No.12』がマシンガンを『No.13』がビームスピアを繰り出して来た。

    「そ、の、程度で!!!」

    パイルバンカーをパージ、弾丸にメインカメラを破壊されつつも右腕を突き出し、サイキライカは更なる無謀を重ね、ビームスピアをザク2の素手で受け止めさせようとした。

    無論、そんな真似が無事に叶うはずも無く、右腕は手をビームスピアに貫かれながら受け止めようとした衝撃にフレームがグズグズに潰れ、右腕はビームスピアを掴んだままシールドごと肩口から宙へと舞った。

    「俺を、殺れると、」

    ザク2の左手が『長銃』のマガジンを握り、

    「舐めるんじゃねぇ!!!」

    『No.13』のコクピットを殴打した。

    殴打した衝撃に、マガジンのカートリッジ状になっている155mm滑空砲弾がマガジンごと暴発、『No.13』はザク2の左腕もろとも砲弾に貫かれ、上半身と下半身に引き裂かれた。

    「あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙!!!!」

    コクピット内ではサイキライカが砲弾の爆発した余波で破壊されたモニターの破片を浴び、頭を切ったらしく血が額を伝い目に入るのも、構わず咆哮、既に噴射剤も尽き両手すら失ったザク2の脚部キャタピラを稼動させ『No.12』へと突っ込む。

    『No.12』は機体の損傷は大きかったがボロボロのザク2の特攻を避ける事ぐらいなら余裕をもって出来た。

    だが、パイロットは精神をいじくられていた事に加え、度重なるザク2の化け物じみた戦いかたに恐慌、混乱し、ニュータイプとして調整された絶対の直感よりも、生物としての本能に従ってビームスピアをザク2へと繰り出す愚行を犯した。

    繰り出されたビームスピアはまっすぐザク2へと伸び、機体を前に傾けたザク2の、外観しか残っていなかった頭を斬り飛ばした。

    頭と両腕を失ったザク2の巨体は、塗装がほとんど剥げ落ちた左肩のスパイクショルダーでもって体ごと体当たりをし、ジムストライカーを砂漠へと押し倒した。

    仕留め切れず押し倒されパニックに陥った『No.12』は、無理矢理ザク2を退けようとザク2を持ち上げ、戦慄した。

    「悪いな。サマ臭せえ手だが、『コレ』が切り札なんだよ。」

    ありえない事に、ザク2のコクピットハッチは開かれており、そのコクピット内にいるはずのパイロットはいなかった。

    「剣一さん達に笑われたお守りがわりの『コレ』が、本当に役に立つなんて、ジョークにしてはつまんねえな。」

    コクピットから脱出し、ザク2の肩に回ってそうごちるサイキライカのその手には、歩兵が持てる最強の兵装『ロケットランチャー』が携えられ、その狙いはジムストライカーのコクピットに向けられていた。

    「あばよ。」

    カチリとトリガーが引かれ、発射されたロケット弾が白い尾を引き、着弾と共に爆発してジムストライカーのコクピットをパイロットもろとも完全に破壊した。

    操縦者を失ったジムストライカーは力無く腕を落とし、それに支えられていたザク2も躯体が傾き倒れていく。

    「くっ、」

    サイキライカはロケットランチャーを捨て、素早く機体から跳躍、4メートル程下の砂漠へとダイブした。

    ザク2とジムストライカーが倒れる音を背後に、サイキライカは着地と同時に前へ跳び衝撃を逃がすが、完全に殺し切れずごろごろと10メートル程砂の上を転がり、停止した。

    上を見上げれば雨は止んでおり、夜の砂漠特有の冷たい風が仰向けになったサイキライカの頬を撫でる。

    勝つには勝ったが、仲間の事を考えると途方に暮れるしか無い。

    遠くで爆発するような音がしているので、戦闘は続いているのは解ったが、機体があの状態では通信もままならない。

    「あ〜、みんなは無事か?」

    安否もさる事ながら、誰かしらに見付けてもらえなければ、このまま日が昇り、砂漠のど真ん中でサイキライカは干物になるしかないのだ。

    緊張が解かれたせいか、蓄積された疲労と相俟って強烈な眠気がサイキライカを襲う。

    「悪りいが、カレン、ユリアナ、後は・・・頼む・・ぜ・・・・。」

    そう言い残し、サイキライカは睡魔に抗えず数分だけと意識を手放した。

  • [41] mixiユーザー

    2009年08月01日 08:36

    37〜  中央戦線


    中央を主に担当するのは、矢島大佐率いる「矢島小隊」である。
    その矢島小隊を両脇から援護するべく、左翼からシーモア、リリィ、そして右翼からカレンとユリアナが攻撃を開始している。

    その連携はツキノの指示に実に正確で、敵先頭のジムスト「07」と戦う矢島・神崎と、
    敵「08」、「09」、「10」を巧みに砲撃で分断してしまった。
    後方の敵3機は、激しい砲撃を機動力低下後も紙一重でかわしてはいるが、とても「07」の援護を行える状況ではなかった。
    レーダーを見ながら、月野は思った。

    (・・・・・確かヘルト大尉はこの強化人間は不完全だと言っていたな。)

    強化人間プロジェクトは始まったばかりで、戦闘可能時間以外にも、さまざまな問題を抱えていた。
    それをツキノは感じ取ったのである。

    レーダーで敵の動きを見ていると、確かに敵弾を避ける反射神経と、こちらの回避を読む洞察力は、機動力低下後もアークパイロットとほぼ互角並みという侮れないものがある。
    だが、かれらの動きは戦術としては一般ベテラン兵以下で、ただ目の前にいる敵を攻撃しているだけに過ぎない。

    「・・・矢島大佐!!神崎少尉!!100mばかり引いて下さい!!」
    「撤退はしないと言ったはずだが?」
    「違います。レーダーを見て気づきました。敵は単機でみれば脅威ですが、戦術的には一般パイロット並みです」
    「うん。それは俺も戦っていて感じている」
    「我々が引けば、敵は時間制限がある身、必ず深追いしてきます。そこを両翼から後方へ包囲しましょう」
    「了解だ。理恵!!聞いたな。100m後退だ」
    「・・・・」
    後ろを見せずに、バックブーストで後退を開始する2機。
    この巧みな後退に、「07」はフルブーストで追いかける。

    「シーモア中佐とカレン准尉は敵に気づかれない様、「07」の後方へ回って下さい。リリィ軍曹とユリアナ一等兵は両翼から、シェリア中尉は正面から残り3機を足止めして下さい」

    ツキノの指示通りに、味方が動く。

    「大佐、少尉、私が囮になります。一撃で仕留めてください」
    「そいつは難しい命令だな。帰ったらビールおごってください臨時指揮官殿」
    「いいですよ。特別に3杯」
    「よしっ!!さっさと終わらすかっ!!」

    矢島はヒートホークを改めて握りなおした。
  • [42] mixiユーザー

    2009年08月01日 08:39

    41の続き

    ツキノはマシンガンを乱射しながら矢島と神埼の前に躍り出る。
    ツキノのマシンガンを避けようともせず(無論、当たらないからだが)、マシンガンを撃つ「07」。
    その1連射を、ギリギリまで避けずに、まさに装甲をかすめるかという間合いで、ほんの少しだけサイドブーストをかける。
    ツキノお得意の、「見切り回避」である。
    ぎりぎりまでかわそうとしないツキノからは、回避後のイメージが湧いてこない為、たとえ強化人間であっても、次の射撃は遅れてしまう。
    それでも2連射、3連射とツキノを狙う「07」。装甲をかすめつつ、回避し続けるツキノ。

    臨時とはいえ、指揮官が前線に出て、囮になるなどという戦術は、普通有り得ない。
    だが矢島はツキノの回避能力をよく知っていたし、ツキノがこの戦術でずっと戦ってきたのも知っていた。
    だからあえてこの戦術に異をとなえようとはしなかった。

    「ふん・・・!!・・・・・・っ!!・・・・・・・それっ!!・・・・」
    「伍長!!相変わらずの避けっぷりだな」
    「関心してないで、そろそろ頼みますよ。中年にはこれきついんですから」
    「分かった。理恵、頼む!!」
    「・・・了解」

    ツキノへの射撃に夢中になっている「07」を右翼から、理恵が切りかかる。それをサイドステップでかわす「07」
    その僅かな着地硬直を狙って、後方からシーモアのビームライフルが放たれた。
    後方から放たれたにも関わらず、それをしゃがんで回避する「07」。

    「あ、あり得ん・・・タイミングは完璧だったはずだ・・・」

    呆然とするシーモア。しかしこの射撃は無駄ではなかった。
    しゃがんだ体制から、戦闘態勢へ戻すのに、若干の隙が出来た。そこにザク?とは思えないスピードで矢島の一撃が飛ぶ。
    とっさにジャンプする「07」。しかし隠れて着地する場所はどこにもなかった。
    フワジャンをしながら後退する「07」。しかし元来格闘機であるジムストは、瞬発力に優れる反面、ブースト時間は短い。
    着地の瞬間、理恵のヒート剣と矢島のヒートホークが同時に「07」に襲い掛かる。

    もはや「07」に避ける術はなかった。

    理恵のヒート剣をシールドで受けるが、着地硬直中の為、衝撃がバランサーの許容範囲を超えてしまった。
    きしむジムストの足。踏ん張りきれずよろけた所に、矢島のヒートホークが振り下ろされた。

    ぐわしゅっ・・・・・


    ジムストのコックピットに深くめり込んだヒートホークを抜く。
    ジムストは四肢をだらんと弛緩させ、ゆっくりとその場へ崩れ落ちた。


    「よし、1機撃墜。次だ」

    矢島・神崎・ツキノは、中央前で踏ん張っているシェリア中尉のもとへとダッシュした。

  • [47] mixiユーザー

    2009年08月08日 13:03

    47終り頃〜地下研究所内〜

    戦闘データが逐一更新されるのを、科学者達は驚愕しながら観察を続けていた。

    「No.8からNo.11まで反応消失、敵の撃破数は僅か3です。」
    「馬鹿な!?
    まだ未完成とはいえ、これほどまでに差が出るとは・・・。」
    「いや、この結果にはパイロットの経験値に差がありすぎたとは考えられないか?」
    「確かに。
    かの赤い彗星クラスのパイロットを調整していたならば、状況は逆転していたと考えられる。」
    「それでは本末転倒じゃないの。
    我々の最終目標は、究極のパイロットを人工的に生み出すことよ。」

    そう口々に意見を言い合う研究者達を、離れた所で見ている者がいた。

    カイナ=コードウェル。

    彼女はフラガナンより秘密裏に派遣された研究員であり、フラガナンとのパイプ約を担っていた。

    カイナはデータを論議する研究員達を、内心笑った。

    当初の時点ではモルモットの方が機体状況やパイロットのコンディション等、全てが有利だった。
    だが、現実には敗北している。
    今回の結果が示すのは、戦場で勝敗を分ける要因が機体性能やパイロットの技量や特殊技能よりも、メンタル的な優劣なのだと理解できない彼等が哀れとさえ思っていた。

    と、そんな侮蔑の感情を持って彼等を見ていたカイナの懐が軽い振動を発した。

    彼等に気付かれないよう部屋を後にし、懐から端末を取り出すとデータ収集に紛れて送られたメールを開く。

    メールには秘匿回線のアドレスが書かれていただけだが、カイナはその意味を理解し、無人となっている研究室の一つに入り素早くアドレスを入力した。

    「私です。」
    「状況はどうかね?」

    繋がった相手は、前置きすら無く、用件だけを尋ねた。
    カイナも気にした風もなく淡々と報告を続ける。

    「今件のデータは、悪くない結果に終わると推察しています。」
    「それはなによりだ。
    だが、一つ困った事が起きた。
    我々の動きが、キシリア閣下の耳に入りかけたそうだ。」
    「・・・。」
    「つい最近、クルスト・モーゼルの件があったばかりで、これ以上キシリア閣下の機嫌を損ねるのは宜しくない。
    君は早急にデータ諸共、撤収を始めたまえ。」
    「了解しました。
    ロイドシュタインはどうしますか?」
    「彼はよくやってくれた。
    私達では公になりすぎるこの実験を、秘密裏にかつ、大胆に進行し続けた彼の功績は称賛に値すると私は考えている。」
    「では、彼も回収に含めますか?」
    「私は、本人の意志を尊重したいと思っている。
    が、彼は優秀だが有能ではなく、クルストの二の舞は望むべくもない。
    私が何を言いたいか、解るだろ?」
    「はい。
    解答次第では、ロイドシュタイン氏には『お休み』頂きます。」
    「よろしい。
    では、また会おう。」

    そう言い通信が切られると、カイナは軽く息を吐き研究室を後にした。
  • [48] mixiユーザー

    2009年08月11日 01:23

    31の続き・グレイ視点

    そこはかなり広い部屋だった。その広い部屋に、いくつもの作業用ハンガーが並んでいる。
    どうやらMS格納庫のようだ。
    部屋に入って左半分にずらりとジムがならんでいる。
    右半分にはそのジムが使用する武器が並べられている。
    どうやらここにあるジムは案山子ジムのようだ。
    コクピットに該当する部分の装甲がスライドして開いているが、中に操縦設備はなく、そのかわりに物々しい制御用コンピューターが設置されており、
    外部コンピューターと各種コードで接続されている。

    「ほう・・・案山子と・・・武器庫か。こいつはありがてぇな。なんとかなるかもしれねぇ」

    さらにグレイは、空調用の冷却水が通るパイプを見つけて、にやりと笑った。

    「よし・・・これで勝ったな。ニュータイプのスピードが勝つか、狂犬の知恵が勝つか。勝負しようじゃねぇか」


  • [49] mixiユーザー

    2009年08月11日 01:28

    47終り頃〜地下研究所内〜

    カイナは研究所を後にした後、MSハンガーへと向かった。
    「表向き」連邦軍の強化人間プロジェクトの研究員である彼女だが、MSの操縦技術も非凡なものをもっている。
    彼女はハンガーに待機している一機のジム・カスタムに乗り込み、ロイドシュタインがいるホールへと向かった。


    「・・・そ、そんなはずはない・・・・あり得ん・・・」

    ロイドシュタインは背中に広がる嫌な汗を感じながら、なおも現実を認めようとはしなかった。
    ホールの斜め上方には、地下基地中央司令室と同様のモニターが設置されており、ロイドシュタインはそれを食い入るように見入っている。
    そこで繰り広げられる死闘は、ロイドシュタインの望んでいたものとは真逆の結果が次々と映し出されていた。

    no.11・12・13は、サイキライカとかいう下士官ですらない男1機に撃破された。
    no.07・08は神崎理恵と矢島剣一とかいうコンビに破壊された。
    no.09・10はアレンとかいう男の精密射撃を避け続けてはいるが、このままではリミットをこえてしまう。
    no.04・05・06は、ガルルとかいうパイロットを圧倒しているものの、撃破できずにいる。
    no.01・02・03はグレイを探しているが、まだ発見できていない。

    現在の所、敵2機を撃破するのに、味方5機が撃墜されている。
    案山子相手に相当の疲労を蓄積させている敵であるなら、5分というタイムリミットを待たずに、あっさりと
    撃破できるとふんだ自分の判断が、「間違い」であったと自覚せざるを得ない状況に、ロイドシュタインは歯噛みした。
    モニターを見ることに夢中だったロイドは、後ろからやってきたカイナの存在にまったく気づかなかった。

    「・・・中佐、技術中佐」
    「・・・?なんだ、カイナか。なんの用かね?」

    後ろを振り向こうともせず、声の主へ返事をするロイドシュタイン。

    「お迎えに上がりました」
    「・・・何の話だ。私は今忙しいのだよ」
    「技術中佐の才能と功績を評価し、我がフラナガン機関は技術中佐を正式に研究員として迎えたい、という結論に達しました」
    「・・・フラナガン・・・だと?」
    「はい。技術中佐の能力は、連邦では開花させる事は難しいでしょう。中佐のその強化人間への情熱は、ニュータイプ発祥の地である我がジオン公国でこそ、発揮されるべきだと考えます。中佐さえ御同意されるのであれば、偽造パスポートとシャトルの準備は出来ています」

    しばしの沈黙の後、感情を抑制した、冷徹な声で、ロイドシュタインはカイナへ答えた。

    「私に連邦を裏切れというのですか。それはできませんね。確かに私は研究の為なら、どんなリスクでも犯す覚悟をもっています。しかしそれはすべては連邦の為です」
    「・・・・・」
    「私の作り上げた強化人間が、ジオンのエース共をばたばたとなぎ倒し、この戦争に勝利すること。その功績によって、以後の連邦での生体科学技術の全てを掌握し、私の名を永遠に後世に伝えること。それが私の夢です」
    「・・・ジオンへは来てはもらえない、ということですか」
    「はい。・・・カイナ。貴方がジオンのスパイだった事は伏せておきましょう。速やかにここを去りなさい。私はさらなる研究かだ・・」

                             どすっ


    ロイドシュタインのジムカスタムは、後方からコクピットを一突きされ、力なくその場へと崩れた。
    ビーム・サーベルの収束を解き、ランドセルへと収納する、カイナのジムカスタム。

    「下らん忠誠心と名声欲に取り付かれた先の見えぬ愚か者め。望みどおり見せてやったよ。「永遠の夢」をな」

    そしてカイナのジムカスタムは姿をくらましてしまう。
    ロイドシュタイン。狂気にとりつかれた科学者の、哀れな末路であった。




  • [50] mixiユーザー

    2009年08月17日 18:26

    35からシーモア視点


    自分に真っ直ぐ向かってくる、「04」とマーキングされたジムストライカーに対して、シーモアの乗るゲルググはビームライフルの銃口を向けた。

    が、しかし、その銃口は45゚下方へ向き、ビームが放たれる。

    その瞬間、ジムストライカーは地面を蹴り、飛び上がると、ツインビームスピアの矛先をゲルググに向け、投げ下ろしてきた。

    シーモアは避けようと後ろへ一歩下がったところで、臨時中隊長となったツキノからの命令が飛び込んできた。

    『ツキノ臨時中隊長より命令!全小隊は撤退してください!!繰り返します。全小隊は撤退してください!!』

    だが、この命令に対し、矢島がすかさず反駁した。

    『それは断る。例えどんな理由であれ、“アイツ”の為にも、撤退できないだろ?』

    『奴なら…、グレイなら心配要りません。何せ【狂犬】ですから…。』

    『それでも無理だ。お前さんに話してなかったが、矢島一家には、どうしても譲れない“掟”があるからな。』

    『その“掟”って…?』

    ツキノがすかさず返す。

    『“何があっても仲間を見捨てないこと”だ。これだけは死んでも守れ!…あ、いや、守ってください、臨時中隊長殿。』

    矢島の言葉に続き、皆がツキノに声をかけていく。

    その直後、1機のフライマンタが飛んできたかと思うと、ミサイルをジムストライカーめがけ発射、するとミサイルの中から更に無数のミサイルが現れ、9機のジムストライカーに全弾命中した。

    勿論、目の前のNo.04も被弾し、他の8機のジムストライカーと同じく、無数のミサイルのせいで表面が謎の液体に覆われていた。

    そこへツキノからの通信が入る。

    『左翼、リリィ軍曹とシーモア中佐は、中央の敵を左から、右翼、ユリアナ一等兵とカレン准尉は中央の敵を右から、共に包囲してください!』

    「了解!リリィ軍曹、聞こえたね?」

    『自分はどうするでありますか!?』

    ガルルがツキノとシーモアに尋ねた。

    『ガルル少佐とサイキライカ上等兵は、敵両翼を押さえてください!』

    「…ということで、そいつらの面倒を見てやってください、少佐!」

    そう言うと、シーモアのゲルググは04のジムストライカーにクラッカーを放り投げ、一気に距離を取り、04との戦闘から離脱した。
  • [51] mixiユーザー

    2009年08月17日 18:27

    50の続き


    シーモアは、ツキノの指示に従い、矢島らのいる中央へと向かった。

    そこでは、左肩に「07」とマーキングされたジムストライカーが、ツキノのザクに対してマシンガンを撃っていた。

    すると、矢島の指示を受けた理枝のグフが、右翼から「07」へ斬りかかる。

    シーモアは、「07」がこの斬撃を避ける瞬間を狙っていた。

    「07」が理枝の斬撃を再度ステップで避けた、その僅かな着地硬直を見逃すことなく、背後からビームライフルを放った。

    ところが、「07」はこの射撃をしゃがんで避けた。

    「何!?タイミングは完璧だったはず…!!」

    シーモアは、唖然とした。

    確かに、先程亡命してきた男の話によると、ジムストライカーに乗っているのは強化人間らしいが、それでも腑に落ちない部分があった。

    結局、「07」は、矢島の手によって撃破されたが、その直後、ツキノより新たな情報がもたらされた。

    『ツキノより全小隊へ!サイキライカ上等兵、機体を大破させながらも、敵機3機の撃破に成功!!繰り返す。サイキライカ、敵3機撃破です!!』

    「2分も残して3機撃破なんて、出来すぎだな!」

    シーモアは、ツキノからの知らせにこう答えると、愛機ゲルググを駆り、アレンが戦う戦場へと向かった。
  • [52] mixiユーザー

    2009年08月21日 13:11

    51終わり頃から


    『ツキノより全小隊へ!サイキライカ上等兵、機体を大破させながらも、敵機3機の撃破に成功!!繰り返す。サイキライカ、敵3機撃破です!!』

    「すごいで、ありますなぁ!!」

    ガルルはそう呟きながら操縦桿でサイサリスを操り、左右同時に突き出されたジムストライカーのビームスピアの一本目をビームサーベルで弾き、二本目をシールドでいなす。

    だが、三体目にマシンガンを撃たれ、表面装甲が甲高い悲鳴をあげる。

    「このぉぉお!!」

    すかさずブーストで前に出、シールドでビームスピアを繰り出した一体にチャージを行うが、ジムストライカーは当たる直前にバックブーストを使用、ダメージは最小限に抑えられてしまう。

    「ちぃっ、またでありますか!?」

    こんな追い込まれないだけのやり取りが起きてから既に二分。

    ジムストライカーのマシンガンはサイサリスの装甲を貫け無いが、ダメージが無いわけではないしこうもしつこいとイラつきが溜まる。

    かといって、強引に突き進んでも先程の如く、当たっても軽微で終わる程度のダメージしか与えられない。

    当たれば一撃で、対艦用にほぼ全弾残しておいたバズーカも、こうも連携が激しいと取り出すことすらままならない。

    そこに、ツキノから通信が入った。

    「少佐、2時の方向に70m後退してください!!」

    「了解であります!!」

    ツキノを信じブーストジャンプに加え、ホバー移動で使うスラスターも全開にすることで言われた方向へと急激に離脱するサイサリス。

    逃すまいとジムストライカー達も追撃に移ろうとして、離脱直後に降り注いだシェリア機とユリアナ機による同時砲撃が襲い掛かり、ジムストライカー達を釘付けにした。

    「今であります!!」

    シールドに取り付けられたバズーカを握り、シールドを廃棄、一体へとターゲットを絞る。

    「喰らえであります!!」

    ビームバズーカの砲頭が一瞬輝き、次の瞬間、光のラインが走りぎりぎりで察知したジムストライカーの片腕ごとビームスピアを消し去った。

    が、直後にコクピット内に左から敵接近のアラートが鳴る。

    「・・な、こなくそー!!」

    操縦桿を強引に捻り、サイサリスは左腕のビームバズーカを振り抜く。

    たが、砲弾の雨をかい潜って来たジムストライカーは、ビームスピアを構えたまま身を低くしてこん棒のように振るわれたバズーカを避けた。

    この瞬間、サイサリスは完全に無防備になってしまった。

    「や、ヤバイでありますな。」

    操縦ミスに歯噛みするガルル。

    だが、コクピットを貫くはずのビームスピアは突如繰り出す方向を変え、サイサリスとはまったく違うポイントを貫いた。

    「い、今のうちであります!!」

    回復したブーストでジムストライカーとの距離を離すサイサリス。

    ジムストライカーはサイサリスを追わず、ビームスピアを構えたまま、なにかを堪えるように震えていた。

    「ぎりぎりで間に合いましたね。
    少佐。」
    「カレン殿でありますか。」

    ガルルがそちらを見遣ると、ピンクに近い赤のグフが引き絞るように腕を翳していた。

    あの時、ジムストライカーのビームスピアが外れた理由は、カレンのクラウン・イミテイトに装着されたワイヤーウィップだった。

    「皆さん、残り72秒です。
    後少しです、耐えてください!!」

    ツキノの報告が全員を力強く励ました。
  • [53] mixiユーザー

    2009年08月26日 22:35

    48〜 グレイ視点

    ジオン独立戦争も一年が過ぎようとしている今、奇妙な事に、敵対しているお互いの軍の中で、MSの規格が統一されていく部分が少なくなかった。

    一見、敵軍との規格統一は容易に自軍のMSを捕獲・使用される危険性がある為、デメリットだと考えてしまいがちだが、
    戦場では勝者も、戦力となりそうなものは利用したいのが常である。いわんや敗者においては。

    戦力の圧倒的な不利を、MSという「新兵器」で覆そうとしたジオン公国であったが、連邦にザクを捕獲・分析され、ジオンのMSより
    高性能なMSをあっさりと、しかも大量に生産された今、「敵MSの鹵獲・使用」は戦線維持の為にも必要不可欠であった。
    その際に、規格の異なる部品を使用すれば、それだけ補給・整備面で無駄が発生する。これを解消し、前線での戦力維持を円滑にする為、
    「統合整備計画」の一環として、連邦製MSとの、可能な限りの部品共有化が計られた。
    そもそもは、同じジオン製MSですら武器や部品の規格が統一されていない為の、前線での不都合を是正するためのものであったのだが、
    その際に、ジオン側からアナハイムAEへ多大な資金流出と引き換えに、連邦との一部共有化がはかられたのだった。

    ビーム・サーベルこそ使用することは出来ないが、実体弾を使用する連邦製兵器であれば、簡単なドライバをインストールするだけで使用が可能となる。
    グレイは、武器庫に置いてあったブルパップマシンガンと、シールドを両手に持ち、ブルパのマガジンを数個、腰に装着した。

    「こっちはこれでよし、と。・・・・・よし、その手でやってみるか」

    グレイはコクピットハッチを開け、ファントムから飛び降りると、整備中の案山子ジムに向かって走り出した。
  • [54] mixiユーザー

    2009年08月26日 22:39

    52〜アレン視点

    アレンは黙々と自らの責務をこなしていた。
    自分の出来ること。出来ないこと。
    それを矢島大佐や、先輩であるツキノはよく理解してくれている。
    部下として、これほどありがたい事はなかった。
    自分の役目。それは、自分が自信を持っている狙撃力で、味方をフォローすること。
    そう。ずっとそうだった。まるでそうすることが、彼の天命であるかのごとく。

    敵の亡命者を助けるべく、対空機銃座を破壊したアレンは、ゲルググJ改が持てるギリギリの武装で、絶え間なく、正確に、敵を狙い続けた。
    右肩には温存している「ポイズンニードル?」が、左肩には現地改造したロングバレルタイプのザク・マシンガンが、そして右手には
    陸戦型ゲルググのビーム・ライフルが持たれている。

    腰の後ろにはラテーケンバズがマウントされ、右腰にはクラッカーが6個、左腰にはヒート・ホークがマウントされている。
    腕部部には閃光タイプのグレネードランチャーが、頭部にはバルカンがと、まさに「動く砲塔」である。
    しかしながら、全備重量ギリギリの装備は当然のごとく機動力低下を招く。
    案山子相手が前提だったので、問題ないとの判断だったが、相手が「量産型ニュータイプ」となればそうもいかない。

    サイキライカ上等兵とガルル少佐の援護は、自分にとっても適任だった。
    しかし、現在までの所、アレンはその責務をこなせているとは言いがたかった。
    理由は、前述の通りのゲルググJ改の機動力低下にある。その為、俊敏にかわすジムストに対し、偏差射撃がきまらないのだ。
    そうこうしている内、サイキライカは自らの機体と相打ちという形で、敵ジムストを3機共撃破する。
    アレンとしては、フォローしきれずサイキライカ機が大破した事に後悔し、歯噛みした。

    アレンは、うまく偏差射撃を行えない事に業を煮やし、手持ちのビームライフルと左肩の改造ザクマシと腰のラケバズを捨ててしまう。

    「当たらなければ、意味がないんだ。こいつで勝負する!!」

    アレンはスリングで右肩に掛けていた愛用の銃、ポイズンニードル?を構え、カレンのクラウン・イミテイトが放ったワイヤーウィップにつかまった
    ジムストに狙いを定め、冷静に落ち着いてトリガーを引く。

    ひゅっ

    風を切る音が、ポイズンニードル?から発せられた。
    アレンが放つ愛銃の渾身の一撃は、ジムストのコクピットど真ん中に見事命中した。
    次の瞬間、肩に「04」のナンバリングのジムストは一瞬動きを止めた後、がくんとひざを落とし、そして前のめりになって地面へと伏した。

    「・・・!!アレン少尉でありますか?」
    「ガルル少佐、今まですみませんでした。これからガンガンフォローいきます!!」


    「皆さん、残り72秒です。
    後少しです、耐えてください!!」

    ツキノの報告が全員を力強く励ました。




  • [55] mixiユーザー

    2009年08月28日 10:55

    52、54から


    『くっ、この!?』

    イェラーヤーのコクピットでひたすらトリガーを引き続けるユリアナ。

    絶え間無い砲弾の狙い撃ちに、機動力を削がれ片腕を失ったジムストライカーは回避に専念するしか無かった。

    残るジムストライカーは3機。

    その内、1機をシーモアとリリィが、もう1機をガルルとカレンが、そして1番損傷を与えられている1機をシェリアとユリアナが抑え、ツキノとアレンが全員を援護する形になっていた。

    現行、ユリアナはシェリアと二人掛かりで連続砲撃を駆使して近付けさせないようにしているが、度重なる砲撃に砲身は悲鳴をあげ、残弾も二桁をきっていた。

    弾が無くなれば、残るはイェラーヤーの申し訳程度の機銃とシェリアのクラッカーだけとなり事実上格闘戦しかなく、片腕とはいえ相手は格闘型、砲撃タイプの二機では勝ち目が無いわけではないが油断は出来ない。

    と、そこにツキノから通信が入る。

    「皆さん、残り72秒です。
    後少しです、耐えてください!!」

    後、72秒。

    そう聞いたユリアナは、ブツンとなにかがキレる感覚に堕ちた。

    『まだ』72秒もかかるの?

    激しい戦闘が続く状況に、ユリアナの体内時間の感覚は目茶苦茶になっており、ユリアナには一秒が一分近く感じられていた。

    後、そんなにあるの?

    張り詰めた思考は冷静さを失い、飛躍した思考に移行していく。

    『クスクスクス・・。』
    「ゆ、ユリアナさん?」

    突然笑い出したかと思った次の瞬間、ユリアナは【突撃します。】とシンチャを出し、無謀にもジムストライカーへと飛び出した。

    「ちょっ、ツキノさん!!、あの娘『また』キレちゃった!!
    私も前に出るからアレン君の援護集中させて!!」
    「了解です!!」

    『そうだよね。
    耐える必要なんか無いよ。お兄ちゃんがやったみたいに全部殺しちゃえばいいんだから。』

    その台詞を聞いてしまったツキノ、アレン、シェリアの3人に、さっきまでの耐えきるためとは真逆の緊張感とぞわりとした悪寒が襲い掛かった。
  • [56] mixiユーザー

    2009年09月07日 17:50

    55〜



    馬鹿正直に突撃してきたザクタンクに、ジム・ストライカーのパイロットは冷静に距離を取りマシンガンで蜂の巣にしようとブーストを発動し、直後に直感が下した緊急回避命令に従い真上に跳んだ。

    同時に、ザクタンクを避けるために跳ぼうとした方向を砲弾がえぐる。

    更にアレンが空中で動きの制限された敵を狙いポイズンニードルをコクピット目掛け放つが、ジム・ストライカーは機体を捻りポイズンニードルは装甲を貫いただけでダメージは入らなかった。

    「あのタイミングも避けるのかよ!?」

    歯噛みするアレンの声を相手にしていないようにジム・ストライカーはイェラーヤーに対しマシンガンを構え、その直後真横から飛来したハイパーハンマーに弾き飛ばされた。

    着地直前にユリアナはハイパーハンマーを射出し、ハンマー自体に装備されたブースト機能を使って機体とは全く関係ない位置から奇襲をかけた。

    『どこ見てるの?
    あなたの相手は私だよ?』

    だが、寸前で回避したのだろう、ジム・ストライカーは転倒せず、装甲を少しへこませただけで動きにさほど低下は見られなかった。

    クレーンアームから伸びるワイヤーが巻き取られ、ハイパーハンマーがクレーンアームの先端へと位置を戻す。

    ジム・ストライカーは報復とばかりにイェラーヤーにマシンガンを浴びせるが、ユリアナはそれを無視してブーストダッシュで前進した。

    真っ向から弾幕に飛び込んだため装甲を弾丸がえぐり、機体は軽くないダメージを喰らうが、ユリアナは構わず勢いのままタックルを繰り出した。

    ジム・ストライカーのパイロットは回避出来ないと判断し、同じ様にタックルでダメージを相殺した直後、ユリアナは低く呟いた。

    『捕まえた。』

    お互いのタックルがぶつかり機体が反動で離れようとした刹那、イェラーヤーのストンパーが伸び、ジム・ストライカーの腕を掴みあげた。

    振りほどこうと至近距離で頭部バルカンを撃つジム・ストライカー。

    『・・いやなの?
    じゃあ、放してあげるね。』

    左右のキャタピラが逆方向に急激に動き出し、イェラーヤーはジム・ストライカーを掴んだままその場で旋回を始め、勢いがついたところでジム・ストライカーを空へと放り投げた。

    投げた直後、ユリアナは【撃ってください。】とシンチャをシェリアとアレンに打つ。

    「任せて!!」
    「ええ!!」

    アレンがポイズンニードルをセミオートに切り替え連射し、シェリアが残弾を連続して撃ち、放り投げられたジム・ストライカーに叩き込んだ。

    さすがにこの状況で回避出来るはずもなく、砲弾とポイズンニードルによってジム・ストライカーは蜂の巣にされ爆発した。


    タイムリミットまで、残り30秒。
  • [57] mixiユーザー

    2009年09月12日 00:42

    53〜 グレイ視点


    一心不乱に案山子ジムの制御コンピューターのプログラムを変更するグレイ。
    しかしその変更が仇となった。
    グレイの居場所がばれてしまったのである。

    「キュレル指令!!第8ブロック格納庫内でオートジムへの不正ハッキングを確認しました!!」

    「何だと?奴め、そんな所に逃げ込んでいたのか・・・時間がない、ただちに強化人間01・02・03を向かわせろ!!」

    キュレルもまた、強化人間の予想外の苦戦に焦りを募らせていた。
    右腕と頼んでいたヘルトに裏切られ、ロイドシュタインはどこへいったのか連絡がつかない。
    ロイドシュタインの話では、強化人間の戦闘可能時間は僅か5分しかない。
    それでも充分戦果が出せるようにと、オートジムとの戦闘で疲労させておいてのテストだったはずなのに。

    キュレルはテスト終了後に、ロイドシュタインにきつく叱責をするつもりだった。
    だがそれは永遠に叶わなかった。二重の意味で。


    「・・・よしっと。ツキノのおっさんにハッキングのいろはをならってはいたけど、こんな所で役にたつとはな」

    丁度案山子ジムのコクピットハッチを閉めた頃、腕時計のアラームが鳴り響いた。
    ドム・ファントムのレーダーと連動し、敵が接近したらアラームがなるようにセットしておいたのである。

    「ちっ、やっぱ見つかったか。まぁいい、こっちも準備完了だ。さぁ白黒つけようぜニュータイプさんよ!!」

    グレイは急いで愛機へと戻っていった。
  • [58] mixiユーザー

    2009年09月12日 00:44

    数秒後、格納庫の扉が激しい衝撃と共に破壊され、やがてゆっくりと扉が倒れ、床に叩きつけられる。
    やがて扉の向こうから、ゆっくりと01のナンバリングがされたジム・ストライカーが堂々と入ってきた。

    それは軍事の基本からは逸脱した突入であった。
    彼らは、中からのいかなる攻撃をも回避できる自負が有ったが為の、型破りな突入だった。

    01は格納庫に入り、メインカメラを左右に振る。
    特殊工作任務用MSであるドム・ファントムは、ミノフスキー粒子下でなくとも、レーダーを無効化出来るステルス性能を有していた。
    目の前にいない、ジオンのMSを探す01。やがて02・03も入ってきた。敵を探すその様子からは、もはや焦りの色がMS越しからでも
    伝わってくる。

    その時。突然、01の上部から、接近する物体が。

    「くらえっ!!おっさん仕込みの奇襲攻撃だぁっ!!」

    グレイはあらかじめ天井近くの配管にアンカー・ワイヤーを巻きつけ、それを巻き上げて入り口近くの丁度真上に隠れていたのだった。
    そして01が真下に現れた時、ワイヤーのブレーキを一気に開放し、急降下したのである。

    急接近する物体に、反応するレーダー。その警報に鋭く反応する01。
    01は機体を半身右へずらして上方を向き、手に持つツイン・スピアを構える。
    後から入り口に入ってきた、02・03が同様に上方に向けてマシンガンを撃ち放つ。

    降下するドム・ファントムは、あらかじめ迎撃されるのを計算に入れていた。
    案山子ジムから奪ったシールドを足元に構え、被弾を最小限度に抑えようとする。

    「喰らえぇぇぇぇぇ!!」

    降下するドム・ファントムは、シールドを足元に構えながら、ブルパップマシンガンを放つ。
    しかしそれは巧みに交わされた。
    02・03が撃つマシンガンをまともに受け、あっと言う間に原型を失いつつあるシールド。
    勝敗はこの時点で決したかに見えた。
    だが一方的に被弾しているグレイはなぜか薄笑いを見せる。

    「よしもらったぁっ!!」

    まさにその時。

    格納庫のすぐ脇に待機していた案山子ジムが、突然、ジムストの01に向けてブルパップマシンガンを発砲したのである。
  • [59] mixiユーザー

    2009年09月12日 00:45

    強化人間は類まれなる反応速度を見につける事に成功していた。
    そのスピードは、確かに正真正銘、本物のニュータイプである、アムロ・レイとのシミュレーション戦でも、まったくの五分であることからも
    疑う余地は無かった。

    だがー。
    そんな、ニュータイプと互角の反応速度を持った強化人間でさえ、「味方からの発砲」は想定外だった。
    彼らは全神経を「敵」との戦いに集中していた。グレイが、どのような回避行動を取ったとしても、彼らはその先を読み、
    必ずやドム・ファアントムを蜂の巣にしたあげく、一刀両断にしたであろう。

    しかし。敵味方識別信号で、「味方」の信号を発するMSからの、しかも「自動射撃」は、強化人間といえどその動きを
    読むことは不可能だった。
    グレイは案山子ジムの制御プログラムを少々いじっただけである。
    そう、敵味方の識別を「逆」にしただけ。ヘルトが行った修正と全く同じである。
    案山子ジムは、目の前に現れた「敵」を感知し、マシンガンを放った。
    そしてそれは、至近距離というのもあってか、その全弾が01の左わき腹へと命中した。

    ひたすらブルパを撃ちまくる案山子ジム。
    予想外の方向からの射撃に、01は完全に虚をつかれた。
    01のジムストは、左わき腹をごっそりと破壊された。思わず撃たれた方向へツイン・スピアを向ける01。その、強化人間とは思えない一瞬の隙を、
    グレイは見逃さなかった。

    「油断大敵って習わなかったかぁっ!?」

    グレイは真下にいる01に向けて、ヒート・ピックを投げつける。案山子への復讐に燃えていた01には、それを回避することが出来ずに、ピックはまともに
    01の頭部から胴体へ突き刺さった。01はそのままスローモーションの様に倒れこみ、その動きを止めた。

    「へっ、いっちょあがりぃっ!!」
  • [60] mixiユーザー

    2009年09月12日 00:49

    突然の「味方」からの攻撃に、流石の強化人間である02・03も射撃を中断し、案山子ジムの方を見た。
    そこからの行動は流石に早かった。「敵」と認識した以上、案山子の動きなぞ造作もない。
    02・03は、01の仇とばかり銃口を案山子に向け、乱射する。
    はじけ飛ぶ案山子の装甲。銃弾がシールドを、メインカメラを、腕を、脚を、そしてコクピットを穿つ。
    致命傷を受けた案山子は、そのまま十数メートル吹き飛ばされ、その役目を終えた。

    「お楽しみはこれからだぁっ!!」

    降下していたグレイは、2本目のヒートピックを右手に持ちつつ、原型をほとんどとどめていないシールドを02に投げつけた。
    すばやく反応し、シールドを避けつつ着地硬直中のドム・ファントムめがけてツイン・スピアを真横に振りぬく02。
    それをしゃがんでかわしたつもりのグレイだったが、機体に衝撃が走る。

    ざしゅっ!!

    なんと、頭部がきれいさっぱりとツイン・スピアに切り取られてしまったのである。
    人間であれば、この時点で勝負あり、即死だ。
    しかしながらMSは、メインカメラの機能が使用不能になっただけに過ぎない。まぁそれでもパイロットとしては
    かなりの被弾には違いないのだが。

    「・・・ぐはっ!! まだだぁっ!!この程度で狂犬がくたばるかよっ!!」

    メインモニターが使用不可能になった為、グレイはコクピットを開放するという大胆な行動にでる。

    「前が見えなきゃ話にならんからな。さぁ、続きだっ!!」

    グレイは目の前の02に向けてヒート・ピックを投げつける。それをあっさりとかわす02。
    ヒート・ピックは02の後方にあった、空調用の冷却水パイプに命中する。噴出す冷却水。
    格納庫は瞬く間に水浸しとなった。

    ヒートピックをかわしつつ、ツイン・スピアを構えてダッシュする02。それに対し、左半身を前に出し、左手で3本目のヒートピックを持ったドムファントムが
    迎撃体制を整える。

    「どうせ逃げてもやられるんなら、一瞬の勝負で刺し違えてやらぁっ!!」

    しかし、グレイには刺し違える気は毛頭無かった。
    最後の切り札の為に、「刺し違えるふり」をする必要があったのだ。
    しかしそれは、強化人間相手にはかなりリスクの高い「演技」でもあった。
    一歩間違えば、本当に刺し違えてしまうからである。

    迫る02のツイン・スピア。
    それをかわそうともせず、左腕を真っ直ぐ前に出し、構えるグレイ。
    左手の影に隠れたドム・ファントムの右手には、スタン・ナックルがセットされていた。
    目にも留まらぬ勢いで、ドム・ファントムのコクピット目掛けて迫るツイン・スピア。

    「ぎりで・・・払うっ!!」

    まさにツイン・スピアがコクピットを貫こうとする、ギリギリの一瞬で、ドム・ファントムは機体を左斜めにずらしつつ、
    前に出していた左手でスピアを払おうとした。しかしその行為は察知され、一瞬の判断でドム・ファントムの左手は
    ツインスピアに薙ぎ払われる。中に舞う左手。

    「くっ!!!・・・だがなっ!!これで、終わりだぁっ!!」

    グレイの叫びと共に、左手を斬られた衝撃で、ゆっくりと後方に倒れるドム・ファントム。
    そしてドム・ファントムは、丁度後方へ尻餅をつくかのように、倒れこんだ。
    倒れる際に右手を床に着いて。

    その瞬間。02の動きが止まる。
    後方へ倒れた敵のコクピットに、あと一突きすれば倒せる、そんな一瞬。
    そこで02の視界は遮られ、四肢の自由は無くなり、やがて意識すら無くなる。

    右腕のスタン・ナックルが、02を仕留めた瞬間であった。
    数秒でMSを破壊し、パイロットを即死させる高電圧は、床一面に撒かれた水を伝って02の機体へと流れたのである。
    グレイはこれを切り札として狙っていた。しかしこれにも非常に高いリスクがあった。
    ドム・ファントムの被弾の状況次第では、自らも感電する可能性が非常に高かったからだ。
    だが彼は賭けに勝った。勝ったはずだった。
  • [61] mixiユーザー

    2009年09月12日 00:55

    「はぁはぁはぁ・・・・・やったか?」

    目の前で動かなくなった02を見て、グレイは勝利を確信した。しかし次の瞬間、アラートが鳴り響く。

    「何っ!?」

    予想外だった。グレイはこの乾坤一擲の一撃で、2体共感電死に追い込むつもりだった。
    しかし最後の1体、03は「たまたま」フワジャンをしつつドム・ファントムに接近していた為、床からの感電を間逃れたのである。
    上方から迫るツイン・スピア。しかし体制を崩したドム・ファントムは咄嗟に迎撃体制に移れない。

    (ここまでか・・・)

    諦めが頭をよぎる。しかし次の瞬間、ツキノの言葉を思い出した。

    「人はいつ負けると思う?勝敗が決した時?違う。「負けたから」じゃない。「負けたと思った」とき、人は負けるんだ。
    いいかグレイ。絶対に諦めるな。諦めた瞬間に、人は「負ける」んだ。最後の最後、その最後まで努力し続けろ」

    その言葉を思い出したとき、グレイはドム・ファントムの身体をおこしつつ残った右手を03に向けようとした。
    しかし、どう考えてもその動きは間に合わず、03のスピアが先にグレイを貫くはずであった。

    「奇跡という言葉を安易に使うな。奇跡とはな、最後の最後まで戦い抜いたものだけに与えられる神からの勝利だ」

    後に、圧倒的戦力差で攻めて来る連邦軍を、ソーラ・レイとビグザムの単機敵陣突入という、大胆不敵な戦術で、ソロモンを守りきった、
    ドズル・ザビ中将が言った言葉である。
    今のグレイには、その言葉が許されるだろう。

    貫くはずのスピアはグレイの目前1メートルで止まり、小刻みに震えていた。
    まるで03のジムストが、痙攣しているかのようだった。
    その一瞬の隙を逃さず、スタンナックルを03のコクピットへ叩き込む。
    数秒のちに、03は水しぶきをあげながら崩れ落ちた。

    「・・・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・」


    信じられないという感情と、全ての敵を倒した安堵とがないまぜになってグレイに押し寄せる。
    グレイは知る由も無かったが、それは強化人間のタイムアップを意味していた。
    間一髪、グレイは強化人間との戦いに「勝利」し、「逃げ切った」のである。

    「・・・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・」


    流石のグレイも、今回の戦いはギリギリだった。
    精神と肉体を沈静化させるのに、数分を要した。

    「・・・・・さて、なんとか自分のノルマはこなしたようだな。だが帰還したくとも、これじゃあ・・・」

    ドム・ファントムは、強化人間との戦いに勝利したものの、胸から上は無く、左腕もない。
    そして度重なる無茶な戦闘と、転倒の衝撃で、立つ事は出来ても、歩く事もホバー走行も困難な状態だった。

    「・・・ちっ、3機落としてもこれじゃあ、戻って自慢できねぇじゃねぇか」

    グレイはしばし考えた後、腰のホルスターの銃の安全装置を外し、コクピット後部に置いてあった、巨大戦艦爆破用の
    高性能爆弾の時限装置を、格納庫の奥にある弾薬に設置し、起動した。

    「・・・よしっ!!強化人間3機と、連邦の基地ひとつぶっつぶしゃあ、釣りがくるだろ!!」


    グレイは片ひざをついた愛機に別れを告げ、基地を脱出することにした。

    「・・・あばよ、ファントム。オリバー・マイにはよろしくいっとくぜ。
    『お前はいい機体だった』ってな」

  • [62] mixiユーザー

    2009年09月16日 22:56

    残り30秒前後〜

    地上での戦況はアーク優勢では無く、僅か数十秒の間に更なる苦戦を強いられていた。

    それは、機動力を削いでいたミサイルの効果が無くなっただけでは無い。

    ここにきて、ロイドシュタインの狙っていた機体の弾薬切れとパイロットのスタミナ切れに加え、時間制限が近いことによる無意識的な油断、なによりジム・ストライカーのパイロットはこの土壇場で今まで以上の底力を発揮し始めたのだ。

    その猛攻に、ただ耐えるだけでよかったはずのパイロット達は、ここで更なる死力を尽くす事を強制させられていた。

    サイサリスとクラウン・イミテイトは連携を駆使し、ジム・ストライカーに全力を持って必死で対抗する。

    が、それを凌駕するジム・ストライカー。

    「い、いい加減墜ちなさい!!」

    カレンが苦し紛れに振るったワイヤー・ウィップを、避けるのではなく真っ向からビームスピアで切り伏せるジム・ストライカー。

    「今度こそ、喰らうでありま!?」

    ワイヤーウィップを切り捨てた事で生じた僅かな隙を狙い、サイサリスがビームバズーカを構えた直後、ジム・ストライカーはあろうことかビームスピアを振り抜いた勢いで投擲、ビームスピアはバズーカを貫通して破壊した。

    「くっ!!」

    がらくたになったバズーカを捨て、近づかせまいとビームサーベルを振り回すガルル。

    だが、ジム・ストライカーはビームサーベルの斬撃をくぐり抜け、ビームスピアを回収、再び得物を取り戻す。

    援護のためにガトリングを掃射したが、すぐに残弾が尽き、ジム・ストライカーへの牽制の役にすら立たなかった。

    その間にもジム・ストライカーは刺突を繰り出しサイサリスを追い詰める。

    「射撃が出来なくても!!」

    格闘戦に切り換え、クラウン・イミテイトは脚部のホイールを全開で回転させた。

    〜〜〜

    「当たれって、言ってんでしょうが!!」

    シュツルムを発射しながら、苛立たしく叫ぶリリィ。

    しっかり着地硬直を狙っているにも関わらず、ジム・ストライカーは強引に動くことでそれを避け、逆にリリィのザク2へと肉薄する。

    「このっ!!」
    「やらせん!!」

    間一髪、シーモアのゲルググが二機の間に割って入りながらビームナギナタを振り抜き、リリィのザク2は事無きを得るが、替わりにザク2が持っていたシールドは断ち切られ用を成さなくなる。

    「ヤツラ、本当に限界ギリギリなのか?」
    「そう信じるしか無いでしょ。
    まったく、追い詰められるほど強くなるなんて、漫画じゃあるまいし!!」

    そう愚痴りながら、残る二本のシュツルムを両手に構えさせる。

    「ツキノ中隊長、残り時間は!?」
    「後、20秒です!!」

    先程まで希望と聞こえたツキノのカウントが、今の4人には絶望的なまでに長く感じられた。

  • [63] mixiユーザー

    2009年09月19日 21:16

    「ツキノ中隊長、残り時間は!?」
    「後、20秒です!!」


    残り30秒を切ったあたりから、急に動きが俊敏になった敵に、戸惑いつつも、平静を装い、矢のようにくる残り時間への問いに答えるツキノ。

    その俊敏さは、粘着ミサイルの効果切れの為か、はたまた強化人間たちの焦りと覚悟からくるものなのか。
    ヘルト大尉の粘着ミサイルと、アークのエースパイロット達の奮戦で、強化人間部隊は次々と数を減らし、今では地上には2機がいるだけだ。
    それに対して味方は8機。戦闘力皆無のツキノを除いても7機が健在である。
    しかしながら現状は、そんな単純な数では計る事ができない状況にある。
    リリィ、シェリア、カレン、ユリアナら女性パイロットは体力の消耗が激しく、今や精神力だけで戦っている状態である。
    シーモア、ガルルは前線で激戦を続けた結果、もはや射撃武器は存在せず、シーモアはナギナタで、ガルルはビームサーベルで
    格闘機相手に不利な格闘戦をせざるを得なかった。

    そんななか、ほとんど無傷な機体が2機残っていた。ツキノとアレンである。
    無論、この2機は遊んでいた訳ではない。ツキノは指揮統率をする関係で、アレンはその兵装と能力で、後方を担当していた為である。
    しかし、同じく後方を担当していたユリアナですら、最前線で白兵戦をしている。最も、彼女の場合は「カルカンした」というしかないのだが。

    痺れを切らした様に、アレンがツキノに通信する。

    「先輩!!」
    「・・・・・うん。やるか」

    この2人にしか理解できない、阿吽の呼吸で、2機はダッシュを開始した。
  • [64] mixiユーザー

    2009年10月02日 23:42

    残っているジムストライカーは2機。
    その2機が、シーモアらと戦闘を繰り広げている隙に、アレンとツキノはジムストへ向けてダッシュを開始する。
    そのダッシュに気づき、ツキノを狙おうとした06のマーキングが有るジムストに、疲労の為もはやMSを立たせる事すら
    ままならなくなっていたリリィが、膝立ちの姿勢ながら、渾身の一撃を放つ。

    「ま・・・ちなさいよぉっ!!あんたの相手はこっちでしょっ!!」

    リリィが撃った最後のシュツルム・ファウストは、06の丁度ランドセルへと一直線に飛んでいったが、一瞬の機動で06は屈み、シュツルムは
    虚しく06を通過して、数十メートル先で爆発した。

    「そ・・・そんな・・・・・」

    渾身の一撃だった最後の一発を交わされ、流石にリリィは精神力が尽きてしまった。
    膝立ちのまま動こうとしない。
    それを見た05は好機とばかりにツイン・ビームスピアを構え、一撃を喰らわせようとする。
    迫るスピア。しかし間一髪で、そのスピアをビームサーベルで止めたのはガルル少佐のサイサリスだった。
    激しく放電する2本の剣。

    「だ・・・・大丈夫でありますかリリィ軍曹!?」
    「・・・・・ガルル少佐・・・」
    「辛いでありますが、もうひとふん張りするであります。時間切れまであとわずかであります!!」

    恐るべきことに、機体性能差でははるかにパワーが上のサイサリスが、ジムストに押されている。
    じりじりとスピアの穂先がリリィのザク?へと近づいている。

    「し・・・信じられん・・・サイサが押されているであります!!」

    片手で持っていたサーベルを両手で持ち、やっとのことで05を跳ね飛ばすサイサ。
    すかさずリリィと05との間に割ってはいるガルル。

    「私が相手であります!!勝負であります!!」
  • [65] mixiユーザー

    2009年10月02日 23:48

    一方、リリィのシュツルムを屈んで避けた06は、残り時間が少ない為か、一気に勝負をつけようとダッシュしてくるツキノに対し
    真正面からダッシュで迎え撃った。
    相対速度の為、あっという間に格闘距離に入る2機。

    MAXスピードでダッシュし続けるツキノのザク強行偵察型の真後ろには、ぴったりとアレンのゲルググJ改がまったく同じスピードで
    ダッシュを繰り返していた。
    少しでも息が合わなければ衝突してしまう、アクロバティックなツインダッシュ。

    「アレン、一撃で決めるぞ。ギリでよけるからスピア喰らうなよ!」
    「了解です先輩!!そんヘマはしませんよ!!」

    ツキノはアレンのMSパイロットとしての能力を、十二分に信頼していたが、それは近距離以遠の話であって、銃を使わない戦闘、
    すなわち格闘戦は本人が苦手意識をもっているためか、出来る事ならさせたくは無かった。
    だが状況はそうもいっていられない。あと数十秒でやつらは動きをとめるだろうが、それまでの間に一瞬でも気を緩めたら、
    味方の誰かが殺られてしまう。
    それは臨時中隊長として、アークの一パイロットとして、またマサノリ・ツキノ個人として、耐えられるものではなかった。
    何としても味方を守る。
    開戦以来、補給部隊護衛一筋として宇宙で戦い続け、地上に降り立ってからは部隊の目として、ツキノの中にあるポリシーは、
    終始一貫、「守る」だけであった。

    こぉぉぉぉぉおっっ!!
    ひゅぉぉぉぉぉぉぉっ!!

    先に仕掛けたのは06だった。ビームスピアを袈裟切りの構えで振り下ろす。恐ろしく早いその一撃は、並のエースパイロットなら
    受ける事も避ける事もままならず、一刀両断の元にさらされたであろう。
    しかしツキノは、避ける事「だけ」ならアーク一である。
    その刃先をおそらくはセンチ単位で見切り、まさに装甲表面がスピアの熱で溶け出そうかという間合いで、身体をよじる。
    見ているものには、今さっきまでそこにあったものが「消えた」かのようにいなくなった錯覚をおぼえたであろう。
    空を切るスピア。

    「よけるだけなら、お前さんにすら負けんよ!!」

    しかし、急激かつ無理な体勢で避けた代償は大きかった。バランサー性能がお世辞にも高いとはいえない強行偵察型である。
    ツキノのザクは真横に転がってしまった。
    しかし06にはそのツキノを狙う余裕は無かった。
    あまりにも接近しすぎていた為、ツキノが避けたスピアの穂先で胸部装甲の一部が傷となって溶け落ちたゲルググJ改が、
    左腕を06に向けていたからである。

    「喰らえっ!!」

    左腕に内臓された閃光グレネードランチャーが火を吹く。
    ツキノの思考を読むために集中していた06は、至近距離でダッシュをしていたアレンの思考を読めなかった為、避けられずにまともに命中する。
    その威力の低さゆえに、ダウンさせることは出来なかったが、直撃した06は、数歩よろけた。そして広がる閃光ー。

    「よしっ!!これでっ!!」

    ポイズンニードル?を右肩に掛け、右腕にはヒートホークを握り締めたJ改が、真横に振りかざして06を狙う。
    そのスピードも、タイミングも、決して悪くは無かった。ベテランパイロットでも、避けきれずに受けるのが精一杯だったであろう。
    ましてや閃光弾で視界を奪われた状態での一撃である。勝負は決まったかに見えた。
  • [66] mixiユーザー

    2009年10月02日 23:52

    その瞬間、

    がきぃっ!!

    「何!?」

    信じられない光景が、アレンの目の前に広がっていた。
    目が見えないはずの06は、アレンの一撃をしっかりと読み、その右腕を咄嗟に掴んでいたのである。
    攻守逆転。身動きが取れなくなったのはJ改のほうであった。
    すかさず頭部バルカンを撃つ06
    至近距離からの銃撃に、さすがのゲルググJ改も装甲をズタズタにされる。

    「ぐぅっ!!!」

    バルカンの衝撃に、歯を食いしばって耐えるアレン。
    コクピット等、主要部位の装甲は貫けないものの、関節等の薄い部分のいくつかが貫通される。
    鳴り響くアラート。

    「アレンッ!!」

    すかさず身を起こしてタックルする体制に移るツキノに、アレンはそれを鋭く制した。

    「先輩来ないでっ!!」

    アレンの沈着冷静な頭脳は、この一瞬の攻守逆転をピンチと捉えずにチャンスと捉えたのである。
    アレンは、空いている左手でパンチをコクピットに見舞おうとする。
    それを察知した06は、射撃をやめゲルJ改の右手を離して回避しようとした。
    がその瞬間、今度はアレンが06の左手を掴む。
    J改が右手を掴まれた瞬間、アレンはその衝撃でヒートホークを落としたかの様に見せ、意図的に離していたのだった。

    「腕を掴んだのが命取りさ。今度はこっちの番だっ!!」

    左手を掴まれた06は、ゲルJ改のパンチをかわすことが出来ず、まともにコクピットにくらってしまう。
    激しい衝撃がコクピットに伝わる。その衝撃で脳震盪を起こしたのか、06は片膝をついてしまう。

    そこをすかさず両手の拳を合わせ、オルテガハンマーを見舞う。
    砕ける06の頭部。
    ゆっくりともう一方の膝をつき、そして静かに前のめりに倒れる06。
    ヒートホークをすかざず拾い、ランドセルへとどめの一撃を見舞う。
    ヒートホークはランドセルに深く刺さったが、その衝撃に耐えられずにゲルJ改の右腕が、肩からぼっきりと折れてしまう。
    どうやらバルカンでやられた肩関節に、衝撃が耐えられなかったらしい。

    「・・・はぁはぁはぁ・・・・先輩やりました。こちらは中破。右肩関節破損、左肩関節35%機動低下です」
    「・・・アレンよくやった。後10秒だ、さぁいくぞ!!」
    「了解!!」

    ツキノとアレンは、最後の戦いへと向かった・・・。



  • [67] mixiユーザー

    2009年11月03日 11:52

    62、64の別視点

    「ツキノ中隊長、残り時間は!?」
    「後、20秒です!!」

    シーモアからの問いに、ツキノは答えた。

    20秒など、通常であれば大したことはない。

    しかし、今のシーモアやガルルにとって、この20秒は非常に長く感じられた。

    「(まだ20秒も残ってるのか…!)」

    そんな考えがシーモアの脳裡を過った、その時だった―。

    シーモアと対峙していた「06」のジムストライカーが、自分に向かってくるツキノのザク強行偵察型に対してダッシュし始めた。

    「お前の相手は…、俺だろうがっ!!」

    すかさずシーモアは、「06」を追った。

    「中佐、邪魔です!どいてください!!」

    そう言うや否や、「06」目掛け、最後のシュツルム・ファウストを放つリリィのザク。

    しかし、その渾身の一撃でさえ、「06」に見事に交わされ、精神的に尽きてしまったリリィは、膝立ちの状態から体勢を戻せなくなっていた。

    そこへ、ツインビームスピアを構え、突進を始める「05」。

    シーモアはそれに気付くも、反応が一瞬遅れる。

    「リリィー!!」

    シーモアが叫んだその瞬間、リリィのザクの後ろで大きな火花が散った。

    「だ…、大丈夫でありますか、リリィ軍曹!?」

    ガルルの乗るサイサリスが、間一髪のところでビームスピアを防いでいた。



    だが、徐々にザクへと迫る「05」のビームスピア。

    ガルルのサイサリスは、片手で持っていたビームサーベルを両手で持つと、「05」を撥ね飛ばし、リリィのザクと「05」との間に割って入った。

    「私が相手であります!!勝負であります!!」
  • [68] mixiユーザー

    2009年11月03日 11:53

    67の続き


    「私が相手であります!!勝負であります!!」

    ガルルがそう言い放つと、「05」は先程よりも素早く、そして鋭く、サイサリスに対しスピアを突いてきた。

    「くっ…、本当に、あとわずかで、力尽きるで、ありますか…!?」

    「05」の攻撃をビームサーベルで受けていたガルルだったが、疲労はピークに達しようとしていた。

    その時、「05」はサイサリスの前から消え、次の瞬間、強い衝撃と共にサイサリスは後ろへと倒れ込んだ。

    実は「05」は、サイサリスの目前で深く身を沈め、ショルダータックルをかましたのだ。

    「05」は、倒れ込んだサイサリスに足を乗せ、ビームスピアの先をサイサリスのコックピットに突き立てようとした。

    「ガルル少佐!!」

    「05」の背後から、シーモアが斬撃を繰り出す。

    しかし、斬撃が当たるはずもなく、「05」はサイサリスの上から飛び退く。

    「今だ!!」

    シーモアがそう言うと、脚部ホイールの回転を全開にしたカレンのクラウン・イミテイトが、「05」の背後からヒートフランベルジュを突き刺す。

    「これで…!!」

    最後の力を振り絞り、執念で突き刺したものの、カレンは疲弊しきってしまい、もはや動くことができなくなっていた。

    シーモアは、ふと取り出してあった懐中時計を見遣ると、秒針は0と1の間に差し掛かっていた。

    「ギリギリの勝利だったか…。」

    そう呟きながら、グフ・クラウンイミテイトに背後から突き刺されたジムストライカーに視線を移した。

    次第に漏電箇所が増えていくジムストライカー。

    「カレン准尉、すぐに離れるんだ!」

    シーモアは、カレンに呼び掛けるも、何も反応がない。

    「カレン准尉、聞こえるか!?聞こえていたら、今すぐにそいつから離れろ!」

    返事が何もない状況、そして先程から全く動く気配すら見せないグフの様子に、最悪の事態を想定したシーモアは、ゲルググでグフへ駆け寄ろうとする。

    しかし、その刹那、ジムストライカーは辺り一帯に眩い光と轟音を響かせ、その姿を消したのだった―。
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