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2012年08月13日20:06

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萩尾望都先生語る at カタログハウスのセミナー

8月11日(土)、カタログハウス新宿校にて、セミナー「小室等の聞きたい聴かせたい19」にて萩尾望都さんがゲスト出演されました。
http://www.cataloghouse.co.jp/study/schedule/shinjyuku/

小室さんが萩尾先生に聞く形で進められつつ、合間合間に小室さんと娘さんのユニットによる歌が何曲か。

昨年から原発に関する漫画を立て続けに発表された経緯については、以前にもお話しされてますが、311当時の話をふりかえります。

原発がメルトダウンするのではないかという不安な気持ちと、大丈夫だというマスコミ報道の落差、友人との花見のときに、植物を植えて放射性物質を吸収させることができるという話を聞いて、もうダメだと思っていたところに希望を見つけることができ、それを「なのはな」で描きたかったと。
しりあがり寿さんが「あの日からのマンガ」を発表されて、他にも描かれている人がいると勇気づけられたこと。

これまでも手につかないというか、4年に1回くらいスランプになって逃げたくなることはあった。どこかに行ったり(もちろん戻ってくるとは思っていても)それで自分を解放したりしたけれど、今回は生活全般が楽しめなくて、クリエイティブに考えられなくなった。どうなるんだろうとグルグルしてしまった。

これまでは、原発の安全神話を根拠なく信じていた。SFの世界のことと距離をおいてきた。こんな事故が起きてから、なんてバカだったのかと。立ち直りたいけれど、ただ鬱々としていた。
世界中いろんな危機的なことが起きても、それでも世界はちゃんと揺るぎなく続くだろうと思っていたが、その気持ちが揺らいでしまった。津波で町がなくなり飛行場が水没するのを見ていて、世界がどうなるかわからなくなってしまった。

個々の作品の解説を萩尾先生自ら。
「プルート夫人」はイカした女性。プルートの化身、永遠のエネルギー、危ないけれど人間は惹かれてしまう。嫌だ嫌だと言いながらも好きなんじゃない。人間の性(サガ)みたいなもの。
「雨の夜-ウラノス伯爵 -」ウランの化身。お金や豊かな生活を望む人と、安全な大地と水や食べ物を望む人が同じ席で言い争う最中に、ウラノス伯爵が殺される。そのときなぜか反原発の女性が愛してるから死なないで!と伯爵にすがって泣いたのは、作者が描かせたのではなく、登場人物が勝手に言ってる。答えがわからないまま描いている。
「サロメ20XX」もちろんサロメの作品をモチーフに。放射性物質核廃棄物。なぜ閉じこめるの!と泣き叫ぶサロメが描いてて可哀想になった。

原発は個人的にどう思うか聞かれて、辞めたほうがいいと思う。

人間の前頭葉は、仮定の未来を考えるらしい。
そして人間はリスクを甘くみる傾向がある。今はこうでもいずれ先の人がどうにかしてくれるに違いないと。その2つでバランスをとってるというより、相殺してしまってる。
経済発展が幸福の水準なのか。大量生産時代には、そのように教育された人間が送り出されたが、今はもう頭打ちなのではないか。無理がきてるように感じる。煮詰まって閉塞感を感じてる人が増えてきてるのでは。

手塚治虫の「鉄腕アトム」と原子力利用の関係について。
アトムの体内には格納容器がおさまってるわけですが、これは科学ファンタジーSFと解釈するしかないと思ってる。
アトム一家が福島に除染する作品なんてどうでしょうか、と。

質問コーナーでは

「王妃マルゴ」という歴史物を描く経緯について。
スカパーなどで歴史物を面白く見てる。コスチュームものも衣装面から見たりするのが好き。
グリフィスの「イントレランス」で、バルテルミの大虐殺を見て、どうしてこんなことが起こったのかとか。という話をYOUの編集さんに話したら、ドサっと資料が送られた。最初は読み切りを考えてたが、連載することに。
カトリックとプロテスタントのバトル。マルゴは多情と言われて非難されたが、男がいろんな女とつきあっても何も言われないのに、それがどうしたと。王女という立場、まわりには若い男がいっぱいいるんだからいいじゃん(笑)。

今回の号で、ひとり名前を間違えてしまったとのこと。シャルロットでなくエレオノーラ?
ポカは山のようにしてるので、人の間違いにも寛容ですと。
とりかえしのつかないポカはあるか?という問いに、表現は人を傷つけてる可能性があるが、それがわかってやってるならまだしも、わかってないで傷つけてるとしたら…というのが一番困る。

家族の問題から心理学を勉強するようになったという萩尾先生の話は、もう一部で有名ですね。
心理学の本をいろいろ読んで、占いの本を読んだら、相性が悪いだけ(笑)と。

家庭内殺人はどうして起こるのかと本を読んでいって、児童虐待に関する本へ。底がないテーマ。
父が娘に虐待する場合の母の立場、気持ちを知りたくて本を探したが、一冊だけ見つけた。告白文として載ってる。それを読むと、母はなかったことにしましょうという。
父母が離婚して、母と娘が暮らすことになるが、「あんたは目が見えてない」と娘に言われる。
父が再婚すると、離婚した別な生活を送ってるはずの母はものすごいショックを受ける。どれだけ丸ごと夫(娘からしたら虐待父)に依存してたのか。
児童虐待に関して、どうしたら回復できるのだろうか。

絵の勉強は2年間専門学校でデッサン、クロッキーを習ったくらい。あとは目で見て覚える。目のシャッター。
もちろん最初は、手塚治虫の絵や西谷祥子を真似て描いていた。矢代まさ子そっくりと言われたことも。

エドガーとアランの続きを描くにはもう歳をとりすぎました。
オスカー・ライザー本人の話も描けない。いとこ、はとこなら描けるかも。

以上、簡単ですが。
その後、本を買った人にサイン会、握手会でしたが、私は買いそびれ(ボーッとしすぎ)、皆にくっついて写真を撮る係をしてました。
今日の先生のファッション、模様のついたグレーのワンピにグリーンとグレーの入り交じったロングカーディガンという、まるで先生の描かれる原稿の色づかいのようなシックないでたちでした。
カメラを向けるととてもチャーミングな笑顔があって、しばし時間よ止まれ!でしたよ(笑)。

その後はマイミクさんほか10人くらいでお茶して、いっぱいおしゃべり。楽しうございました。ありがとうございました!

見直してる時間がないので、いったんこれでアップしますが、間違いや訂正、追加情報などありましたがご指摘くださいね〜。

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