TPPについての俗論とそれに対する反論その9。
その1は
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その2は
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その3は
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1793513046&owner_id=2129235
その4は
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その5は
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1799504270&owner_id=2129235
その6は
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1804911046&owner_id=2129235
その7は
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1814567791&owner_id=2129235
その8は
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まず、俗論ではないけど、4日、マイミクさんが反グローバリズムのツイートをしておられたので、感想。このご意見自体は、ごくまっとうなんだけど...
グローバリズムに欠点があるのはおっしゃるとおり。特に、今の「グローバリズム」って「グローバル」だけでなく、単なる「アメリカ化」の側面が色濃くあるし。なので、何の補正もせずにグローバリズムに身を任せれば、アメリカ型格差社会になってしまうでしょう。過度の競争社会。
でも逆に、グローバリズムに抵抗し国をほぼ閉ざし(つまり、現状レベルかそれ以上の緩い管理貿易体制を続け)、かつ補正をかけずに放置していたら、どんどん旧ソ連や江戸時代の日本のような(特権階級がいる)格差社会になるでしょう。
※ アメリカ型だと、競争力の強いものが上流階級に、弱いものが
下流階級になってしまう。結果、過度の競争を招く。
※ 逆に、国を(ほぼ)閉ざすと、競争は弱まるけれど、その分、別の意
味で強いもの(広義の権力者)が恵まれてしまう。他国が貿易自由化を
進めれば、日本の輸出力が徐々に、最後は激減し、得られる外貨がどん
どん減るでしょうから、他国から買えるものも限られるし。同時に経済
が停滞し税収も減るので福祉が後退するのも間違いないから。誰にでも
手厚く、とはならない。
例えば、人数が多いため政治的発言力が強い(票になるから)高齢
者が人数の少ない若者より優遇されたり。強い労組に守られた大企業
正社員や公務員が、労組のほとんどない非正規雇用者より優遇された
り。ここまでは、今でももうそうなってるけど、それが、国を閉ざす
と競争する必要が無くなるからさらに激化するでしょう。
あるいは、食糧不足になった場合食料生産者の農家が恵まれたり
(戦中・戦後の食料逼迫期は実際そうでしたね)。
競争力は弱いけれども、別の意味で恵まれた上記のような層は、階
層間流動性が低いので、「特権階級」と呼ばせて貰いました。
また、公的福祉が崩壊するので、自助の出来ない貧困層は、そういう
意味でもより苦しくなるし。昔のような互助は崩壊してるし、核家族化
も進んでいるので、昔以上に弱者はツライ。
あるいは、上記のような経済格差だけでなく、幸福度で比べても。
グローバリズムは過度の競争を生み国民は酷く疲弊しかねないと言う短所は大きいけれど、経済は活性化し税収は上がるので公的福祉が崩壊しづらい長所もある。
逆に国をほぼ閉ざす管理貿易体制は、貿易において徐々に競争力が失われるので経済が停滞し、税収が減るので公的福祉はまず間違いなく崩壊(もしくは大幅後退)せざるを得なくなるけれど。過度の競争が無いぶん、落ち着いた、スローライフ的な良さが生まれることが期待出来る。
自由に競争させるとワタミになり。競争を止めさせると東電になる。とかく企業は扱いづらい(-_-;)。
なので、経済格差で見ても、幸福度で見ても、どちらも一長一短。なので問題は「どちらをベースに補正したらより良い社会になるか?」という点。
長期的には、マイミクさんと同じく、後者(国をほぼ閉ざしてスローライフ的に生きる社会)を目指すのが魅力的だと私も思う。
でも、後者を選ぶには、食料とエネルギーの多くを自給出来るようになっていないと無理だと思う。100年後、日本の人口が半減し、再生可能エネルギーの利用も進んでいればその時には可能性があるかなー。今は、無理だけど。
今すぐやったら、ジワジワと獲得外貨が減るので、食料も石油も天然ガスも家畜飼料も、必要量を徐々に買えなくなる。また、農業だってF1品種の一部ないし多くは種とか買えなくなる恐れがある。そう言う意味で、すぐに国を閉ざせば、エネルギー供給力も食料供給力も大打撃を受けるでしょうから。
また、中国が民主化しかつ膨張主義が収まっていないと、これまた無理。スローライフ的な社会にしようとしたら、(軍備を整えるお金も無くなるので)中国がドンドン軍事的に押してきて、最初は島嶼、その後沖縄などドンドン取られかねない。そう言う意味でも、すぐに国を閉ざすのは無理。
なので当面は、TPPなどで自由貿易・自由競争を促進するしかない。一方、将来国をほぼ閉ざしてもやって行けるように(選択肢が広がった方が、仮に自由貿易・自由競争体制を継続する場合でも、交渉力が強まるし)、食料とエネルギーの自給率を増す施策や、(江戸時代〜戦前社会のような)互助の復活を促す施策も同時に採るべき。
具体的には、主業農家は補助金で保護し、種の国産化も進める。主業でない農家は統合して効率化してもらう。同時にエネルギーの再生可能エネルギー比率をどんどん高めるなどすべきでしょう。国をほぼ閉ざした場合でも得られる少ない外貨でも、必要量の食料や飼料、資源などが外国から買えるように。
ただ、互助っていうのはヒトの偏見に左右されやすいから、スローライフ社会にすると、マイノリティには生きづらい社会になる恐れがあるかもしれない。実際、スローライフ的だった江戸〜戦前や、その名残が今も生きている地方部だと、マイノリティは現代日本の都市部より生き難そうだよね。
------- 以下、日々の報道に関する感想 -------
24日各紙。日本がTPP交渉参加することを認めるかどうか、態度保留しているのは米国・豪州・NZの3カ国。他の6カ国は承認。3国は、農産物の開放を求め態度を保留している模様。
対するに日本側は、外務・経産・農水の連合で交渉に当たっているため、足並みの乱れが酷いとか。他の省が「全ての品目を交渉のテーブルに載せます」と言ったのを、農水が慌てて「テーブルに載せると言うだけで、関税撤廃を約束したワケではありません」と注釈したり。
→ ?この農水省代表の言い分は、これに限れば正しいと思う。これを問題視する記者(これは読売)の方がヘン。
ただ、3省からそれぞれ代表を出しているようだと、各個撃破されてしまう。政治のリーダーシップで統合代表を出さないと、日本に不利でしょう。誰もが分かっていることなんだけど、それが出来ない。政治のリーダーシップ不在。
29日朝日。九大院の伊東教授(専門は食糧需給問題)が、TPPなら輸入米が国内流通量の半分を占める、との試算を示した。
US産コシヒカリが60kg袋の玄米で7千円。カルローズという種類で5千円。対する国産は1万5千円ほど。ジャポニカ米はUSで150万t、ベトナムで1万t生産されているが、5年かけてこれが倍増以上になると言う仮定。結果、USから300万t、ベトナムから100万tが日本に輸入されると言う前提での試算。
→ 米国やベトナムの生産力と、日本消費者のブランド志向を考えると、あまり現実的でない試算だと思う。庶民的外食産業での置き換えは進み、家庭用や中・高級外食産業では日本のノンブランド米が打撃を受ける、くらいでは?補助金がなければ。
2日各紙。来日中の米通商代表部(USTR)のカトラー代表補(日本担当)は講演で「日本のTPP参加は米国の重視する分野で前提条件を付けない」と発言。ただし、「事前協議は長引く」とも示唆。
なお、日本政府は、他の参加国も含め「全品目の90〜95%を即時開放、残りを7年間で段階的に」との主張をする国が多数あったと報告した。
一方、元米通商担当のジェフリー・スコットは「米を例外品目にすることは可能」とも。
→ まぁ、今後の外交・交渉次第。
5日朝日。北海道産小麦「ゆめちから」。国産パン用として期待が膨らむ。私も期待。これが出来れば、国をほぼ閉ざした場合でも、海外からパン用小麦を輸入する量が少なくても済むようになるし。
関税関係の良い国会質疑。TPP問題を考える人は一読しましょう(特に中後半)。著者は元外務官僚の1年生与党議員でTPP賛成派。『議事録』
http://ameblo.jp/rintaro-o/entry-11183569098.html
関税の課税対象約9千品目中、これまでのEPAやFTA交渉で一度も関税を撤廃したことが無い品目は約1割の約940品目(ウチ、農水関係は約850)。
ウチ、関税率10%以下は約130品目。また、日本では原料も最終製品もどちらも生産していない(もしくはほとんど生産していない)品目は17(どちらか、であればもっと増える)。
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