『お手紙によりますと、あなたはK君の溺死に就いて、それが過失だったろうか、自殺だったろうか、自殺ならば、それが何に原因しているのだろう。或いは不治の病をはかなんで死んだのではなかろうかと様ざまに思い悩んでいられるようであります。』
梶井基次郎作品・「Kの昇天」のコミュです
「Kの昇天」が好きな方
「Kの昇天」が気になる方
梶井基次郎≠檸檬→梶井基次郎=Kの昇天
月光による自分の影を視凝めてしまう
シューベルトの「ドッペルゲンゲル」が口笛で吹ける
『K君の身体は仆れると共に沖へ運ばれました。感覚はまだ蘇りません。次の浪が浜辺へ引摺りあげました。感覚はまだ帰りません。また沖へ引去られ、また浜辺へ叩きつけられました。然も魂は月の方へ昇天してゆくのです。
遂に肉体は無感覚で終わりました。干潮は11時56分と記載されています。その時刻の激浪に形骸の翻弄を委ねたまま、K君の魂は月へ月へ、飛翔し去ったのであります。』
1926年9月