Irena Sendler (1910〜2008)
福祉活動家 ポーランド人
第2次大戦中にユダヤ人が強制的に収容されていた居住区ワルシャワ・ゲットーから、ユダヤ人の子ども2500人を虐殺や強制収容所送りから救出。修道院などに匿い、国外へと逃亡させた。福祉活動家の立場を利用して同ゲットー内に入り、幼児たちをスーツケースに入れたり、スカートの中に隠すなどして逃すことに成功。ナチス占領下でユダヤ人を助けることには、銃殺などの重罪に処せられる危険があったが、2年以上も命がけの活動を続けた。
“生き別れ”を余儀なくされた幼児と親が戦後、再開できるようにと幼児1人1人の名前などを紙に書き、リンゴの木の下に埋めた。1943年に逮捕されたが、その紙の隠し場所を明かさなかった。強制収容所で拷問を受けるが「活動内容を明かすぐらいなら迷わず死を選ぶ」と、頑なに沈黙。その後、仲間がナチス高官を買収し辛くも死を免れたが、拷問のため足や腕を骨折し無意識状態のまま近くの森の中に捨てられた。
戦後も社会福祉活動を続け、2007年にノーベル平和賞有力候補となる。
死の間際でのインタビュー
「私が英雄と呼ばれることには抵抗があります。ほんの一握りの子供しか救えなかったことに、今も良心の呵責を感じ続けているのです」