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mixi小説:白球のゆくえコミュの第10話

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1番バッターにいきなりやられたが、3、4番は拍子抜けするくらいあっさり片付いた。


「なんてショボいクリーンナップなんや」

チェンジになり、一塁側ベンチに戻ってきた武司や康之たちが口々に言っている。


やがて皆がベンチ前に集まり、円陣を組んだ。

「まだ初回や。さっさと追いつくぞ!」

円陣の真ん中でキャプテンの康之が叫び、皆がそれに応える。

「オォ〜〜!!」



「先頭、塁に出ろよ」

武司がそう言った先では、いつもの気持ち悪い笑いをした男がバットを振って準備している。

「おっ、任せなさい」

切り返すセリフも何となく気持ち悪い。


気持ち悪いのが難点ではあるが、俊足の土井はミートも上手く、近隣の高校の選手と比較してもかなり良い1番バッターだ。


その時、ベンチから誰かが声を発した。

「あれ?ピッチャー8番付けてるぞ」

その声に誘われてマウンドを見ると、背番号8を付けたサウスポーが投球練習をしているとこだった。


「何や、エースは温存か?ナメられたもんやな」

武司が誰にともなくボヤいた。

僕はそのサウスポーを見ながら、何だか見たことのある顔だとボンヤリ考えていた。



「あれ?背番号8番って言ったらさっきの1番バッターじゃないのか?」

康之は思い出したようにそう言うと、マネージャーのスコアブックを覗き込んだ。


僕はその様子を見ながら、どーりで見たことのある顔だと思った。

何せ、数分前にマウンドから見ていた顔と同じ顔なのだから。

あの顔は土井とは別の意味で嫌な顔だ。



と、ほんの10分くらい前からの相手の攻撃を思い返していた。

セーフティバント、二盗、三盗、内野ゴロ。

何ともシンプルな点の取られ方だ…。




カキーン!!

その時、心地いい金属音がグラウンドに響いた。


「よっしゃ〜!」


見ると土井の放った打球はライナーでセンター前に抜けていた。



反撃は、これからだ。

こちらのベンチも急にやかましくなった。





第11話へ続く




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