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歌詞から妄想コミュのLouis Armstrong/What A Wonderful World

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悪かない



朝起きて庭の草花に水をやり、簡単な朝食をとったあと、いつもの散歩道を通っていつもの丘に行く。

どこまでも青い空、真っ白な雲。
木々は緑に輝き、赤いバラはどれも私たちの為に咲いている。
う〜ん悪かない。

その丘には大きな木があり、その傍らにゆりかごがある。
大きな木のくぼみに隠してあるスケッチブックを取り出し、いつものように絵を描き始めた。
しばらくすると近所の悪ガキたちがわしのとこにやってきた。

「じぃさんまたトランペット聞かせてよ」
「学校から帰ってきたらまたここに着なさい。そしたら聞かせてあげるから、さっさと学校に行ってきなさい。」

悪ガキたちは学校とは逆の方向に走り去った。おそらく1時間はああやって遊んで遅刻することだろう。


昼食用のサンドウィッチを買いに町に戻った。
数十年の顔なじみ連中と手をとり挨拶を交わす。
「今日も生きてたか?」って具合だ。

行きつけのスタンドで1ドル札を3枚渡すとサンドウィッチのバスケットと持参したポットにコーヒーをいれて渡してくれた。

近くのベンチでは若いカップルが座っていて、ひと目も気にせずキスを繰り返し愛を囁いていた。

「近頃の若者は・・」なんて聞くが、わしは悪かないと思う。はるか昔に書かれていた壁画の文字を解読したら、「近頃の若者は・・」と書かれていたそうだ。
何時の時代も、どこの世界でも、年をとるという事は「わしが若かった頃は・・」と説教くさくなることらしい。


ゆりかごに戻り食事を取り熱いコーヒーを飲み、また絵を描き始めた。
町に戻っている間に通り雨があったらしく七色の虹が輝いている。遠くて見えない人々の表情も輝いているに違いない。
う〜ん悪かない。

乳母車を押した若い母親がやってきた。
「おじいちゃんは本当にここが好きなのね」
赤ん坊が泣いている。若い母親は赤ん坊にミルクを与えたあとあやして寝かせつけて家に帰って行った。

赤ん坊はやがて育ち、いろんな事を学び、そしてふとこう思うだろう。

「なんて素晴らしい世界なんだ」


絵の続きを描いていると、学校から帰ってきた悪ガキどもがトランペットのおねだりをしてきた。
「家のいつものところにトランペットが置いてあるから、ばぁさんか、うちの娘にひとこと言って、気をつけて持ってきなさい。あぁそれから、赤ん坊が寝てるかもしれないから静かにな。」

悪ガキどもは我先にと、駆けて行った。

悪ガキどもが大きくなってこう言ってくるかもしれない。
「じぃさん”素晴らしい世界”ってどういう意味なんだい?」
「世界中で起こっている戦争も素晴らしいのかい?」
「飢餓や汚染のどこが素晴らしいだい?」

わしはこう答えるだろう
「わしの言うことをきいてみないか?」
「わしが言いたいことはね、“世界は素晴らしくなる“そう思って行動すれば世界はそんなに悪かないと思えるんだ」
「愛だよ、愛。それが秘訣だよ」
「もっともっと、みんな愛し合えば問題も減るし、世界はとびきり良い所になるんだ」
「それが、このわしがずっと言ってる事なんだ」


家に帰れば、長い間すれ違いになっていた幼馴染の妻と娘と孫がいる。

家族と過ごす光溢れる日と、聖なる夜。
そしてふと思う「なんて素晴らしい世界なんだ」

わしは絵を一枚描き上げた。
最近のわしの絵には必ず妻と娘と孫が描かれている。


う〜ん悪かない。


http://www.mmjp.or.jp/sannomiya/wonder.html



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