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歌詞から妄想コミュの福山雅治/GOOD NIGHT

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今夜は...おやすみ



僕が親友の信二に真紀さんを奪われた事を知ったあとも、僕はほとんどかわらず過ごしていた。

そもそも彼女を好きでいたわけじゃないし、彼女の方も僕を好きじゃなかった。
僕は女性が欲しかったし、彼女はそばに誰かがいて欲しかった。
それだけの関係だった。

僕は彼女の不憫さと肉体を愛しいと思っていたので、彼女を失ったことより、愛しい温もりを失った事が残念だった。

ただ彼女に裏切られ、ますます自分に自信が無くなり、ますます女性不信になった。


僕は本を読んでいる時間が一番落ち着く。
僕は気に入った作家の本を何度も繰り返し読むタイプだ。その作家が大学の文学部で講師を務めている事を知り、僕は大学受験をした。

僕は自信が無く全ての事を諦めて生きていたけど、目標のある生活を送る事で僕は少し変わった気がする。僕は奇跡的にその講義のある大学の二部に合格した。

学校の後そのまま通える事と、時給が良い事、二つの都合から、ファーストフードの深夜のバイトをするようになった。

大学はとても面白かった。世間では「大学は遊ぶところ」「社会に出るまでの時間稼ぎ」なんて言われているけど大違いだった。僕にとっての大学は「新たな自分に出会える場所」あらゆる講師が、あらゆる作品が、あらゆる価値観や、あらゆる事実を僕に味あわせてくれる。

大学やバイト先で以前よりは社交的になってきた。相変わらず自信がないけど、人間関係が上手くいかなかったとしても、いざとなったら僕には本があるって思うと気が楽になった。


バイトに新人が入ってきた。新人と言ってもすごい経歴の人だ。
品川幸子36歳 一流女子大卒 一流商社入社・・・
チラッと覗いた置きっぱなしの履歴書に書いてあった。

そんな人でもバイトするようになるんだから人生ってわからない。
ましてや、僕なんか・・・

品川さんは頭の良さを発揮するように、研修をあっという間に終えて、初日のバイトを迎えた。

品川さんはドライブスルーのオーダーをテキパキこなした。今のが初めてのお客とは思えないような対応だった。

何も失敗していないのに品川さんはうずくまり泣いていた。
僕が声をかけて振り返った品川さんは涙を流しながら微笑んでいた。
僕が今まで読んだどの本よりも心に響く笑顔だった。


大学が夏休みに入った頃、品川さんからプールに誘われた。昼シフト夜シフトの交流企画らしい。

講義の課題ではない自分が元々好きな本を、たまには太陽の下で読むのもいいかなと思い参加する事にした。

プールには、初めて見る昼シフトの子達がいた。そして品川さんはお子さん二人連れてきていた。後から旦那さんらしき人が現れたが、子供たちの接し方、呼び方から旦那さんでは無い事が分かった。でも本当の親子のように親しくしていた。


僕がビーチチェアで本を読んでいると、となりから何か聞かれた。

「福山さんはプールに入らないんですか?」

「僕いつもはこの時間寝てるから、プール入ったらそのまま寝ちゃいそうで・・・大学も夏休み入ったし、なかなか読めなかった本を日光浴しながら読むのもいいかなぁって、えっと・・・」

そういえば、僕の名前を知ってたけど、僕はこの子を見かけた事あるくらいで名前は知らないなぁって思った。

「めぐみです」

「めぐみちゃんは何で泳がないの?」

「私は友達みたいに、積極的に輪に入っていけなくて・・それにアレだけ混んでると誰かにどこ触られるか分からないし・・・」

そのとき読んでいた本のせいか、珍しく浴びた太陽のせいか、彼女がとてもかわいかったせいか分からないけど、僕は柄にも無くこんな風に誘ってみた。

「それならお兄さんがめぐみちゃんのナイトになって守ってあげるから一緒に入ろう!」

「でも、本読んでるのに悪いですよ。それに眠くて溺れちゃうんじゃ?」

「こんなとこ来て本読んでるのはやっぱりもったいないし、君みたいなかわいい子と話してたら、目が覚めたから平気だよ」

彼女ははにかみながら「お願いします」って答えた。



プールの後、僕らは本を貸し借りするようになっていた。彼女は僕を慕っているようで、僕としても妹が出来たみたいで嬉しかった。

僕は夏休みに教習所に通い始め、秋に免許を取った。本で読んで想い入れ深い場所を自分で回って見たくなったからだ。

親戚から格安で譲ってもらった中古のカローラワゴンで運転する事に少しは慣れた頃、彼女とドライブに行く事になった。

道がすいている夜に運転の練習がてら、彼女に本を貸しに行ったらそのまま彼女が助手席に乗り込んできたのだ。

「まだ免許取立てで、上手くないから危ないよ」って注意したけど

「福山さんの助手席1号になりたいからいい!」って降りる気が無い様子。

僕は諦めて車を発進させた。慣れてきた練習コースを走ったんだけど、人を乗せる緊張に耐えられず途中の公園で休憩する事にした。

緊張していたからなのか、いつもより僕はおしゃべりになって、コメディアンの真似をしたら彼女がジュースをこぼすほど笑った。

僕はこういうのっていいなぁって感じた。僕は真紀さんに裏切られてますます女性不信になり、ますます自信をなくしたけど、妹のような彼女なら楽しく過ごせる。僕にはこういう子が合っているんだろうなぁ

それからは運転の練習に彼女が付き合ってくれるようになった。いつものコースにいつもの公園。

運転がスムースになってきた頃、ステップアップということで、いつものコースから外れ、映画を見に行った。

帰りにまたいつもの公園に寄って缶コーヒーを飲んだ。季節は秋から冬になろうとしている。出逢った頃はTシャツ姿だったのに、今、彼女はパーカー姿でも寒そうにしている。

ときおり夜風で黒いパーカーのフードが揺れている。手が届くくらいの距離なのに、僕には彼女が遠い。


帰りの道クルマの助手席で窓の外見てる彼女に伝えたい事が沢山ある。

「君を大切に思えば思うほどしてあげたい事ばかり増える。僕を分かってもらえるように、僕の好きな場所へ連れて行きたい。まだ知らないことばかりだから、少しづづでも二人が近づいていけるように君の事話して欲しい。ただ君だけを僕は求めている」

でも相変わらず僕は臆病で、伝えられないまま信号はまた青に変わる。

ただあてもなく、ただ静けさが広がる。ただわけもなくただ時間だけ過ぎてく。

今夜もまだ君の事独り占めできずに

あの角をハンドル切れば・・・・

今夜は...おやすみ



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品川 幸子 36歳 AM1:47
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