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ピエール・モケの一生コミュのピエール・モケの脱獄

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第一次合同調査により、刑務所から脱獄した直後のピエール・モケの行動が明らかになりました。
ただし、資料がきわめて断簡的なものなので、真偽については、検証の余地があると思われます。
(調査員 こばん・彗星丈二)

コメント(10)

ピエールの人生はかなり泣けるよ。
 ピエールは貧しい生まれでね、18歳のとき、ひもじさのあまり、つい林檎を一個盗んでしまうだ。
 そのせいで刑務所入りさ。
 ところがこの刑務所をピエールは脱走する。
 逃げ込んだ先の教会で、当面の逃走資金を得るために銀の食器を…… (こばん)
銀の食器を…… 盗みかけた時に、神父さんが現われ、
「あなたが欲しかったのは、金の食器か、銀の食器か」
と聞かれる。
 ピエールは思わず……(彗星丈二)
……銀の食器か」と聞かれる。
 ピエールは思わず、答える。
 「金の食器も、銀の食器も……」
 一瞬流れる沈黙。
 「……ぴかぴかに磨いて見せます!」
 ピエールを見つめる神父。
 「そう、この黄金の腕でね。」
 ピエールは自らの右腕を見下ろす。
 そう、彼こそは、「起重機」の呼ばれるほどの豪腕「アーム・ジョー」だったのだ。
 ピエールの正直さに打たれた神父は……(こばん)
 ピエールの正直さに打たれた神父は……、羊皮紙の包みを召使いにもってこさせた。
「これを元手に商売でも始めなさい」
 開けてみると、黄金色に輝く虫。
 神父に代わって、召使いのジュピターが説明する。
「ひっひ。旦那、この虫は本物の黄金でできているんでげすよ。昔、こいつを売った男が目黒で餅屋をはじめたところ、たいそう繁盛したそうな。江戸名物『黄金餅』由来の一席でございます」
 ピエールは感動した。
 金の食器500ドル、銀の食器300ドル、神父様の寛容な心……priceless。
 だが、教会を出たピエールの背中をじっと見つめる影があった。吸血鬼ハンター界の古老、番場泰二(63)である。
 番場は、銀の弾丸を銃に込め、無情にもピエールの黄金の腕に狙いを定めた。
 次の瞬間……(彗星丈二)
 次の瞬間、線条により猛烈なジャイロ回転の加わった銀の弾丸が銃身を灼熱の世界に変えながら射出された。
 そのときピエールの右腕、上腕二頭筋の奥深くに内蔵されたエンハンスト・サーモセンサーが鋭く反応する。
 400度の熱を帯びた物体が自分に向かって時速240kmで向かってくる。
 ピエールは、刹那、右手首を軽くスナップした。
 手首の裏側にビルト・インされているバナジウム製のナノ・ワイヤー繊維でできた「袋」は音も無く爆発的に膨らむと、ピエールの体を一瞬にして包み込んだ。
 その瞬間。
 ピエールの体は跡形も無く消えた。
 ナノ・ステルス・バリア。
 噂には聞いていたものの、さしもの番場も実物を目にするのは初めてだった。
 NSAのR&D部門で密かに研究が続けられていることは知っていたが、番場は未だ開発段階だと思っていたのだ。
 手ごわい。
 番場は一転身を翻すと……(こばん)
 番場は一転身を翻すと、真言の印字を結び、呪文を唱える。
「オンキリキリ、オンキリソワカ、南無観世音菩薩、テケレッツノパッ!」
 山が動いた。
 いや、薮に潜んでいた、木製十一面観音ロボット「イーオス10D」(長野県・信衆院蔵)が起動したのだ。ロボットの後光によって、あたりが金色に輝いた。
 光も赤外線も温度も音波も惑わすナノ・ステルス・バリアとはいえ、イーオス10Dのデジタル心眼には適わない。
 山肌を滑り下りるピエールの姿が、ハイパー・イメージ・センサーにとらえられた。
 十一面観音ロボットの体側から生じた1000本の腕が、ピエールの体をむんずとつかまえる。
「勝負あったな」
 番場が、再び銃の狙いを定める。
 ああ、彼はまだ気づいていないのです。ピエールが吸血鬼でないことに!
 猿に間違えられた老女のごとく、ピエールの命はもはや風前の灯と思われたが…… (彗星丈二)
 ……ピエールの命はもはや風前の灯と思われたが、まさにそのときのことだ。
 番場の背後、モンテ・ノワール山の美しい緑の斜面が轟音と共に砕け散り、超巨大ロボが出現した。
 コクピットを占めている男こそまさしく件の神父その人であった。
 一瞬虚を衝かれ、バランスを崩した番場に向かって神父は、フランス語でこう叫んだ。
 「ええい、やめなされ、やめなされ。今すぐその邪教の怪物の手をその御仁から離さぬと、この『祝福されしプチ・キリシタン5号』の44インチ・クオーク砲(分離型)が火を噴きますぞ!」
 この神父こそは何を隠そうバチカンの誇る秘密軍隊・ローゼンクロイツ軍のエンマヌエル・ドラール少佐、通称「聞き分けのないドラール」だった。
 「聞き分けのないドラール」は、刑務所内で密かに改造手術を施され、人間兵器「アーム・ジョー」となったピエール・モケをローゼン軍にリクルートすべく虎視眈々と狙っていたのだった。
 アジアの国家程度ならば一国をまるごと買えるほどの値段のついたスーパー・ウェポン、コード・ネーム「ピエールのドロワット」の前に、金食器も銀食器も、そしてあのPricelessな優しさも、すべてはうわべだけの虚飾に過ぎなかった。
 「ピエールのドロワット」は円換算でおよそ3440億円(税別)。
 このスーパー兵器の「脱獄」の噂を聞きつけた各国秘密機関が一斉に動き出したのも無理からぬことであった。
 一人、熟睡中にナカムラ式無痛手術を施されたピエールだけが、自らの価値を知らなかった。
 「ううむ、思わぬところで邪魔が入ったな。」
 そうつぶやくと番場は、イーオス10Dに新たなオーダーを下した……(こばん)
 イーオス10Dに新たなオーダーを下した。
 すると、「聞き分けのないドラール」の虚をつくように、イーオス10Dの11の顔が、いっせいに歌いだした。
 憤怒面「ホヨト〜、ホヨト〜」
 菩薩面「エ〜デルワイス!」
 大笑面「オオ〜、フローイデー」
 11面の顔の持ち歌は、それぞれに異なる。
 この阿鼻叫喚の地獄図絵にも似た、でたらめな合唱こそ、タンホイザー神智学教会ニュルンベルク支部に伝わる、天変地異を巻き起こす秘法「シュトゥルム・ウント・ドランク」であった。通常、シベリウス修道会(本部はポツダムにあるといわれる)の修道士11人で行う秘法を、十一面観音の利点をいかして、一体でやってしまっているのだ。
 一天にわかにかき曇り、強風が吹き始めた。
 ドラールは狼狽した。「な、なぜ、日本人がその術を知っている」
 番場は不敵に笑う。「昨年、日独伊三国秘術同盟(ただしイタリアは早くに脱落)が締結されたのを忘れたか」
 だが、この秘法の弱点は、疾風怒濤が巻き起こるまでに時間がかかることだ。
 番場が竜巻に乗じて逃げようというのか、それともピエールごと吹き飛ばそうとしているのかは不明だ。強風が最大級のトルネードに成長する前に阻止せねばならない。
 次の瞬間、『祝福されしプチ・キリシタン5号』の44インチ・クオーク砲(分離型)が轟然と火を噴いた。
 ほぼ同時にシュトゥルム・ウント・ドランクのスケールはF5級、通称「神の指」クラスに達していた。
 まさに、なにものをも通す矛と、なにものをも通さぬ盾が、ぶつかりあったようなもの。
 隕石の落下か小型核爆弾の投下にも似た、衝撃と大激震が周囲10km四方に走った。モンテ・ノワール山がひっくり返った。
 ……その後の彼らの行方は誰も知らない。
 ただ、十一面観音ロボット「イーオス10D」は、3か月後北極海沿岸で発見され、移動性エスキモー・バヌカル族の氏神としてまつられたと言われる。
 そしてピエールは、あろうことか丹波国(現在の京都府の一部)の大江の里にまで飛ばされたのであった。
「あんたあ! 天狗様が降ってきただよ」
 お富は、苫屋と呼ぶにふさわしいに自宅に駆け込んだ……

 以上が、「ピエール・モケの一生」第1巻第1部第1章「モケ現わる」の慷概である。(彗星丈二)
 このとき、モケは既に日本に(密)入国していたのか。
 「丹波国」という記述が気になる。
 モケは、時空を超えられる存在か?
 いや、日本が道州制の導入のさい、勢い余って旧国名を復活させたのかもしれない。今も信州県を主張している県もあるし。
 (書き手の過ちの可能性を、真っ先に考えないところは、やや盗人猛々しい感じもするが)

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