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14歳以上は信じるな!コミュの残酷な天使のテーゼと14歳についての黙示録的解明

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 一九四七年に発見された「死海文書」に基づいて人類補完計画を目論むゼーレ(魂)の老人たち(老賢者)の陰謀に操られる三人の十四歳の少年少女たちを主人公にした物語『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌「残酷な天使のテーゼ」を〈ねむりびと〉を意味する名の及川眠子という作詞家が余り深い考えもなく書いてしまったということはかなり驚くべきことだ。

 というのは、まさにその一九四七年に「残酷劇」の大天使アントナン・アルトーが、黙示録的な人類改造計画を目論むゼーレのシナリオ『神の裁きにケリをつけるために』を書いてしまっているからである。彼がそこで創造しようとしているのは、人造人間エヴァンゲリオンのような神様の陳腐なコピーではなく、神に対して牙を剥く黙示録の獣666の背中に生える叛逆天使ルシファーの翼にあたる〈器官なき身体〉と呼ばれるもので、庵野監督のアニメの内容よりもむしろ作詞家の歌詞に歌いこまれている、エヴァンゲリオンに乗らない少年の背中に直接生える、大宇宙を抱くことができる程に巨大で透明な残酷な天使の魔法の翼にあたるものだ。

 『新世紀エヴァンゲリオン』に盛り込まれているカバラのメタファーは、一部の知ったかぶりのエセインテリ批評家たちが単なる虚仮威しの引用の織物呼ばわりすること自体が無知の表明にしかなっていないという程に、かなり正確な研究を踏まえたものである。例えば EVANGELION はカバラのゲマトリアでスペルを数値換算すると222になる。主人公たちの乗るEVAは全部で三体だから、222×3=666になるようにうまくできており、内容によく合致している。

 南極に出現する巨大な光の巨人アダムとその一部を取って作られたエヴァ、そして地中に沈んだ黒い月の中心に呪縛されたリリスの難解な三角関係もカバラをよく理解していなければあれほど正確に表現できるものではない。例えば一部の生半可な知識しかもたない評論家が、リリスを安易に大地母神に同定する陳腐極まりない神話学的解釈をやっているが、カバラ哲学についての驚くべき無知をそこでさらけ出しているに過ぎない。リリスはそういったマザコン的解釈を許すような概念ではないし、実際に『エヴァンゲリオン』でもそういったマザコン思想は痛烈に批判されている。少女綾波レイのかたちで表現されるリリスが母親である訳はない。

 リリスというのは光の巨人アダムとの関連性がアニメでわざと曖昧に表現されている通りに、カバラでは原初の巨人アダム・カドモンと裏腹の関係にある存在で、性別はない。むしろアダム・カドモンとリリスは同じものであり、われわれが失ったエデンの園そのもののメタファーでしかない。強いていうならリリスとは童心の化身であって、むしろ永遠の少女像である不思議の国のアリスのような存在だ。

 『エヴァンゲリオン』の重要なキーワードは「十四歳」だが、「十四歳」をもって子供の純粋な心の終わりと看做したのは『不思議の国のアリス』の著者ルイス・キャロルであることは有名な話である。

 ろくでもない本だが『ソフィーの世界』を書いたゴルデルも、また『エヴァンゲリオン』以上に酒鬼薔薇聖斗事件との黙示録的繋がりを指摘されるべき深遠な形而上メールヒェン『14歳』を描いた楳図かずおも、キャロルの言葉を踏まえて大人と子供の境界年齢を「十四歳」に求めている。

 このルイス・キャロルに深い影響を与えたといわれる幻想作家マクドナルドに『リリス』という素晴らしい作品がある。この作品のラストは僅か十二歳の少女ゾフィーを愛し、彼女の悲劇の夭折の後、自らもその後を追うようにその数年後に運命的な夭折の死を死んだ詩人哲学者ノヴァーリスからの深遠な引用で結ばれている。

「わたしたちの生命は夢ではない。しかしそれはやがて、いやおうもなく、夢とひとつになるだろう」

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