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「花」の物語コミュの「朝顔」の物語

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花言葉は、はかない恋・わたしはあなたに結びつく・固い約束など。東雲草・牽牛花などの別名も持つ。

コメント(8)

■『伊勢物語』 第三十七段

むかし、男、色好みなりける女にあへりけり。うしろめたくや思ひけむ、

 われならで下紐解くなあさがほの夕影待たぬ花にはありとも

返し、

 ふたりしてむすびし紐をひとりしてあひ見るまでは解かじとぞ思ふ

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色好みの女を、夕日を待たないうつろいやすい花(朝顔)にたとえた最初の歌に対して、女はあなたに会うまでは紐を解きません、と答えています。

昼にはしぼんでしまうといううつろいやすさと、蕾がほどけていくように花を咲かせる咲き方。その二つの朝顔の性質が歌には詠まれているように思います。奈良時代には渡来している朝顔ですが、園芸品種として育てられた歴史はそれほど長くないとか。
■岡本綺堂『半七捕物帳』より「朝顔屋敷」

安政三年の冬のある日、半七は朝から八丁堀の旦那(同心)から呼び出しを受けた。ある旗本の用人から内々の頼みがあるというのだ。その頼みとは、用心の主人の息子が、お茶の水の聖堂で行われる素読吟味に行く途中、行方不明になったので見つけてほしいという。
早速捜査に乗り出した半七だが、旗本の屋敷が近所でも評判の「朝顔屋敷」と呼ばれていることに驚いた。世間の噂によると、昔の主人がなにかの仔細で妾を手打ちにしたときに、彼女が朝顔模様の浴衣を着ていたとかで、そのとき以来、朝顔が何かと祟るのだった。
その他にも幾つか不審な点を発見した半七だが……。

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「わたし」が、かつて岡っ引をつとめた半七老人に話をきくという形をとったこの「半七捕物帳」シリーズの第一作は、1916年から書き始められました。江戸時代を舞台にしたこのシリーズは、「捕物帳」の元祖であり、その影響を受けてさまざまな「捕物帳」が書かれています。光文社時代小説文庫(全六巻)でも読めますし、青空文庫でも読むことができます。
江戸情緒とミステリの面白さをぜひご堪能ください。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000082/files/959_14988.html(『青空文庫』の「朝顔屋敷」のアドレスです。)
■菅浩江『末枯れの花守り』より「第一話 朝顔」角川文庫

夏本番にはまだ早いのに、明日で咲き終わりそうな朝顔。それを見ながら、今日子は最初に朝顔が咲いた日を思い出していた。
絞りの入った赤い花が咲いたことに浮かれたのか、如雨露の中身をベランダから通りへとぶちまけてしまい、外を歩く人を水浸しにしてしまったのだ。しかし、水をかけられた不運な男・小山は、それを気にすることなく明るく笑ってくれた。その日から今日子の固い心も少しずつほどけていったのに……。
どんなに連絡がほしくても、もう彼から電話は来ない。彼を待ち続ける今日子のところに現れたのは、古風な和装をした二人の女たちで……。

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花をテーマにした連作短編集です。それぞれの花の特性を生かした展開や、和装の女たちの衣装などいかにも日本的。
朝顔の花言葉は、「はかない恋・わたしはあなたに結びつく・固い約束」など、その姿、その咲き方に由来するものが多いようです。
■井上靖『しろばんば』新潮文庫他

大正時代の初頭、洪作は五歳のころから両親の元を離れて曾祖父の妾・ぬいのところに預けられていた。そのおぬい婆さんが洪作の母・七重の養母ということにされていたせいもあるが、洪作の妹が生まれ、幼児二人を育てるには人手が足りなかったのだった。
ところが、本当は短い間のはずのその期間に、洪作がおぬい婆さんになついてしまったため、洪作はそのままおぬい婆さんと暮らし、そこから学校にも通うことになってしまう。
村の人や、同じ村に住む本家の人たち(洪作の母方の家)と折り合いの悪いおぬい婆さんは、洪作に盲目的な愛情を持ち、ときに洪作を喜ばせ、ときに困惑させた。

洪作の幼いころから、中学校に上がる直前までを描いた、作者の自伝的な作品。

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あき子という転校してきた少女の家に、洪作が朝顔を届けるシーンがあるように、時折季節の花々も描かれます。ただ、それよりも印象深いのは人々の描かれ方。洪作の成長と共に、彼を取り囲む人々への見方も変化していくのです。
大きな事件は起こりませんが、自分の子ども時代を懐かしむような気持ちで読むことができます。
■伊藤たかみ『フラミンゴの家』文藝春秋

元妻が入院したため、長年会っていなかった娘と暮らすことになった正人。
自分のことを「片瀬さん」としか呼ばない娘への対応に苦慮しながらも、何とかやっていこうとするのだが……。

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花を見て人を思い出すということもあるかもしれません。
■今市子「とぎれた蔓」(『百鬼夜行抄 11』収録)朝日ソノラマ

友だちとの待ち合わせで外出していた坂下は、苦手に思っている粧子(叔父の妻)にばったり会ってしまう。来週のキャンプに絶対に来てよとしつこく誘われてやっと断ったのだが、自分の家でも粧子の悪口を聞かされる。彼女は一族の中のちょっとしたトラブルメーカーらしい。

そんな時に、大学で隣に座った飯島律に話しかけられ、彼の忘れ物の本を読んでいるうちに、本の中と同じように不思議なことが起こり出して……。

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「書きかけの物語はどこへ行く?」
そういうテーマのお話です。
■わかつきめぐみ「Telephone Call」(『黄昏時鼎談』収録)白泉社文庫

朝顔の花に向かって告白すると、茎をアンテナにして好きな人の所に思いが届く……。
園芸部の友人にそう教えられてから、ひなこはこっそりと朝顔にささやきかけるのだった。

しかし、期待と裏腹にあこがれている先輩の目の前で、後輩の男の子に「ぼくおねーさん(ひなこのこと)好きだもん」と言われてしまい……。

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朝顔の形から考えても思いを伝えてくれると考えたのはおかしくはないかもしれません。
コード(茎)もついていますし。
■三浦しをん「遺言」(『天国旅行』収録)新潮社

五十八回目ぐらいの「やっぱりあのとき死んでおけばよかったんですよ」を妻に聞かされて、私はいい加減うんざりしていた。
「あのとき」がいつを指すのかもはっきりとは分からないが、それを質問するわけにもいかない。嘆き節が続きそうだからだ。

だから、私は「あのとき」がいつのことなのかを私なりに推測し、パソコンの前でこの文章を書いているのだが……。

「気づいていないようですが、あなたの帰宅が遅かった日の翌朝には、必ず玄関先に朝顔の花が一輪落ちています」(p.60)

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「心中」をテーマにした短編集の中の一編です。

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