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「花」の物語コミュの「ヒヤシンス」の物語

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■フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』岩波少年文庫

ピーターがはしかにかかってしまったため、夏休みをアランおじさんのところで過ごすことになったトムは、退屈な日々を送るはめになるだろうとうんざりしていた。
はしかがうつっているかもしれないので、外に出ることもできないのだ。

アランおじさんとグウェンおばさんの家は大きな邸宅の一部で、庭がないこともトムをがっかりさせた。

しかし、真夜中に古い大時計が十三回うったとき、トムは現実には存在しない不思議な庭園へと迷い込む。そこで、ハティという女の子と友だちになり……。


「ぼくはうしろにそりかえった花びらをたしかに見たし、そのにおいまでもかいだのだ。あのヒヤシンスの花は、ゆうべはたしかにあったし、いまだってきっとある。」(p.52)

+ + +

庭の描写がとても素敵です。
■ブルフィンチ「アポロンとヒュアキントス」(『ギリシア・ローマ神話』収録)岩波文庫

アポロンはヒュアキントスという少年を可愛がっており、野外の遊びには必ず連れて行っていた。ある日、二人が鉄の輪投げをして遊んでいるとき、アポロンが投げた輪を追いかけたヒュアキントスの額に、地面から跳ね上がった輪がぶつかってしまう。
ヒュアキントスは血を流し、血が流れた地面から美しい色をした花が生えてきた。その紫色の花がヒュアキントス(ヒヤシンス)の名を留めて、春に咲くという。

また、ヒュアキントスを愛していたゼピュロス(西風の神)が、鉄の輪がヒュアキントスに当たるような風向きに吹いたとも言われている。

その他にも、アイアスの血の侵み込んだところからヒュアキントスが咲いたという話も。

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この話のヒヤシンスは、アイリスやラークスパー、パンジーなどのことだろうと書いてありますが、どちらにせよ、百合に似ていないような気がします(百合によく似た花で、銀色ではないところだけ違うそうです)。

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