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「花」の物語コミュの「梅」の物語

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春を告げる花。花の魁。
開花時期は1月下旬頃から。
馥郁たる香りを持つ。

コメント(9)

■あさのあつこ『バッテリー』角川文庫他

三月の終わり、父親の転勤で広島と岡山の県境にある新田市に引っ越すことになった原田巧は、家族と一緒に祖父の家へと向かっていた。これから、そこで暮らすことになるのだ。さらに、ピッチャーとしての自分に自信を持っている巧にとっても、かつて高校野球の監督として有名だった祖父に会えるのは意味があるはずだった。
祖父の家に到着して最初に巧たちを出迎えたのは、甘い香り。紅梅が咲いている。祖父との話の後で、ランニングに出かけた巧は釣り道具を持った少年たちに出会う。その中のひとりが、キャッチャーをしている永倉豪という少年だった……。
映画化もされた話題作。

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シリーズ一作目『バッテリー』の最初のほうに紅梅は出てきます。「色」と「匂い」から主人公の巧は、昔この樹の下に立っていたことを思い出す。香りのある花だからこその描写です。
■出典不明

峰玄知といふ者あり。ある日郊外へ出てて梅圃の花さかりなるを見、梅樹の主を問ひて樹を買はんとす。あへてがへんぜざるに、高価を以てしひて望みければ、やむことなく約す。
翌日魚酒を持ちて樹下にきたり慰む。主いはく、「根の損ぜざるように掘りうがち、明日持ち参るべし。」と言ふ。玄知の言ふ、「いなさやうにあらず。いつまでもここに置くべし。」「さあらば、実熟せばいかがすべき。」と問ふ。「実は用なし。ただ花のみ望むところなり。わが物にして見ざればおもしろからず。」とぞ。


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『近世畸人伝』に同じような話を見かけましたが、その他の情報は不明です。
自分のものとしなくても、花は楽しめると私などは思ってしまいますけれど。
■『徒然草』第百三十九段

家にありたき木は、松、桜。松は五葉もよし。花は一重なるよし。八重桜は奈良の都にのみありけるを、この頃ぞ世に多く成り侍るなり。吉野の花、左近の桜、皆一重にてこそあれ。八重桜は異様のものなり。いとこちたく、ねぢけたり。植ゑずともありなむ。遅桜またすさまじ。虫の附きたるもむつかし。梅は、白き、薄紅梅。一重なるが疾く咲きたるも、重なりたる紅梅の、匂ひめでたきも、皆おかし。遅き梅は、桜に咲き合ひて、覚え劣り、気圧されて、枝に萎みつきたる、心うし。「一重なるがまづ咲きて散りたるは、心疾く、をかし」とて、京極入道中納言は、なほ一重梅をなむ軒近く植ゑられたりける。京極の屋の南向きに、今も二本侍るめり。柳またをかし。卯月ばかりの若楓、すべて万の花紅葉にもまさりてめでたきものなり。橘、桂、いづれも、木はもの古り、大きなる、よし。

草は、山吹、藤、杜若、撫子。池には、蓮。秋の草は、荻、薄、桔梗、萩、女郎花、藤袴、紫苑、吾木香、刈萱、竜胆、菊、黄菊も、蔦、葛、朝顔、いづれもいと高からず、ささやかなる垣に繁からぬよし。この外の世に稀なるもの、唐めきたる名の聞きにくく、花も見慣れぬなど、いとなつかしからず。

大方何も珍らしくありがたき物は、よからぬ人のもて興ずる物なり。さやうのものなくてありなむ。

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こんなにたくさんの植物が庭にあったら、楽しいけれど大変でしょうね。
■『徒然草』第六十六段

岡本関白殿、盛りなる紅梅の枝に、鳥一双をそへて、この枝に付けて参らすべきよし、御鷹飼下毛野武勝に仰せられたりけるに、「花に鳥付くる術知り候はず。一枝に二つ付くる事も存じ候はず」と申しければ、膳部にたづねられ、人々に問はせ給ひて、また武勝に、「さらば汝が思はむやうに付けて参らせよ」と仰せられたりければ、花もなき梅の枝に、一つを付けてまゐらせけり。

武勝が申し侍りしは、「柴の枝、梅の枝、つぼみたると散りたるとに付く。五葉などにも付く。枝の長さ七尺、或は六尺、返し刀五分に切る。枝のなかばに鳥を付く。付くる枝踏まする枝あり。しゞら藤の割らぬにて二所付くべし。藤の先は、ひうち羽のたけに比べて切りて、牛の角のやうに撓むべし。初雪の朝、枝を肩にかけて、中門より振舞ひてまゐる。大砌の石を伝ひて、雪に跡をつけず、あまおほひの毛を少しかなぐり散らして、二棟の御所の高欄に寄せ掛く。禄を出ださるれば、肩に掛けて拝して退く。初雪といへども、沓のはなの隠れぬほどの雪にはまゐらず。あまおほひの毛を散らすことは、鷹はよわ腰を取ることなれば、御鷹の取りたるよしなるべし。」と申しき。

花に鳥付けずとは、いかなる故にかありけむ。長月ばかりに、梅の作り枝に雉を付けて、「君がためにと折る花は時しも分かぬ」と言へること、伊勢物語に見えたり。造り花は苦しからぬにや。

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花に鳥を二匹つけて持って来いと命令された下毛野武勝が、そんなやり方は知りませんと言ったのですが、結局好きなようにつけろと命じられて、梅の枝に鳥をつけるお話のようです。
文化的背景を知らないので、はっきり言ってよく分からないお話でした。
■今市子「昼の月」(『百鬼夜行抄1』収録)朝日ソノラマ

本家の宗一郎に嫁いできた花嫁は、両親が事故死したため喪中。花婿は不在のため代理人が務めるという変わった結婚式になった。
本家に世話になっている耕造は式に出ることもなく、傍にまとわりつくチャコと一緒にそれを遠くから見守った。花嫁は事故で両親をなくし、ショックで目が見えなくなったという。

庭で花嫁とぶつかり名前を聞かれるたチャコは「比佐子」と答えるが、しだいに違和感が強くなり……。

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場面が大きく転換するところに梅の花がうまく使われています。雪と見紛うというのもいかにもといった感じですね。
■わかつきめぐみ『ソコツネ・ポルカ』白泉社

掃除当番を押し付けられた紀名は、外の掃き掃除中、たまたま地面にあった穴に落ちてしまう。そこには不思議な世界が広がっていた。

そこの主らしい土地神さまと呼ばれる口の悪い男に、目付け役をやれと命令される紀名。彼女が穴に落ちたときに、目付け役を下にしいてしまったのだ。

バケモノたちが悪さをするのを注意するのが役目と紀名は教えられるのだが……。

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おはぎがたくさん出てきます。和のお話がてんてこ盛りで楽しめますよ。
■『更級日記』より

継母なりし人は、宮づかへせしがくだりしなれば、思ひしにあらぬ事どもなどありて、世の中うらめしげにて、ほかにわたるとて、五つばかりなるちごなどもなどして、
「あはれなりつる心のほどなむ、忘れむ世あるまじき」
などいひて、梅の木の、つま近くていと大きなるを、
「これが花の咲かむをりは、来むよ」
と、言ひおきてわたりぬるを、心のうちに恋しくあはれなりと思ひつつ、しのびねをのみ泣きて、その年もかへりぬ。いつしか梅咲かなむ、来むとありしを、さやあると、目をかけて待ちわたるに、花もみな咲きぬれど音もせず。思ひわびて、花を折りてやる。

   頼めしを なほや待つべき 霜枯れし
      梅をも春は 忘れざりけり

と言ひやりたれば、あはれなる事ども書きて、

   なほ頼め 梅の立枝は 契りおかぬ
      思ひのほかの 人もとふなり

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梅が咲く頃には会いに来ると約束した継母がいつまでも来ないので、作者は歌を送ります。その返事には……。
■八木重吉「梅」

眼がさめたように
梅にも梅自身の気持がわかつて来て
そう思つてゐるうちに花が咲いたのだらう
そして
寒い朝霜がでるように
梅自からの気持がそのまま香にもなるのだらう

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梅の花もそろそろ満開です。
■孟浩然「洛中訪袁拾遺不遇」

洛陽訪才子
江嶺作流人
聞説梅花早
何如此地春

「洛中に袁拾遺を訪ねしも遇わず」

洛陽に才子を訪えば
江嶺に流人と作れり
聞くならく梅花早しと
此の地の春と何如ぞ

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松下緑『漢詩に遊ぶ』参照。

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