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MAYDAY メーデー!ナショジオコミュのTERROR OVER MICHIGAN TWA841便 錐揉み降下事故

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1979年4月4日、米NY州JFK空港からMN州Mineapolis空港へ向かっていたTWA841便(B-727型機)は、Michigan州Saginaw上空で強い向かい風を受けていたので、FL390へ上昇していた。21:47頃、Harvey Gibon機長、Scott Kennedy副操縦士、Gary Banks航空機関士は突然240ktで機体がbuffetingし、機体が右へ20°余り傾く異常姿勢に遭遇した。Gibson機長はthrottleをidleへ戻し、Kennedy副操縦士へspeedブレーキを引くよう命じた。すると機首は下がって機体は錐揉み降下を始めた。540Ft/秒で急降下したため、機速は390ktに達して、計器がぶれて見えなくなった。機長はgear downを指示したところ、機体降下は減速し、rollingも停止して、機体の立て直しに成功した。しかし今度は機首が30°にも上がり、前方に月が見える異常姿勢となったため、今度は機速が160ktまで減速した。FL110で機体は水平飛行に復帰し、機長はコントロール可能となったと乗客へアナウンスした。Banks航空機関士が滑油がなくなっていることに気付き、機長は60NM離れたDetroit空港へdivertすることを決めた。ATCに160°で飛んでradar vectorして貰いながら、機長は試しにflapを展開してみたところ、機体が左へ傾いた。直ぐにflapを元へ戻して、同機は通常より90ktも早い220ktでDetroit空港へ着陸を試みた。滑走中に右翼端が接地したが態勢を立て直し、逆噴射装置を使って無事に停止させることに成功した。
NTSBは事故機のFDRとCVRを回収し、実地検分を行ったところ、右翼の7番srutが脱落し、アクチュエータが破断していた。flapは20°まで問題なく展開できることを確認した。脱落した7番strutはSaganawの北7マイルに落下していたのを発見回収した。破断していたTボルトを解析へ回したところ、金属疲労を起こしていた。CVRは異常が発生した肝心な部分が消去されていた。これは地上で停止中にしか行いない操作と判明した。
当時TWA社の一部の操縦士たちは燃料や時間の節約目的で、巡航中にsrutやflapを上空で展開する未承認の操作を行うことが横行していた。flapを2°展開し、circuit brakerを切ってsrutは展開しないようにして操作する。CVRの解析では当時の録音が消去されていたが、客室チーフのMark Moscickiは異常姿勢に入る直前にBanks航空機関士がトイレ休憩でギャレーに出てきて、自分の食事を用意していたを証言した。この経緯から、機長と副操縦士が航空機関士が操縦室を離れた隙に、意図的にこの操作をしていた可能性が浮上した。Gibson機長は連邦議会の公聴会へ召喚され、CVRは日常的にフライト後に消去しており、未承認の操作をした覚えはないと証言した。
FDRの解析では、機速が240ktから440ktへ速まった際に垂直速度がさざ波状に波動するG traceという特異な飛行状態が記録されており、FL390に上昇して30秒後にVSIがガクンと下がって機体の振動が始まったことが確認された。NTSB調査官らは、このG traceの発生を実機で実証するため、flapとsrutを色々な条件で展開して検証を試みた。9番目に計画していたflap2°でsrut2, 3, 6, 7を展開する条件で、FDRに残されていた30秒後に振動が発生する状況を再現できた。「航空機関士がトイレ休憩に席を立った際、機長が速く行こうとして、FE席のsrut用circuit brakerを引き抜き、flap2°でsrut2,3,6,7を展開した。その後何も知らないFEが席に戻り、circuit brakerが飛び出しているのを見て押し込んだため、srut2, 3, 6, 7が展開した。buffetingに対してflapは収納できたが、srut#7だけはTボルトが破断して、大きく展開したままとなった。錐揉み降下でsrut#7に風圧がかかり、幸いにも地上8,000ftで脱落したため、両翼にかかる負荷がほぼ均等となって、機体を立て直すことに成功した。」とNTSB結論付けた。同委員会は高速でのsrutとflapを展開する操作は修正されねばならないと勧告した。

コメント(4)

機体がコンピュータ制御される前に活躍したB-727では、操縦士の経験や技量が大いに試された。この事故でも不正な操縦操作が行われて錐揉み状態に陥った際に、機長による必死の操作で九死に一生を得た。高度39,000Ftまで上昇していたことや、srut#7が8,000Ftで脱落したことは幸運につながった。
着陸前にflapの作動状況を予め確認し、flapを使わずに着陸を試み成功させた点などは、機長の腕前を垣間見ることが出来る。El Al航空1862便墜落事故(HIGH RISE CATASTROPHE)はflapを展開させたことが墜落につなかっている。もっとも、この事故では何が起こったのかも分からない状況だったから、比較するのも酷かも知れないが。
Gibson機長(Michael Dagestino)、Kennedy副操縦士(Austin Strugnell)、は番組内の演出で氏名が明らかにされ、エンディング中に役者のクレジットが出ているが、Banks航空機関士役は明らかにされていない。Gary Banksという氏名も番組内でナレーターに読み上げられたのみである。不正操縦操作に直接加担していないという点で、番組制作上の配慮があったのかも知れない。
Mayday!の番組構成は、事故直前からの飛行状況から再現されるのが通常だが、この番組では事故が発生した晩遅くに、Gibson機長がFAAの職員からホテルの一室で尋問されている場面から始まっている。この異例の演出は、航空行政当局と乗員間の不信が根深ったことを示唆しているのだろう。日本語版WIKIには、本事故調査後に乗員への処分は行われなかったが、機長はBoeing社とNTSBを訴訟に持ち込んだ(判決で原告の訴えは棄却された)と書かれている。番組終わりの解説では、Kennedy副操縦士とBanks航空機関士は、事故後何も語っていないそうだ。
ALPA(航空会社操縦士協会)が同型機の機械的故障が原因であるとの主張をしたが、NTSBは再調査を行わなかったこと。Gibson機長らは事故後10日で復職したが、客室乗務員が同乗拒否して、TWAを早期退職したとある。
第三者には何が真実なのか釈然としないが、この事故からの教訓は、燃料節約や遅延挽回のために安全を疎かにするのは全く愚かであるということだ。その事はGibson機長自身が、2015年に鬼籍に入るまで一生身に染みて実感したことだろう。

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