園田隆二監督ＬＯＶＥ・女子柔道コミュの田知本遥さんと園田隆二巡査部長

父親の勧めで柔道を始める

小学校低学年のとき、友達が習い事を始めて一緒に遊べなく なり、私も親に「何か習い事をしたい」と頼みました。柔道 の経験者である父親は「じゃあ、柔道やるか」と言い、私は よく分からず、「やるっ！」と返事をし、姉（田知本愛選手 ／女子柔道部ＯＧ）と一緒に始めました。 小学生時は週２日１時間ほどの練習で、遊び感覚でしたが、 当初は柔道が大嫌いでした。自分から「やりたい」と言って 始めたのですが、「何か普通の友達の習い事とは違う ぞ！？」と思い、「辞めたい」と父親に伝えました。しか し、「一度始めたものは最後までやれ」と父親に言われ、小 学校を卒業するまで続けることにしました。 その時期、陸上競技も掛け持ちしていて、中学に入学したら 陸上部に入部しようと思っていました。ところが、小学６年 生の春休み、姉が中学で柔道を続けていたので、父親と練習 を見に行ったのです。するとなぜか、もう私も入部するみた いな話になっていて、中学の先生や周りもそういう雰囲気で した。仕方なく入部したのですが、中学の練習はきつく、ま すます嫌になり、いつも泣いてばかりいました。

猛特訓が実ったインターハイでの優勝

中学１年生のとき、今まで勝てなかった２歳上の先輩に初め て勝利し、『全国中学校柔道大会』に出場しました。全国の 強豪を相手に３位となり、嫌で嫌でたまらなかった柔道です が、それからは自分の意思で真剣に取り組むようになりまし た。インターハイでは、高校１・２年生のときにいずれも２ 位だったので、３年生では「今年は優勝するぞ」と意気込ん でいました。しかし、あろうことか『北信越地区大会』で負 けてしまいました。 富山県大会で優勝していたため、インターハイには出場でき るものの、地区大会で敗れたことで、富山に帰ってから父親 や姉らによる私１人のための猛特訓が始まりました。体力的 に凄くきつくて、精神的にも追い詰められた特訓で、たまら ずに逃げ出してしまいました。そんなとき、合宿中の私に父 親から１通のメールが届いたのです。「キツい事をやった が、すべてお前のためであって、父さんは間違えた事をやっ ていない。一度お前をどん底に落としかったんだ」というよ うな内容した。でも、そのきつさがあったからこそ、イン ターハイで優勝できたのだと思います。それからは、「ああ、 あの練習があって良かったな」と思うようになりました。

団体日本一とオリンピック出場を目指して！

今年、東海大学女子柔道部の目標は団体戦の制覇です。６月 の『全日本学生柔道優勝大会』と10月の『全日本学生体重別 団体優勝大会』で優勝し、団体日本一の栄冠を味わってみた いと思います。私は団体戦に３年連続で出場させていただい ていますが、すべて優勝を逃してきました。４年次生の今年 は最後のチャンスですし、優勝すると信じてやるべきことを やるだけです。 個人的には柔道を始めたときから“夢”として抱いてきた、オリ ンピックに出場し、メダルを目指したいです。昨年９月の 『パリ世界選手権大会』で結果が残せず、その段階ではオリ ンピックなんて全然ダメだと思っていました。しかし、僅か な可能性だけは与えてもらっていたので、諦めずに目の前の 試合を１戦１戦やっていこうと思いました。世界選手権の後 も、10月の『グランプリ大会（アブダビ）』に出場させても らい、「絶対優勝するぞ」という強い気持ちで臨み、決勝で 一本勝ちし優勝することができました。さらに、自分の中に 諦めない気持ちを持ち続け、今年２月の 『グランドスラム大 会（パリ）』でも優勝したことで、オリンピック出場に向け チャンスが広がったと思います。

世界ランキング１位のデコス選手に勝利

昨年９月、世界選手権の団体戦で世界ランキング１位のルー シー・デコス選手（フランス）と対戦し、その時は挑戦者と してがむしゃらに戦い『有効』を取られ、敗れました。試合 後、全日本女子の園田隆二監督から「勝てそうだっただ ろ？」と称賛され、「そうなのかな」という気がしてきまし た。 デコス選手との再戦を繰り返す中で、実は少しずつ自分の中 で変化がありました。見ている人には分からないぐらいの小 さな差ですが、自分の隙を無くし、相手の嫌がることを徹底 してやる。それを段々突き詰めて行って出来た形が、２月の 『グランドスラム・パリ大会』決勝での対戦でした。デコス 選手に判定勝ちしたことで、今までの負けが意味のあるもの だったと証明できました。しかし、これからデコス選手は、 少なからず私の柔道を研究してくることでしょう。柔道の総 合的な面をはじめ、技やバランスでも相手が上なので、世界 選手権と同じことをしても勝つのは難しいと思っています。

気分転換は２つの方法で

リフレッシュしたいときは、柔道部のみんなとカラオケに行 き、パーッと発散してはしゃぐこともあれば、１人で電車に 乗ってフラッとどこかに出かけ、ブラブラ歩いて帰ってきた りもします。１人でゆったり過ごす時間も充電にもなり、み んなで騒ぐのも気分転換になります。この２つが自分にとっ て大事です。キャンパス内では、誰もいない空き教室を探し て、１人で音楽を聴いたりするのが好きです。大学の近くで は、レストラン『クック』の照り焼きチキンとバターライス が大好物で、これも気分転換のひとつでしょうか。 私がいろいろな大会に出場するたびに、多くの方に応援して いただき、とても感謝しています。試合中の声援は、何より も励みになります。みなさまに喜んでいただけるような成績 を挙げるため、これからも頑張っていかなければと感じてい ます。

【選手データ】 田知本 遥（たちもと はるか）選手 体育学部武道学科４年次生 身長：167センチ 体重：70キロ 階級：女子70kg級 生年月日：1990年８月３日 出身高校：富山県立小杉高等学校（富山県）

＜競技成績＞ 個人（女子70kg級） 2012年 グランドスラム・パリ大会 優勝 ワールドマスターズ・アルマティ大会 ３位 2011年 グランドスラム東京大会 ３位 講道館杯全日本体重別選手権大会 ３位 グランプリ・アブダビ大会 優勝 アジア選手権大会 準優勝 2010年 グランドスラム東京大会 優勝 講道館杯全日本体重別選手権大会 準優勝 グランプリ・チュニス大会 優勝 全日本女子柔道選抜体重別選手権大会 ３位 東京都女子柔道選手権大会 準優勝 ワールドカップ ソフィア大会 準優勝 2009年 世界ジュニア選手権大会 優勝 全日本学生柔道体重別選手権大会 優勝 東京学生柔道体重別選手権大会 優勝 フランスジュニア国際大会 優勝 全日本選抜柔道体重別選手権大会 ３位

団体 2011年 全日本学生体重別団体優勝大会 ３位 全日本学生柔道優勝大会 ３位 東京学生柔道大会 準優勝 2010年 全日本学生柔道体重別団体優勝大会 ベスト８ 全日本学生柔道優勝大会 準優勝 東京学生柔道優勝大会 準優勝 2009年 全日本学生柔道優勝大会 準優勝 東京学生柔道優勝大会 準優勝

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