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池袋男子BL学園コミュの―SS― 隠す心は涙色

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約束の時間はとっくに過ぎていた。気にしないようにしていても、気が付けば時計にばかり視線を移し、いくらも針は動いていないという状況を繰り返していた。

どこで道草を食っているのやら…。
いや、俺と会うことよりも楽しいことを新しく見付けてしまったのか?
それはどんなことだろう…。もしくは…、どんな相手だろう…。



――ガラガラッ――


ドアを勢い良く開け放ったその人は、廊下からの夕陽に照らされ逆光になっていた。しかし、細身の体の影からはすぐに待っていた相手だと分かった。

「遅い!」

ひたすら待っていたと分かれば格好もつかないので、あたかも平然を装ってノートに向かい合っていた。だが、待っていた相手の影を見た途端、自分でも予期せぬ声が発せられてしまった。


「ごめん、ごめん!」

少し鼻に掛かった高めの声は、本心から謝ったと言うには受け取りにくく、その場を繕っているだけという軽さを帯びていた。

「ドアはちゃんと閉めなさい」
「は〜い」
「ハイは短く」
「んっもう…なにイライラしてるんだよ…」

――ガラガラッ――


「何時に来るって言ってたんだ?」
「いいじゃん、今来たんだからさぁ…」
「じゃぁ、何してて遅くなったのか言ってみなさい?」
「翼に捕まってたんだよ。あいつが相談あるとかなんとかでさぁ…」
「そんな嘘、バレないと思ってるのか?」

思わず声が大きくなりかけ、その場の空気がピンと張ったのが分かった。

「なにイライラしてるんだよ、珪ったらさぁ…」
「『藤堂先生』でしょ?ここは学園なんだから」
「……チッ…」
「一条、今は家じゃないんだ。それくらい考えて発言するように」

滅多に怒らない珪だったが、今日は感情的になってしまう。自分でも押さえきれない苛立ちに、少々戸惑っていた。



「何してたんだよ…人のこと散々待たせておいて」
「だから翼が…」
「先生が何も知らないとでも思ってる?」
「えっ…」
「最近、三咲とやけに仲がいいみたいじゃないか…」
「楓?あぁ、アイツともそりゃ仲は別に…」
「この前うちに来てるとき、…聞いちゃったんだよね…」
「何を?」
「……会話を」




それはついこの前、珪の家に類が遊びに来ていた時だった。



年頃の男と言えばすることは一つしかなく、しかしそれだけをただ受け入れるのはまるで待っていたかのようで、大人の余裕も見せたい珪は時間を弄ぶかのように平然を装い、焦らし続けた。
お互いに我慢の限界ではあったのだが、先に類をシャワーにすすめ、ここでまた少し時間をかせぐ。
充分に焦らした結果、徐に珪はシャワーを浴びに行った。

いざシャワーを浴び始めたのはいいのだが、ボディーソープが切れているのを思いだし、慌ててバスルームの扉を開けると…、そこには楽しげに携帯に向かって話す、類の姿があった。

ボディーソープの事などどうでも良くなり、珪はただただ聞き耳を立てていた。知らなくていいことは知りたくない。でも…自分の知らない類を知ってる誰かがいるのなら…。

複雑に要り組む胸の内を、類の言葉は掻き立てて行った。


「わーかってるって!かえでぇ、俺のこと信用してないでしょ?…大丈夫だってば、バレない!バレない!楓こそうっかりバレたりしないようにしろよ?秘密なんだからな?俺たちの…」


カタカタと手が震えているのは、自分でも直ぐに気が付いた。2年生の三咲楓…。類は彼とどんな秘密事があるのだろう…。





そもそも、少々素行の悪い類が思いがけず珪に近付いてきた。初めは罠だと警戒していた。しかし、気が付けばそんな危なっかしい類に惹かれている自分に気が付いた。
教師と生徒という関係性にも苦しめられた。何故、今出会ったのだろう。何故、学園の中で出会ったのだろう…。何故、何故、何故…。

そうは思いながらも、火の付いた心は簡単に押さえることなど出来るはずもなかった。








「違うって、誤解だよ!」

実験室の中に響く類の声。初めは笑って聞いていたものの、次第に真剣な表情になっていった。

「どう違うって言うんだよ」
「だから…それは先生の勘違いだって!」
「説明を求めてるんだ!」
「それは…」
「それは?」
「…それは…言えない…」

本気になっていたのは自分だけだった。そう思った珪は、何処からともなく笑いが込み上げてきた。

「なんだよ…言えないって。ほーら、やっぱり。そう言う事だった」
「違うよ」
「何が違うの?違わないでしょ?」
「違うって」
「じゃぁ、言ってごらんよ、理由とやらを!言えない理由…つまり、…そう言うコ…ト」
「……」
「別にさぁ、俺も本気だった訳じゃないし。男ってのがどんなもんか…。実験したってだけ。遊びだったから気にしてないよ。若い者同士でこれから先は好きに…」
「いい加減にしろよ!落ち着け!」

張り上げた類の声は、実験室に響き渡った。

時計の秒針の音だけが時の流れを教えている。ただその間も、無意識に瞳から流れ落ちる熱い液体は、止めどなく珪の頬を伝っていた。


「お前、俺が楓と浮気でもしてるって思ってたのか?」
「…」
「言えよ!」
「……違うの…?」
「違うってさっきっから言ってんだろ!」
「だったら楓と類の秘密って何なんだよ!」
「それは…」
「どうして…その理由を教えてもらえないのに…疚しくない方に考えられるの…?」
「……」
「俺は類よりもずっと年上で…、本当ならもっと年が近い人の事を好きになるのが当然なのに…、こんなに年の差があって…俺には自信なんか常に無くて…」

急に物静か風に、類は聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。

「……さっき言ったの…、本当…?」
「…えっ…」
「男なんて実験だったって…」

うつ向きながらボソボソと話す様は、演技のようにはまるで見えず、珪は我に返った。

「ねぇ、嘘でしょ?本気じゃないって、嘘でしょ!?」
「…本気だって言ったら…類は…」
「俺は本気だよ!!誰に何て言われたって、お前がどう思ってたって、俺は本気だ!本気で珪を愛してる!」
「…類…」


初めて見るような真剣な表情に、珪はただただ言葉を発することも出来ずに立ち尽くしていた。
そんな珪をギュッと力のままに抱き締めると、今まで経験したことの無いような勢いで、唇を重ねてきた。
唇を割り入る熱い舌は、珪を根こそぎ求めるように激しく動き、ぬるぬるとした感触を共に産み出していった。時に類の舌は珪の下唇を捕らえ、触れているのか分からぬほどに優しく、撫でるように舐めていく。
吐息に包まれた実験室は絶好の類の遊び場になる。机に珪を押し倒すと、白衣のボタンに手をかけた。

「ダメ!」

今受け入れては負けになる。真相も分からぬままなのに、いとも簡単に快楽に包まれて流されるとは情けない。
珪の思考は教師としてと言うよりも、一人の恋人としての妬きもちだった。

「まだ聞いてない!…三咲楓の話!」

類はしぶしぶと体を起こし、納得のいかない表情で口を開き始めた。

「…チッ…、大失敗だよ…」
「何が…?」
「サプライズだったのに…」

頭を2、3度掻くと、類はさっきまで珪が座っていた椅子に腰掛けた。

「はぁ…。楓がサプライズ計画してたんだよ」
「…」
「『大好きな藤堂先生の誕生日を内緒で祝いたいんです』って」

まさかと思っていた言葉に、耳を疑った。

「あいつ、やたらとお前が好きみたいでさ…、サプライズで誕生日会を開きたいから協力して欲しいって」
「三咲…が…?」
「そうだよ!…毎日毎日電話で『藤堂先生』『藤堂先生』って…。妬きたいのはこっちの方だってんだよ」
「本当に…?」
「嘘言って俺の得になるかよ?こんなに暴れやがって…」
「だって…」
「誤解させたのは悪かったよ。でも、板挟みの俺の気持ちも理解しろよ」

優しく話始めた類は珪の顔を覗き込んだ。

「今夜…わかってんだろうな…?」

そう告げると優しくキスを落とした。

暴れた子供のような珪の姿に、苦笑いをしながら類はため息を付いた。

「これじゃ、どっちが年上かわかりゃしねぇよ」
「ごめん…」
「誤解が解けたんならそれでいい」
「でも…まだ解けてない」
「何が!?」
「だって…今日はなんであんなに遅れて来たのか…教えてもらってないもん…」
「だから、あれは本当に翼が悪いの!」
「藤代?」
「そう!…あいつもサプライズに関わってんだよ。あいつら付き合ってんだから二人でやればいいのに…」
「えぇーっ!?付き合ってるの!?」
「そうだよ?気付かなかった?」
「全然知らなかった…」
「ま、翼は楓にゾッコンだから上手く捕まえててくれるとは思うけどな」
「そうだったんだ…」
「でも!俺だって楓があんまり『藤堂先生』って煩いから要注意してんだよ!」

コツンと優しく珪のおでこをつつくと、珪はクスッと笑った。

「俺…バカみたい」
「ん〜?」
「勝手に誤解して、勝手に騒いで…」
「本当だよ」
「ごめん…」
「でもさ、俺はお前が素直に妬きもち妬いてくれて…嬉しかったよ…」
「本当…?」
「あぁ。今まで余裕ぶってばっかりで、本当に俺のこと好きなのか、イマイチ分からなかった」
「この年で…」
「年なんか関係無い!…俺は、珪だから好きになった。珪じゃなきゃ好きになんかならなかったし、なれなかった」
「類…」
「珪以外の…」

珪は類の首に腕を絡め、自分の気持ちを素直に表そうと唇を近付けていった。

「珪以外のおっさんには興味無い」
「おい!おっさんだとぉ!?」

一気に興醒めした珪は腕をほどき、プイッと顔を背けた。

「ジョーダンだって!」

ヘラヘラと笑う類を前に、珪は顔を背けつつも元の鞘に収まりホッとするのだった…。



「今夜、珪の家に行くから」

耳元で囁いた類は楽しげに、実験室をあとにするのだった。




――END――



ども!もえぞうです(*-∀-)ノ゙
ずっと脳内で押さえていたイケガクショートストーリー。
ついに公開してみることにしました!

何しろ私が管理人になってしまいましたので…
フフフ…(ФωФ)



やっぱり最初は大人の二人、類先輩と藤堂先生で書かせていただきました( 〃▽〃)
初回ですのでライトに…w



どうしてもラストでギャグに走りそうだった所を必死に軌道修正w
少しは楽しめましたでしょうか?


身近な実在人物でのショートストーリーは初挑戦。
なんだかムズガユイ!w

本来(?)R18ものを書くことが多いのですが、
やっぱり身近な人物の絡みをここで書くのは勇気がいりますね!!!
まるで親のHを目撃しちゃった!くらいの衝撃がありますww



あと、実に個人的な趣味でつばかえも友情出演(///ω///)♪
wwwww


次があるかわかりませんが、
あったときには電車やバスの待ち時間、
一人のお昼で寂しいわ…ってな時に読んでいただけましたら幸いです☆

最後までお読みくださり、ありがとうございます♪

コメント(6)

カプは誰なんだ??って思いつつ、
おぉ〜(@゚▽゚@)その二人なのね。ってwktk。

ごちそうさまでした。
美味しくいただきました。
>>[1]

ブログみたいにタイトルに書こうかな…と思いつつ、書かずに焦らしてみたw

まぁ、でもR18は流石に無理だね〜(///ω///)

お粗末さまでした( 〃▽〃)
(*´∀`*)

まさかの類×先生wwwwwwwww
さすがですwww

次は誰起用するのかしらねー(*´∀`*)
楽しみにしてますハート
>>[3]

先生は人間とポッキーしてくれないから、妄想の中でチューしてもらいましたwwww

次は…っていう前にブログを書かねば(*_*)

また書いたら読んでねん♪
きゃあああっっ(///∇///)
しまった、今気付きました…電車の中で。
ニヤニヤしちゃうのでマスクマン!

次も楽しみです♪
あっ、ブログもウキウキいつも楽しみですが無理されない程度に待ってます(^O^)
>>[5]

コメントありがとうございます!
SSをイケガク生で書くとは自分でも思ってませんでしたw
本人達が見てたら青くなるでしょうね(^_^;)

また書いた時には、読んでくださいね!

コメントありがとうございました☆

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