鈴木歯科医院 in 沼袋コミュの歯科用レーザーに関して：臨床編

一つ、レーザーによる歯肉炎の治療につて、臨床写真と共に載せました。
　
　　左：術前　　　　　　中：術中　　　　　　右：術後10日

　　　　　　　　　　　となります。

35歳男性。ブラッシング時の歯肉からの出血を主訴に来院。
視診によると、下顎前歯歯間乳頭部の発赤・腫脹および出血が見られる。
どうやら、歯が重なっているために、歯ブラシしにくくて炎症を起こしてしまい、それが慢性化した模様。
原因療法としては、ブラッシング指導を徹底すること、若しくは歯列矯正でしょうか？
でも、患者さんは歯並びに気になさっていなかったため、ここは炎症を取り除き、ブラッシング指導が妥当と考えました。
PD（歯肉ポケットの深さ）は4mm。少し深いです。

患部にEr:YAGレーザーによる炎症歯肉の蒸散を行いました。（写真中）
出血はほとんど見られず、また、無麻酔下での治療になります。
治療の際、Er:YAGレーザーは歯質も蒸散してしまう特徴がありますので、光が歯に当たらないよう、やや歯軸と平行に照射することが望ましいです。
あと加えるのならば、菲薄な付着歯肉を蒸散しきって、歯槽骨にまで影響を及ぼすと、腐骨になってしまうので注意が必要です。
炎症して腫れている部分だけの蒸散にとどめます。
腫れた歯肉の内部には、炎症系の細胞ならびにケミカルメディエーターが存在しますので、それらを不活化する目的で照射しましょう。

そして右が術後10日の写真です。
PDは2mmと減少し、傷もなく、炎症もなく綺麗に治っています。
歯間ブラシを用いたブラッシング指導を行うことで、再発はなくなるかと思います。

この症例は、他のレーザーでも応用可能です。
しかし、Nd:YAGレーザー、Diodeレーザーの様に水に吸収されにくい、エネルギーが歯肉を透過しやすいレーザーの場合ですと、少し注意が必要になります。
今までの歯科治療は、直視直達、目で見える治療でしたが、レーザーは目に見えません。
エネルギーが歯槽骨にまで及んでしまうと、そこは腐骨となり、付着歯肉ははがれてしまいます。
ですから、水に吸収されにくいレーザーでの治療の際には注意して行って下さい。

コメント(1)

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[1] mixiユーザー 03月15日 13:21

ということで、レーザーの臨床症例をご紹介します。
症例は19歳の女性、歯肉が黒い、いわゆるメラニン症を主訴に来院しました。
メラニン症の治療法としては、機械的な上皮の除去しかありません。
なぜなら、メラニン細胞は上皮の基底層に存在するからです。
そこを機械的に除去すると念頭に置いて、見にくかったらスコープなどを用いて丁寧に行います。
従前ではこのような治療に対し、フェノール法やカーボランダム法を用いてきました。
これらの治療法では痛み、治癒にかかる時間が長い、コントロールが難しいため、なかなか汎用されなかったように思えます。
そこで最近の治療法として、Er:YAGレーザーを用いてのメラニン症に対する治療です。
これは他のレーザー、CO2、Nd:YAG、Diodeでも行えます。
ただ、術者のかたはNd:YAG、Diodeの照射方向に気をつけてください。
歯槽骨の熱変性に注意しましょう。

左の写真が術前
　真ん中の写真が術直後
　　右の写真が術後４日

軽度のメラニン症ですね。
この写真の感じでは10分程度でしょうか。
もう少し黒い症例では、２，３回に分けてやるのが良いでしょう。
上皮の再生能力を、ターンオーバーを促して。
レーザーによる術後は偽膜をはる目的で、弱い出力で少し遠目から照射することが望ましいです。
そのように偽膜をはることによって、患者さんは術後に食事をしても痛くなくなります。
パット見はイタそうですが・・・

このようにメラニン症の治療は楽に行えますが、金属イオンが結合織に入り込んだメタルタトゥーは少し大変です。
ホント、いわゆる入れ墨の治療と同じです。
メタボン（かぶせモノ）の歯頸部（歯茎との境目のほう）が黒くなる症例だとか。
そのような場合も同様な術式を用いて施行します。
できれば、その場合は拡大鏡を用いて行うのが良いかと思います。
取り残しがないよう、しかし、メラニン細胞よりは見やすいですから。
と、考えると、メタルフリーな修復が望まれるのでしょうか。

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