怖い話で眠れなくする！！コミュのいじめてたあいつ三話目

いじめてたあいつ３話目

タカピーは不思議そうな顔で俺達の事を見ながら聞いた。

俺「…別になんでもねぇよ」

バレバレだが本当の事は言えない。
俺達の知られたくない過去だ。

特に立川は絶対誰にも知られたくない様子だった。

俺「なんか話したのか？」

タカピー「話って話はできてないんすよね。
何回も話しかけたんですけど何も話してくれなかったんですよね…。

でも血液型はB型ですって」

俺「血液型はどうでもいいけどさぁ。そっか…仕方ねぇか…
ってかさ、どうやって火傷の跡見たの？」

タカピー「休憩中に宮本さんの服にジュースこぼしたんすよ！」

俺「マジか！！タカピーなかなか無茶すんだな！」

タカピー「だって全然着替えないんすもん。俺もやり過ぎかなって思ったんっすけどね…。」

俺「そこまでしてくれて感謝だよ！給料入ったら奢ってやっから！！
でもキャバクラは話を聞いてからな！！」

少し残念そうなタカピーだがまだもう少し協力を続けて欲しかった俺はキャバクラをエサにタカピーを利用した。

そして俺は「どんな些細な事でも教えてくれ」と言って休憩中に宮本君は何をしてるかとか、車通勤か？どんな車だ？どんな昼飯だ？どんな靴だ？どんな鞄だ？などなど聞ける事はすべて聞いた。

そして聞く事がなくなってその日は解散した。

わかった事は一つだ…

宮本君はキムチだ！！！！

腕に火傷の跡がいっぱいあるんだったら確定だ。

俺と立川は仕事終わりキムチの後を尾行しようと決め定時になるとすぐに会社の出口前に目立たないように車を停めキムチが出て来るのを待った。

あらかじめタカピーに終わったら電話してくれと言っていたのでとりあえずタカピーからの電話を待った。

（ピピッラララヒヒララー）

携帯が鳴った。
タカピーだ。

俺「もしもし、お疲れ！宮本君はもう出たか？」

タカピー「お疲れ様っす！宮本さん今帰る用意してるんで多分後五分ぐらいで帰りそうですよ…」と小さい声でタカピーが言った。

俺「宮本君車通勤だろ！どんな車だっけ？」

タカピー「白の軽っす！ワゴンRっすね！」

俺「サンキューな！また頼むね！
」

タカピー「いいっすよ！お疲れ様でした！」

タカピーの電話を切って五分後白のワゴンRが出てきた。

すぐに後を着けるとバレてしまいそうなので少し距離を取って尾行した。

俺達はワクワクとビクビクの感情が入り乱れながら尾行を続けた。
途中から楽しくなったのは確かだ。

しばらく走って気づくと見覚えのある道をずっと走っている。

俺達の帰り道と同じ道だ。

たまたまかと思ったがこのまま行けば俺達のアパートの前に行く道に入るので俺達は恐くなった。

すると俺達のアパートの向かいのマンションの駐車場で止まった。

俺達はビビりながらも一度宮本君の前を通り過ぎ宮本君の車がギリギリ見える所に車を停め中から様子を見た。

宮本君は車の中から出ないで俺達のアパートを見てるように見えた。

俺「俺達のアパート見てんじゃねぇの？」

立川「マジかよ…前につけて来てたのか？マジかよ…。」

立川は混乱しながら少し怖がってる。

宮本君がキムチだとしたら立川の車のフロントガラスを割ったのも車にキズを付けたのも宮本キムチだろ！！

頭の中で確信した。

立川もそうだった。
だから恐くなったのだろう。

無実の人間に罪を着せて長い間イジメにイジメた奴が現れて昔の復讐を始めたんだ。

車の中から俺達の家を見てるって事はまだ復讐が終わってない事を物語っているように見えた。

車のキズやフロントガラスはまだまだ序の口かもしれない……

俺は何もされてない。

立川だけだ。

班長の車のキズが謎だけど…

俺と立川はもし宮本キムチが何か変な動きをしたら捕まえて話を聞こうと思った瞬間…

キムチの車のライトが付いて動き出した。
立川は急いで車を出したが信号に引っかかってしまい、宮本キムチを見失った。

信号が変わった瞬間猛スピードで追いかけたが宮本キムチの車は見当たらなかった。

しばらくあちこち走りながら探したけど見つからなかった。

立川「あいつ、マジでキムチだろ……。」

俺「99%な！でも本人に聞かねぇとな…明日聞いてみるか？」

立川「……おぅ。」

立川はキムチが家の前に来たのを見てからビビってる様子だった。

立川は高校一年の時に窃盗と傷害で少年院に行って出て来てからは真面目人間になっており昔みたいな怖いも知らずではなくなっていた。

俺でさえ怖い。

もし宮本君がキムチだったら殺しさえ考えられるからだ。
それぐらい恨んでいてもおかしくない。

俺達は話し合った結果明日の仕事終わりに宮本君を捕まえて話を聞こうと決めた。

仕事に行き定時が近づくにつれて緊張してくる。

色々な事があった立川は最近萎縮してしまってるから俺がリードしなければならない。
立川に恩返しだ。

仕事が終わり自動販売機前で宮本君を待った。

立川は下を向きながらしゃがんでいる。

すると宮本君が歩いてきた。

かなりの緊張が走ったが俺は気合を入れて「宮本君？」

宮本君「はい？」

俺「あのさ…俺の事覚えてる？」

宮本君「えっ？◯班の方っていうのはわかるんですけど名前は分かりません。
すいません。」

と小さい声で申し訳なさそうに言った。

俺「…宮本君◯◯中学校（俺達の行ってた学校）に居た事あるでしょ？」

宮本君「…いえ。居ませんでしたけど……なんでですか？」

俺は（何言ってんだよ！お前キムチだろ！嘘つくんじゃねー！！）と思ったが本人は否定する。

俺は切り札を出した。

俺「ちょっと腕めくって見せてくれない？」

宮本君「なんでですか？……嫌です。」

俺「なんで？一回見せてよ！確かめたい事あるんだ。」

宮本君「…嫌です！！」

怪し過ぎる。
嫌な理由も言わないし頑なに嫌がる。
たかが腕を見せるだけなのに。

チ◯コ見せろって言ってる訳ではない。
ただ腕を見せてくれと頼んでるだけだ。

すると立川は「いいから見せろって！！」と宮本君の腕を掴んだ。

宮本君「やめろっ！！」と大きな声で言ったが立川の顔はマジだ。
止まらない。

強引に宮本君の袖をめくるとやっぱり火傷の跡があった。

立川「お前キムチだろっ！！俺の事憶えてんだろっ！！立川だっ！！」

宮本君「知らない！！なんだよいきなり！！意味わかんないよ…。」

立川「ウソつくんじゃねえ！お前キムチだろ？なあっ！そうだろ！！認めろよ！もうばれてんだよっ！！」

立川の今までのイタズラのストレスが一気に爆発した様に見えた。

宮本君「知りません。キムチってなんだよっ。離してよ…」

俺は一度立川を落ち着かせて宮本君に聞いた…「それじゃあこの火傷の跡はどうしたの？」

宮本君「これは……昔…お…親にやられました…」

俺「…はっ？マジ？」

宮本君「…そんな嘘言いません。…だから見せるの嫌だったんです。」

嘘を言ってる様に見えない。

俺と立川は確実にキムチだと思っていたからポカーんとしてしまったが後一つ気になる事が俺はあった…

俺「じゃあ昨日マンションの下で何してたの？」

宮本君「…昨日？」

俺「昨日宮本君の後ついて行ったんだ。そしたらマンションの下で車の中にいたろ？」

宮本君「ああ…昨日は友達の家の下で友達待ってたんですけど帰りが遅くなるからまた今度って言われて帰っただけですけど…」

俺「……」

一応すべて繋がるけど腑に落ちない。

俺「じゃあこの町に来たのはいつごろ？」

宮本君「半年前ぐらいですかね…」

俺「それまでどこに住んでた？」

宮本君「◯◯市の◯町ですけど…。」

俺はその町を少し知っていた。
前の彼女が住んでたから。
俺達の住んでる所から車で30分ぐらいの所だ。

俺「じゃあさ公番前のコンビニ知ってる？」

宮本君「ローソンですか？」

合ってる。

（じゃあ本当に◯町に住んでたのか？）

俺「じゃあ通ってた中学は？」

宮本君「◯◯中学校です。」

聞いた事ない。

俺「それどこの中学？◯◯県？（俺達の住んでる県）」

宮本君「違います。◯◯県です（隣の県）」

俺「……じゃあその中学で三年間過ごしたの？」

宮本君「そうですけど…なんなんですか？いきなり！訳わからないですよ。帰っていいですか？」

俺「…ちょっと待って…」

（まだまだ色々聞いて嘘をついてないか確かめたかったが引き留める様な事が思いつかない。）

俺「…携帯教えてくれない？」

宮本君「なんでですか？…嫌です。」

宮本君はさっきからなんなんだと言った表情で嫌がった。
俺は頭をフル回転させた。
体した頭じゃないが。

俺「今日はちょっと俺達の勘違いで嫌な思いさせちゃったからなんか奢らせてよ！」

今はこれが精一杯だった。

宮本君「別にいいです。お疲れ様です。」と言って帰って行った。

俺達は帰り道車の中でモヤモヤした感じが気持ち悪かった。

宮本君はキムチじゃなくて宮本君なのか？

キムチが嘘をついているのか？

一体どっちだ。

分からない。

キムチの様な気もするし別人と言われれば別人だ。
最近この疑問が頭の中でグルグル周りっぱなしだ。

俺「どうだ？キムチと思うか？」

立川「あれは…キムチだ…」

立川は小さい声で言い切った。

俺「なんでわかんだよ？」

立川「…腕掴んだ時目が合ったんだけど…そん時に昔のあいつの目を思い出した…。」

俺「確かか？勘だろ？」

立川「勘ってか直感だよ…あいつはキムチだって…」

俺「…じゃあ宮本君がキムチだとしてさ、なんであんなに嘘つくんだよ！！」

立川「わかんねぇよ…俺が聞きてえよ…」

全然解決しないしスッキリしない。
真実を確かめる何かいい方法はないか？

考えても考えても分からない。

探偵に頼むしか考えられない。

家に帰ってパソコンでマジで探偵業者のホームページを見た。

見てみると金が高過ぎる！！

特殊な仕事だから仕方ないけど予想してたよりかなり高かったから即諦めた。

今日の宮本君との会話の中で出てきた中学校を検索した。
もしなかったら嘘発覚なんだけど検索すると普通にあった。
ちゃんと◯◯県に存在していた。
この学校の卒業生に友達でもいれば確かなんだが同じ年代のしかも違う県のその中学校の卒業生なんて見つからないだろうと諦めた。

いい考えが思い浮かばない。

立川はずっと不安そうだし何事にも意欲を失っていたから俺はなんとかしてあげたかった。

携帯を触っているとのぼるの存在を思い出した。

そのままのぼるに電話して今までの事を話して何かいい考えがないかと聞いた。

のぼる「ん～わかんねぇな？でも立川はキムチだと思ってんだろ？でも本人は否定してんだよな？やっぱ立川の勘違いじゃねぇの？」

俺「俺はどっちかわかんねぇよ…立川の態度見たらマジでキムチに思えるんだけど宮本君の態度見たら別人に見えるし訳わかんねえ…」

のぼる「てか、最近は何かあったのか？」

俺「ここ最近は何もねぇよ」

のぼる「じゃあもういいんじゃねぇの？」

（それはそうなんだが気になって仕方ない。）

のぼる「俺はとりあえずその宮本君見てぇな！かなりキムチに似てんだろ？写メとかねぇの？」

俺「写メなんてねぇよバカ！これからどうしようかな～」

のぼる「とりあえずほっとけばいいんじゃねぇか。またなんかあったら電話してよ」

と電話を切った。

すると外からサイレンの音が聞こえた。

同時ぐらいに

ピンポーン

とチャイムがなった。

すぐに出ると立川が裸足のまま顔面蒼白で立っていた。

俺は「どうした？なんかあったか？」

立川「火事だっ！！一階の部屋が火事だ！！」

すぐに外に出ると一階の部屋が燃えている。

俺も立川も二階だけど同じアパートの一階が燃えてる。火事の部屋の上は立川の隣だ。

サイレンは消防車のサイレンだった。

立川は「……キムチかな？」と少し震えて言った。

俺は立川が恐がらない様に「ただの火事だろ！放火じゃねぇよ！心配し過ぎだって」

立川「そっかな…」

みるみる火事を見に近所から人が群がって来る。
みんな携帯で写メを撮ってる。
なんの記念だ！！
なんでみんな人の不幸がそんなに好きかな～。

だけどこの火事が放火だったら怖い。

早く火事の原因が知りたい。

幸い火はすぐに消し止められた。
火事を見に来たギャラリーが少しずつ帰って行く。

立川は恐がっていたので鍵だけ閉めて俺の部屋で泊まれと言った。

冷蔵庫からビールを出して2人で飲み始めると…

立川「……ぜってえキムチだ…」

俺「だから考え過ぎだって！！違うって！」

立川「だって……………」

立川「火事見に来てるさっきのギャラリーにキムチが居た！！」

（えっ？）

俺「マジかよ？いつ？どこにいたんだよ？」

立川「さっきだよ！さっき！みんな火事見てんのに1人だけ俺達の方見てた…。やべえよ！！火つけたのぜってえキムチだって！俺の事殺す気だって……」

立川はビールを両手で握って本気で怯え出した。

放火犯が自分の放火現場に現れる話は聞いた事がある。

何より立川の怯え方は尋常じゃない。

俺は恐くなった。

俺「ちょっと待て！！部屋入るとこ見られたんじゃねえか？」

立川「多分大丈夫…すぐ帰って行くの見えたから…」

俺は「多分じゃねえだろ！！部屋までバレたらヤベエだろっ！！」

俺は立川に怒った！！

立川「だから大丈夫だって言ってんだろ！！どっちにしろ狙われてんのは俺だ！！」

確かにそうかも知れないが家に火をつけられるなんて絶対嫌だ。

俺達は無言でビールを飲んだ。

するとまたチャイムがなった。

出ると警察だった。

何か見てないかと聞かれたが何も見てないので俺達は知らないと言った。
ここでキムチの事を言っても仕方ないと思った。

原因を聞くと多分放火だという事だった。

早めの通報で燃えたのは玄関の手前だけだったらしい。

部屋の住人は仕事から帰っておらず無事だった。

警察には常に見張りをつけてくれと頼んだが、それは出来ないと言われた。
でも連続放火の可能性があるためパトロールと職務質問を強化するとの事。

俺的にはアパートをずっと見張って欲しかった。

俺と立川は眠れないでいた。

今日はさすがにもう無いと思うがその先はわからない。

言いようのない不安感だった。

眠れないまま朝が来た。

仕事に行きたくない。

だけど俺達が抜けると同じ班のみんなに迷惑がかかるしそんなに子供じゃない。

行くしかない。

仕事に向かう時も会話はない。

朝礼の時俺は宮本君の姿を探した。
とっ捕まえて火事の事を聞いてやろうと密かに決めていたからだ。

だが宮本君の姿はなかった。

休憩中にタカピーにメールしておいた。
タカピーの班の休憩時間は俺達より後だったからだ。

しばらくしてタカピーから返事が来た。

俺はトイレに行くふりをして大便の部屋で携帯を開いた。

内容は今日は体調不良で休みとの事。

俺は思いついた。

お見舞いに行きたいと言って事務の山本さんに宮本君の住所を聞いてやろうと思った。

昼休み俺は急いで昼飯を食べて山本さんのに聞きに行った。

山本さんはすんなり教えてくれた。

住所をGETした俺は立川に仕事が終わったら宮本君の家に行って確かめるぞと言った。

恐いけど家を燃やされるのはもっと恐い。

認めないにしても何かできるかもしれないから俺達は仕事が終わるとナビに聞いた住所を入力してさっそく向かった。

町から外れた住宅街に着いた。

住所はかなりボロいアパートだった。

104号とあったその部屋の表札を見ると名前は書いていない。

最近名前をワザと出さない人もいるぐらいだし俺もそうだったが（表札があればすぐに確認できたのに！！）と思った。

ドアの前に立つがかなり緊張している。

立川は押せそうにないし今回の宮本君がキムチ疑惑は俺が解決したかったから気合を入れてチャイムを押した。

ピンポーン

……………

反応がない。

もう一度

ピンポーン

………

ガチャ

「はい…」

出てきたのはおばあちゃんだ。

俺は「宮本君いますか？」

おばあちゃん「は？宮本て誰？」

俺「えっ？ここ宮本君が住んでると聞いたんですが…」

おばあちゃん「宮本ちがうよ」

俺はすかさず「木村さんですか？」と聞いた！

おばあちゃん「ちがう。ウチはたけやまっ！」と言って怒りながらドアを閉められてしまった。

俺はポカーんとした。

ちょっと待て！
宮本の家でもないし木村の家でもない。

嘘の住所かっ！！

４話に続きます。