ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

怖い話で眠れなくする!!コミュのヒナ川

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
249 本当にあった怖い名無し sage 2005/12/02(金) 22:51:00 ID:3skBX6FS0
僕の幼少の体験談です。すごく長いので六話にわけました。

 < タイトル:ヒナ川 > (第1話) 記憶の糸のその先に・・・
20年位前になろうか。僕はとある田舎町に住んでいた。小学生の僕には
小さな町での暮らしの中にも冒険と不思議が沢山あった。友達と、虫取り
や探検ごっこ、野球などをして遊んだ。ヒナ川とモズ川の間にあるグラウ
ンドに皆で集合し、毎日遊んだ。当時人さらいの噂が流れ、独りで行くこ
とは先生が禁止していた。そんな中あの事件が起こった。帰り道に、人だ
かりができていた。ヒナ川に架かる弁天橋のたもと、公園を兼ねた神社に、
根の張った桜の木があり、ヒナ川に枝を広げている。人混を分け、僕はや
っとこさ、一番前に出た。警官達がたくさん見える。野次馬のおばあさん
と孫に聞いた話では、桜の木から首を吊って自殺していた女性が発見され、
住人が警察に通報したが、到着前に枝が折れ、女性は川に流されたそうだ。

人垣の向うに、ヒナ川をさらう警官達の姿が見えた。怖くなった僕は家路
を急ぎ、母親に泣きつき事件のことを伝えた。この事件は先生達の間でも
問題視され、遺体がでる迄は生徒がヒナ川の方へ遊びに行かないよう、宿
題の量が増やされた。もちろん僕も自分から進んでグラウンドへ行きたい
とは、間違っても思わなかった。遺体はその後も見つからなかった・・・。


251 本当にあった怖い名無し sage 2005/12/02(金) 22:56:34 ID:3skBX6FS0
< ヒナ川 > (第2話) 平穏暫く
季節が一つ移ろった。この学期、僕の家に留学生がホームステイに来た。
目の青い、大人びた中学生。姉の交換留学相手。慣れない長旅のせいで
つかれたのか、彼女は手短に紹介を済ませ、トランクを開け荷物を仕分
け始めた。すぐに土産物を取り出し、僕らにくれた。僕には実に心の躍
るプレゼント。それはニュージーランドのブーメランだった。「原住民
の怨霊還し」と名のついた、木製の大きなものだ。アボリジニーの間で
は、狩に出る際の魔除のお守りとして、大切にされていた。デザインは
酷いものだったが、その重厚さは僕を魅了するに十分だった。僕は、勢
いよく家を飛び出すと、あのグラウンドへと走った。不安は残っていた
ように思う。しかし月日も経ち、学校からも許可がおりていた。ヒナ川
まで、僕は、休むことなく走った。弁天橋を駆け渡り、二つ目の土手を
すべるように降り、グラウンドへ駆け込む。とても強い風の中、ぼくは、
五回、六回と、ブーメラン投げを繰り返した。風上に投げれば、風に呑
み込まれたブーメランが勢いを増して僕の方へ戻ってきた。不意に、人
さらいの噂が脳裏をよぎる。刹那、土手の上に人の気配を感じ、息をの
んで、僕がそっと振り返ると、逆光に紛れ何者かの姿が浮かんでいた。




253 本当にあった怖い名無し sage 2005/12/02(金) 23:02:58 ID:3skBX6FS0
< ヒナ川 > (第3話) 女伍子胥
大きく傾いた夕日に照らし出された黒い影は、女の様だ。田舎の土手は、
都会と違って電燈も薄暗く、昼間でも人通りが少ない。僕は驚き、目を
しばたいて再び影の正体を見極めようとしたが、無理だった。丁度その
とき、一台の自転車が、土手の上を走ってきた。自転車が、例の人影と
同じ位置に差しかかった時、影はスッと立消える様に見えなくなった。
時間を止められてしまったかのように、僕は、その場で凍りついた。

できることなら思い出したくなかった。ヒナ川弁天橋で目にした、あの
異様な光景。揚がらない、女の遺体。事件の前後に流れた正体不明の異
常者の噂。ハッと我に返った僕は、急いで家へ帰ることにした。あの何
者かの影に怯えていた。土手を駆け上がり、無我夢中でさっき来た道を
もどっていく。弁天橋がみえた。同時にその中央にじっとうずくまって
いる者が見えた。群青色の服の、紅い夕日を背にした女。はっきりと見
ることはできなかったが、首をうなだれた女の、びっしょり濡れた長い
毛の先から、水が幾筋も滴り落ちる。女がゆらゆらと立ち上がる。僕は
土手を走り、川下へ逃げた。川下に行けば、「ムジナの橋渡し」がある。



254 本当にあった怖い名無し sage 2005/12/02(金) 23:12:31 ID:3skBX6FS0
< ヒナ川 > (第4話) 青白と赤黒
大きな一枚板の、丈の低い平らな橋。それが「ムジナの橋渡し」。大
半の子供達はこの橋を避ける。欄干も街燈すらもない、この古びた橋
は、いつの時代に作られたのかも分からない程に、朽ちかけていた。

ふつうは絶対に渡らないこの危険な橋が、今の僕にとっては、希望を
つなぐ唯一の道だった。途中、僕は転倒し、ブーメランを落すが、も
う、それどころではなかった。陽は、今正に沈もうとしている。灯り
のないこの橋だけは、陽が沈む前に渡りきらなくては。あたりには、
人のいる気配はない。何かあっても助けは期待できない。僕はほんの
少し戸惑った。だが、不安を振り払い、橋を渡りだした。慎重に、少
しずつ進んだ。その時だった。弁天橋の女と目があってしまったのは。

口元を左右に吊り上げ、女は、血の滴る赤い瞳で僕を睨む。女の右手
がすっと上がり、僕に手招きを始めた。足が動いてくれない。薄気味
悪い程青白く、幾本もの濡れた髪に覆われた女の顔と、頬をつたう赤
い血の筋。その、不気味なコントラストが、僕の足を硬直させた。た
だ時間だけが過ぎていった。もうすぐ、陽が沈んでしまう。気持ちだ
けが焦るが、女に手招きされ、僕の勇気は薄闇の中に溶けてしまった。



255 本当にあった怖い名無し sage 2005/12/02(金) 23:19:25 ID:3skBX6FS0
< ヒナ川 > (第5話) 氷の抱擁
とおくで寺の鐘の音が響いた。暗闇を月光だけが照らしている。立って
いることが困難なほど、足がガクガクと震えた。あの女の手招きが、ゆ
っくりと繰り返される度に、僕の体は川に落ちそうになる。涙があふれ
てぼやけた僕の目にも、闇に浮かぶ女の赤い目だけははっきりと見えた。
見たくもないのに。急に女が薄笑を浮かべた。右手を差し出し、僕のい
る方向を掻き毟ったように思えた。その直後に、僕の前髪が、ぐいっと
手で引っ張られた。僕は、上半身を欄干のない橋から引きずり出され、
すっかり川底が見える体勢になった。少しでも足の力を緩めたらボトン
と川に沈んでしまうだろう。ヒナ川の流れは速く、少し下流でモズ川に
ながれこむ。落ちたら、助からない。僕は死の恐怖に泣き叫び、必死で
落ちそうな体を支えた。だが、恐怖は、今度は川底から僕を迎えに来た。

こわばる体。青白く、藻に覆われた丸い物体。魚についばまれボロボロ
の、赤黒い両目玉。青紫の唇。女の水死体が、水中に漂っていた。死体
は僕を見つけると、歪んだ笑みを浮かべた。氷の様な青白い両手が水の
なかから現れ、水滴を垂らし、僕の首筋にじわりじわりと絡みつく。必
死の抵抗虚しく、僕の頭は徐々に水中に引きずり込まれていった・・・。


257 Teddy ◆38avq92H7U sage 2005/12/02(金) 23:29:01 ID:3skBX6FS0
< ヒナ川 > (第6話) 未だ彷徨う    ※トリつけ忘れてた...
大きな物が突然、僕にぶつかり、それが川に落ちた。波紋が、女の姿を
部分的にぼやけさせ、件の両手も透明になった。呪縛から解き放たれた。
ぶつかったのは、「原住民の怨霊還し」だ。僕は一息に橋を渡った。死
んだ女に道連れにされかけた恐怖から、声をあげ泣きながら走った。僕
は土手を駆上がった後、立ち止まった。弁天橋には、もう何もいない。
じっとりと汗ばんだ手を握って、恐る恐る「ムジナの橋渡し」の方を見
つめた。血と水の滴る手で、女が口惜しそうに手招きを繰り返していた。
わすれられない言葉が暗闇から響いた。「・・デ。オイデ・オ・イデ・・」

だれかに呼ばれている気がする。皆、一度はそんな経験があるだろう。
お気をつけください。貴方の背後から忍び寄る彷徨える女の手に・・。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

怖い話で眠れなくする!! 更新情報

怖い話で眠れなくする!!のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング