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5号室コミュの裏裏・田無寮たいむズ5号

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「田無寮大戦争・エピソード5〜激戦〜」

ほら貝の音とともに1年生の軍団がせめて来た。

「タッケモト!タッケモト!ミッタケ?いーやタッケモト!」

先陣を切るのは、早稲田大学ラグビー部・谷川。

唇の端に見えるのはCABIN。

「行くぞ!みんなひとり部屋で彼女呼び放題だー!」

2階の階段にいた珍田が瞬殺された。

「冗談は名前だけにしときな!」

谷川は一目散に1階を目指した。1年生が後に続く。

「ちーん!!」

宇田川が叫んだが、宇田川は伊藤のパチンコ玉に沈んだ…。

「俺…まだ……就職活動…つづけ…グフッ…」

まさか自らが臨時ニュースになるとは…哀れ。

食堂は慌ただしかった。

「ボイツ!2階へ上がれ!肺胞なんかハンデじゃねえ!」

「カッキー!栽松も行くぞ!今日の取引は中止だ!」

辻と小松平は2年生を動かし、2階へと歩を進めた。

食堂に藤山さんが入って来た。

「吉田君!大変だよ!竹本が御嶽さんに変身してた!」

「アホか!わかりきっとることやんけ!」

右大臣が雀卓から降りた。

マイルドセブンをくわえ、火をつけた。

「奇襲やな、よっしー。これヤバいんちゃう?」

「恐るるに足りませんよ、竹本なんか。で、逸見さんは?」

「逸見さんは竹本といる。今はどうなってるかわからない」

「逸ちゃんなら大丈夫やろ」

「負けないッスよ」

「松木、お前はなんでここにいる」

「えっ…」

「お前の相手は誰だ?忘れたんか?」

「わかってる」

「眼帯を取れ、そして戦え!」

「お前、顔赤なっとるで」

「SFC魂見せて来んかい!」

松木はなぜか上着を脱ぎ、食堂を出て行った。

背中は骨が露出していそうなくらい細かった。

そして眼帯だけはつけたままだった。

場所はかわって風呂場。

「どうやら始まったようだな」

やはりセリフにはすべて濁点がついている。

「それより、どうして俺が御嶽じゃないとわかったんだ?」

ケンシロウはシカトした。

「とりあえず、お互い、服着ようぜ」

2人はお互いの距離を保ったまま着替えた。

「おい、吉田はどこだ」

「知るか、あいつは足手まといだ」

「ふっ、逸見、強気だな。

覚えておけ。

その強さが命取りになるぜ」

「ふざけたことを…」

「俺はまだ死ぬ訳にはいかないんでな…」

竹本は言い終わるか言い終わらないかのうちに風呂場に煙幕をまいた。

「臭っ!なんだこれは!」

「さすがの逸見も嗅覚は鍛えられなかったようだな。

今度はお前の一番大切なものを頂きにいくぞ!

さらばだ!」

「待てコラ!」

しかし、煙で方向感覚を失ったケンシロウは、

うずくまって時が経つのを待つしかなかった。

胸の北斗七星が冷たく感じた。

煙が止むと、風呂場にひとり取り残されていた。

「くそ、なめやがって」

ポケットのケータイが鳴った。

「はい」

「おー逸ちゃん、元気してんの?」

…ちっ、こんな時にハヤシンゴか…。

「あー…ハヤちゃんは?」

「俺なんか毎週パコパコやで」

電話を切った。

ケンシロウは急いで下着を履き、戦場へと急いだ。

あいにく、突っ込む寮生は誰もいなかった。

寮は修羅場と化していた。

「谷川を止めろ!カッキー!」

谷川に右腕をやられた大石が叫んだ。

「ハイ!デタ!コノパターン!」

谷川とカッキーはスクラムを組んだ。

「先輩、ポジション的に俺に勝てるとでも?」

「こいつマジチャキー!」

両者一歩も譲らなかった。

その時、田島のバイクが窓ガラスを割って踊り場に侵入して来た。

「自己紹介させていただいてもよろしいでしょうかー!!」

「なんだこいつ…」

しかし、佐々木さんがバイクの下敷きになっていた。

「佐々木さーん!」

松木はうなだれた。

「佐々木さん、この前、松屋で同時にチキンカレーふたつ頼んでた…」

「松木さん、こんにちは」

うなだれる松木の前に立っていたのは、そう、藤谷だった。

「藤谷!この前はよくも!」

「まさかあんなところで洗濯物干してるとは思いませんでしたからね」

「俺になんの恨みがあるんだ!」

「恨みなんかないですよ」

藤谷はハイライトをくわえ、火をつけた。

「藤谷…俺にもくれ」

2人はタバコを共有した。

「おい、お前らなにやってんだよ!藤谷!松木を始末しろ!」

そこに現れたのは御嶽…いや竹本だった。

「竹本!お前こんなことしていいとおもってんのか!」

「松木さんは黙っててくださいよ。僕は吉田に用があるんで」

「はぁ?お前こんなことしてタダですむと思ってんのか…紀平さんまで…」

「紀平?ふっ、そんな奴もいたな…」

「竹本!お前って奴は……俺だけは…好きだったのに…」

松木は両手の拳を握りしめた。

「おい、俺は今でこそ静かな人間だが…

俺が高校時代何部だったか知ってるのか!?」

「そんなこと興味ないっすよ」

「俺がどこのポジションだったか知ってるのかー!?」

松木は体勢を低く構え、竹本を見据えた。

竹本は体をかいている。

松木は瞳を閉じた。

これまでの竹本との思い出を反芻していた。

竹本、お前はいい奴だったよ。

松木は、最初の一歩を踏み出した。

つづく。

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