ベゾスは資金調達に成功しただけでなく、外部の「知恵者」であるベンチャーキャピタリストのジョン・ドーアを取締役に迎え入れることにも成功した。ドーアはベンチャーキャピタリストであるとともに、現在オバマ大統領の雇用・競争力に関する経済諮問委員会(U.S. President Barack Obama's Council on Jobs and Competitiveness)のメンバーでもある。現在、ドーアの意見は米国が国家としてイノベーションを生み出し続ける環境を発展させるために組み込まれているということになる。ベゾスとドーアの関係は、ベンチャーキャピタルが起業のインフラとして機能すれば「知恵」と「資金」の両方を満たすこともできるという例だ。
2010年5月に、電気自動車の米テスラ・モーターズがトヨタとGMの合弁会社であったNUMMI(New United Motor Manufacturing Incorporated)の工場を購入し、モデルSセダンや将来モデルを生産すると発表した。これはまさに、シュンペーターが「一般に新結合は必要とする生産手段をなんらかの旧結合から奪い取ってこなければならない。(中略)したがって、新結合の遂行は国民経済における生産手段ストックの転用を意味する」と言っていることと合致する。ここでいう新結合とは自動車産業に電気自動車というイノベーションを持ち込むテスラであり、旧結合というのはガソリン車で世界の覇者となったトヨタと読み替えることができる。