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オダサク倶楽部コミュの織田作「現代の女性を語る」

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 『「洋酒天国」とその時代』(小玉武著)を友から恵贈。
 サントリーの出版、広告文化史を「洋酒天国」やその編集に関わった開高健、山口瞳、柳原良平などの人物の活動実績をもとに、まとめた書である。

 その冒頭に、昭和21年11月、当時の寿屋(現サントリー)に入社したばかりの佐治敬三が家庭夫人向け暮らしの啓蒙誌「ホームサイエンス」を創刊したことが紹介されている。設立したばかりの財団法人食品化学研究所を発行元として出版事業に乗り出したのだ。佐伯自らが編集に関わり、後に開高夫人となる牧羊子が編集部の一員として活躍を始めることになる。

 この創刊号に、「現代の女性を語る」の記事が掲載されており、この座談会には藤沢桓夫、長沖一、阿部知二、宇井無愁等とともに登場するのが、流行作家として注目されていた織田作之助であることが前書に書かれていた。寿屋が大阪に本社があったことにもよるが、大阪出身の作家連を中心に阿部知二が加わっているのが興味を引く。

 早速、中之島図書館に当創刊号があることが分かり、コピーしてきた。50頁ほどの薄い、紙質も劣るB6判の雑誌であるが、表紙は小磯良平による台所仕事をする夫人のカラー絵、そして裏表紙は高峰秀子がモデルのナショナル「ロースター」(製パン・調理器)である。

 座談会の記事は7頁に亘るもので、戦時の影響で20過ぎの女性の文化的な規範の欠如が語られており、何を読み、何を学べばよいのか混迷の時代様相が読み取れる。
 一方で、織田作は、女性が女であることに強い自信を持っており、女の位置が非常に上がったとしながら、紅茶やコーヒー一杯でどうにでもなるというようなのが東京ではザラにおり女の相場は非常に下がっていると語っている。
 
 織田作はこの年の12月、読売新聞に「土曜夫人」を連載中に結核で喀血し、翌年1月10日に死去するから、この座談会の記録は貴重であり、彼の戦後間もない若い女性に対する観いが土曜夫人にいかに反映されているかを読み解くのも良いかと思われる。

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