お茶1031コミュのとよたま原爆投下

注：この考察は正直とんでもないことを書いてます。
　　既出の定義なども個人的に解釈している部分もあります。
　　一応最後の展開までおおまかに予想してますが、読む場合はいろいろと覚悟してください。
　　つか長いです。


対比論　〜ひぐらしから見るうみねこの考察〜

　ＥＰ５を読んだ時点でまずわかったことは、ベアトリーチェが碑文の謎を解けば勝ちであると言っているものの、
実際には碑文の謎を解いたとしても殺人事件は起きるということだ。（ＥＰ３．ＥＰ５）
　これはつまり、TrueEndとするためには碑文を解く以外に何か事件を回避するための＋αが必要ということである。
　では＋αとは何か？　それはズバリ、碑文以外の何かではなく、いつ碑文を解くかではないだろうか。
　事件は1986年10月4日〜5日に行われ、その間に碑文を解くよう指示されている。
　しかし、碑文を解くのはそれ以前でも可能なわけだ。
　つまり、事件が起きる前にではなく、1986年10月4日を迎える前に碑文を解かなければならないのではないだろうか。
　しかも1986年時点ではすでに金蔵も死亡している。
　うみねこ本編は1986年10月4日から始まっているが、
ここからどうすれば、それ以前に碑文を解くことができるのだろうか？

　ここで少し話を変えて、ひぐらしを回顧してその世界と魔女の定義を再考したい。
　ひぐらしは昭和58年(1983年)から物語が始まり、その6月において梨花たちが死ぬ結末を迎えながら何度も過去にさかのぼり、雛見沢症候群の真相とその黒幕を暴きだして最終的には死を迎えることなく6月を突破した。
　過去にさかのぼるという能力は、梨花に備わった能力なのか羽入に備わった能力なのかは定かではないが、どちらか、または二人で一つの能力なのかもしれない。
　では、梨花に手を貸していた魔女ベルンカステルの役割とは何か。
　ベルンはラムダと共に1000年の時を生きる大魔女である。
　しかし、彼女らに本当に1000年という時間の概念は通用するのだろうか？
　自分が思うに、ベルンは1000年分のカケラを見てきただけであり、彼女自身には時間の経過はないのではないだろうか。
　ベルンとラムダはどの時間にも存在することができる。しかしそこには現在も過去も未来もない。
　それは例えるならハルヒの長門有希であり、fateの英霊と同義と言えるだろう。
　ベルンは勝率が０でない限り奇跡を起こしてくれる。
　その奇跡とは、勝利のカケラを見つけだすことではないかと考える。
　ひぐらしは一つの時間軸を直列につなげて細切れにして何度も繰り返すことで最善のカケラを見つけることができた。
　しかし、梨花にとってその結末は、けして完全なる結末ではなかったのではないか。

『罪のない世界、罪を犯しつつも幸せを手に入れた世界』
　賽殺し編では、6月を突破しながらもその後梨花が死亡してしまい、誰も死んでおらず誰も罪のない世界に飛んでしまう。
　しかし梨花は100年かけて部活メンバーが互いの罪を許しあい認め合った世界に愛着があり、そこに帰るためにその世界で罪を犯す。
　自分は賽殺し編を見る前に思ったことがあった。
　なぜ本編で、梨花が時間をさかのぼるのは両親やダムの工事現場監督が死ぬ前ではないのか。
　もちろんさかのぼれる時間には制限があった。
　だが梨花はそんなことほんの少しも考えちゃいない。
　いや、もしかしたら最初は戻れていたのかもしれないが、その時間まで戻れなくなって疑問にも思えなくなったのかもしれない。
　(ベルンが不要なカケラと判断したため？　事実、時系列では古い時間帯の暇潰し編のカケラを後に手に入れている）
　賽殺し編の最後でも梨花は悟っている。
　結局ないものねだりはできず、両親がいて友達のいない世界か、両親はいないけど友達がいる世界しか選べなかった。
　どちらを選ぶのが本当の幸せなのかそれはわからない。
　でもレナが言うように、今居る世界と異なる世界を比べる時点でそれが人の身には過ぎたことなんだろう。
　そして上位の存在であるベルンは、わざとなのかたまたまなのかわからないが、
最後に事件の起きないカケラを持ってきて、ただの人間でしかない梨花にどちらかを選ばせた。
　これは見方によっては、どちらを選んだとしても、二つの世界を知る梨花だけが不幸であったというようにも見えるだろう。

『幸福とは何か』
　ひぐらしで唯一、不幸な最後を迎えたのは三四ではなかったのだろうか？
　どれほど絶対の意思を持ってしても、奇跡の力に押し切られてしまった。
　敗北は三四にとって当然望まない不幸な世界である。
　しかし、三四が鷹野の研究を成就させることもまた勝利とはいえなかっただろう。（三四が勝利するカケラは存在しない？）
　むしろ、三四子が事故で両親を失った時点で彼女は敗北者としての未来を決定づけられていたように思う。
　そしてベルンは梨花と同じように三四子にもう一つの選択肢を与えて、ひぐらしの世界にもう一つの時間軸を作り出した。
　友達の家へ遊びに行くはずだった三四子を引きとめて、両親がデパートへ行くと伝える。
　三四子はもちろん家へと引き返し、両親と一緒にデパートへと出かけた。
　こうして三四子の幸せは補完されたわけだ。
　余談だが、この三四子の選択が後の賽殺しの世界を生んだのかもしれない。
　そう思うと、梨花と三四子は相容れぬ存在であり、梨花は再び三四子の幸せを否定してしまったのではないだろうか。
　いずれにしろ、ひぐらしは最終的にメインの登場人物を幸せにしたが、一つの時間軸上で全員が幸せになることはなかった。
　と、ここでチェス盤をひっくり返してみたい。
　もし、ひぐらしの主人公が三四子であった場合、彼女のTrueEnd条件とは何か？
　物語の本筋から考えれば、鷹野の研究、いわゆる雛見沢症候群の存在証明が条件と思われる。
　しかし、そもそも雛見沢症候群に拘ることが間違いではないだろうか。
　三四子の人生転換期は鷹野との出会いではなく、あくまでも両親の死である。
　両親の死は三四子にとって不可抗力であるが、カケラの紡ぎ方によっては回避も可能となるのかもしれない。
　三四子が主人公であるならば、賽殺しの世界すら考える必要はないだろう。

『うみねこのカケラ』
　ひぐらしでは過去に遡ることでカケラを紡いできた。
　ではうみねこではどうだろうか？
　一見、過去に遡ることで何度も1986年10月4日〜5日を繰り返しているように見えるが、本当にそうだろうか。
　そもそも繰り返すことが＝過去に戻ることになるのだろうか。
　もし、1986年が未来であったとしたら？
　｢誰が｣｢何をする｣という未来が決定づけられていない限り、それらは未来を作りうる膨大な可能性のカケラとなる。
　しかし、そのカケラをいくら紡ごうとも、唯一決定づけられているのは右代宮家に起こる殺人事件だ。

『二極化される世界』
　では、1986年が未来であると仮定する場合、それは誰にとっての未来なのか。
　それは、自分は戦人だと考える。
　おそらく、六軒島大量殺人事件を回避できるのは戦人だけではないだろうか。
　最初に提示したが、事件の回避は碑文の謎解きが前提となる。
　しかもそれは金蔵が生きているうちに行われなければ、謎が解けても財産の奪い合いが起こってしまうようだ。

　戦人は1986年の親族会議が行われるまでしばらく家出をしていた。
　その間、碑文のことは知らず生活をしている。
　では他の親族はというと、碑文の存在を知っていながらそれを本気で解こうとしなかった。
　もし、戦人が家出をせず毎年親族会議に出て碑文を解いていたなら……
　これはひぐらしで言うところの、三四子が友達の家へ行くという選択肢に通じるものがある。
　家を離れると、結果悲劇が起こる。
　こうして見ると、戦人と三四子の立場は似ていないだろうか。
　三四子は友達の家へ行くことで、雛見沢症候群の存在を証明しなければいけなくなった。
　これを戦人に置き換えると、戦人が家出をしたことで六軒島大量殺人事件が起こったと見ることができる。
　事件の起こる世界と事件の起こらない世界。
　ひぐらしでも、そんな二つの世界が存在していた。

『魔女幻想』
　1986年10月が「現在」ではなかった場合、いつならしっくりくるだろうか。
　それは戦人が家出前ならいいんじゃないでしょうか。
　つまり、「現在」の戦人はまだ家出という選択肢を選んでいない。
　しかし、何もしなければ確実に家出を選んでしまうのではないか。
　家出をせず、金蔵が死ぬ前に碑文の謎を解くのに必要なカケラは、六軒島大量殺人事件の中に隠されているように感じる。
　ひぐらしが過去のカケラを紡いだのに対し、うみねこは未来のカケラを紡ぐのではないだろうか。
　そしてカケラを手に入れた「現在」の戦人が家出をしない選択肢を選んだ時、六軒島大量殺人事件は存在しなかったことになる。
　今居る世界と異なる世界を比べる時点で、それは人の身には過ぎることだ。
　だが、「初めから」異なる世界が存在していなければ良いのではないか。
　さらに賽殺し編とは違い、どちらの選択肢を選ぶことで幸せになれるかは一目瞭然である。
　戦人が碑文を解き、正式に家督を継ぎ、一族に財産を分け与える。
　そうすれば、その世界で誰か不幸になる者はいない。
　こうして、選ばれなかった世界の六軒島大量殺人事件は起らなかったことになり、それはまさに魔女の幻想となるのではないだろうか。